
エンジニア派遣に特化
「テクノロジー」でグループの他企業と住み分け明確化
フルキャストグループというとまず思い浮かぶのは、総合人材アウトソーシング事業と仙台宮城スタジアム。グループ各社の事業別では、フルキャストのスポット人材アウトソーシングをはじめ、自動車製造を含む工場製造ラインアウトソーシング、オフィス系人材アウトソーシング、アミューズ系や情報処理、他にクレジット事業研など、分野ごとに細分化し、需要にきめ細かく対応している。
そのなかで、フルキャストテクノロジーは、自社正社員のエンジニアを教育研修後、各メーカーなどの設計・開発部署へ向け派遣する事業を行なっている。最大の特徴は、@自社の正社員として採用すること、A派遣先は製造業の設計・開発部門に特化していること、の2点である。
前身は1989年に設立した家庭教師派遣サービス事業の『株式会社神奈川進学研究会』。1998年に『フルキャストウィズ』に商号変更するとともに、現在の技術者派遣事業を始めた。2002年10月に社内公募で、現在の社名『フルキャストテクノロジー』に社名変更した。
貝塚志朗社長は「当時すでにフルキャストが上場しており、軽作業、短期派遣というイメージがあったので、技術色のある社名にしたかった」と説明する。
現在、技術者派遣の需要は拡大している。新製品の開発サイクルが短かくなり、メーカー間の競争が激化するとともに、製品は高機能化、複雑化。メーカーの自社技術者だけでまかなうには追いつかない状況だ。とくに半導体、電気、電子、機械、情報、化学といったハード系の開発技術者は、IT(ソフト)系の技術者よりさらに不足している。
人材派遣・請負市場の規模は2005年度で4兆円、2010年度には8兆円規模と予測されている。そのうち技術者市場は、同社を含めた上場各社で1000億円規模、非上場を加えると5000〜6000億円規模と見られている。
この事業は、技術者の人数と、派遣単価で収益が決まる。つまり、採用戦略と技術力強化で収益が決まるということだ。
同社は当社独自のG.E.T.(Global Eengineer Training/設計・開発スペシャリスト養成)プログラムという研修体制を充実させており、常に技術力の強化に努めている。採用者数も今年度だけで300人規模と業界でもトップクラスだ。
また、国内での少子高齢化に備え、2003年から海外での採用を業界でいち早くスタートし、すでに約130人が配属された。そのため海外採用で外国人を対象に、優秀な理工系学生を採用して技術研修と日本語トレーニングを行ない、日本国内の企業に派遣している。米国、中国(2ヵ所)、ベトナム、オーストラリアに採用・研修拠点があるが、今年春、さらにフィリピン、インドネシアと2ヵ所増え、計7カ国、国内を含み9ヶ所となる。