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[社名と企業戦略]の記事一覧
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記事一覧 (09/21)「知恵と信用と忍耐」を武器とした経営のイントランス:麻生正紀社長に聞く
記事一覧 (01/18)建設技術研究所:わが国初の建設コンサルタントとしてスタート
記事一覧 (04/15)スターティアの本郷秀之社長に『社名の思いと戦略』を聞く
記事一覧 (02/19)技術全般+客先企業の信頼に応えるパートナー、技術者派遣のパイオニア企業、アルトナー
記事一覧 (11/28)「サラダ感覚で食べられる浅漬け」の嚆矢、コンビニ普及とともにM&Aで全国展開
記事一覧 (10/29)コンピュータは社会インフラの時代に、「クレスコ」=ラテン語で「成長する」
記事一覧 (09/25)「国際・金融・情報・サービス」の頭文字「IFIS」(アイフィス)
記事一覧 (09/21)「データベースの銀行」、「100年に一度のタイミング」に起業
記事一覧 (09/19)設立当初から、投資家をパートナーに「インフォメーションのカフェテリア」
記事一覧 (02/05)社員に「参加者=メンバー」たれ、企業文化と生業を表す社名「メンバーズ」
記事一覧 (11/27)「ホスティング」=サーバのレンタル事業とネットの「セキュリティ」事業を行なう
GMOホスティング&セキュリティ

記事一覧 (10/30)「SMO」=医薬品開発の臨床試験をサポートするサイトサポート・インスティテュート
記事一覧 (10/25)3つの非鉄金属と「新分野への挑戦」を社名にした非鉄金属商社のアルコニックス
記事一覧 (10/20)競争力ある介護施設づくりで高入居率、高収益
記事一覧 (09/15)「スタッフ、ストラテジー、ソリューションをプール」
するエスプール

記事一覧 (08/18)イメージ情報開発(3803・HC)
記事一覧 (08/09)スターティア(3393・東マ)
記事一覧 (08/08)エムケーキャピタルマネージメント(2478・東マ)
記事一覧 (07/19)プライム・リンク(2720・HC)
記事一覧 (06/02)メディビック(2369・東マ)
2011年09月21日

「知恵と信用と忍耐」を武器とした経営のイントランス:麻生正紀社長に聞く

 回復傾向にあるとはいえ厳しい不動産業界。中古ビル再生事業において、すばらしい1人当り売上と利益を誇るイントランス<3237>(東マ)。その秘密は、「知恵と信用と忍耐」を武器とした経営。同社の麻生正紀社長に聞いた。

「知恵と信用と忍耐」を武器とした経営のイントランス:麻生正紀社長に聞く

★『知恵と忍耐と信用』武器に厳しい不動産業界で勝ち組に

――個人投資家の皆さんが、まず最初に関心をもたれるのは社名だろうと思います。社名には、どのような思いが込められていますか。

 【麻生社長】 イントランスの英語名のINTRANCEは、知恵という意味のIntelligence、信用のTrust、忍耐のPerseveranceを組み合わせた造語です。会社がどのような困難に直面しても知恵を出して乗り切り、逆風が吹いたらじっと忍耐強く耐え、最後には必ず信用を勝ち取る、という考えから名づけています。

――「心構え・気構え」を大切にされているようですね。

 【麻生社長】 そうです。当社の強み・特長のひとつに人材力があります。少数精鋭のプロ集団による効率経営です。会社成長の礎は人材にあるという考えです。このため、社員一人ひとりの物事に対する考え方、取り組む姿勢を大切にしています。たとえば、『成功の反対は失敗ではなく妥協である』という考えから、どのような局面においても妥協なきよう物事を解決に導くように必死で考えること。さらに、『どんな高い目標であれ、基本に充実に正しいやり方で忍耐強く最後までやり抜く』という精神の周知徹底を図っています。『一時的に成功したとしても自己革新力のない企業は継続した成長ができない』、『環境に適応できず自分で自分自身を変えられない企業は生き残れない』と考えています。このため、日々の仕事の中で感じた少しの変化でも社員全員が共有し、常に最新の動向を見極めるようにしています。そして、変化する社会に対し、『チャレンジすること』と、『困難や競争を回避しないこと』です。このための意識として、物事を成し遂げるために『積極的にチャレンジ』し、『絶対に解決してやろう』という強いハートを全社員が持つことです。さらに、実行した個々の内容を具体的に分析し因果関係が明確になるまで『考え抜く』ことが大切です。まさに、当社は「知恵と信用と忍耐」を武器とした会社です。

★社員16人のプロ集団による「ハンドメイド型不動産再生事業」

――少数精鋭のプロ集団ということですが、従業員は何名ですか。

 【麻生社長】 16名です。私は、社長に就く前の会社では、国内外の年金、財団基金等のいわゆる機関投資家の運用受託を手がける会社で運用を担当していました。この経験から当社の主力事業である不動産の再生事業は熟知しています。他の社員もプロばかりです。したがって、物件の潜在価値を見出す評価能力とその価値を引き出す企画力に当社の強さがあります。また、物件の仕入れ〜バリューアップ〜売却までを1人の担当が行う一貫体制という強みもあります。結果、社員の高いモチベーションを実現し、1人当たりの売上、利益の高いことが最大の特徴です。

――業界で中古ビル再生を手がけられているところは多いと思います。御社の強さ・特徴については、お話しいただきましたが、個人投資家の皆さんに、もう少し分かりやすくお願いします。

 【麻生社長】 たとえば、身近な、お菓子のケーキで説明しますと、ケーキに生クリームを加え、出来上がったケーキをデパートなどで販売する場合、当社は製造から販売まで一貫して手がける体制を構築しています。しかし、最後までやろうとすれば利益だけではなくリスクも大きくなるため、現状では生クリームを加えたところで卸販売もします。身の丈にあったビジネスに徹しているのが当社の特徴です。とくに、ビル等は金額が大きいため、この考えは重要です。現在のように不動産市況が停滞すると、予定していた価格での売却は難しくなります。当社は、たとえば購入者のファンドに、どういうものが受けるかを徹底的に分析し提供します。

――企画力ということですか。

 【麻生社長】 そうです。金額ありきで臨んではいません。地域性、利便性など個々の物件ごとに分析、検討し最適な再生を行うことで価値を高めます。駅の近くに中古ビルを所有している貸し手(オーナー)がいた場合、物件は古いが駅に近いからオフィスのニーズは必ずあるはずと考えます。一方、借り手(テナント)の中には駅近くで飲食店に適した物件はないかと探している借り手もいます。この両者のニーズのギャップを埋めることが当社のビジネスの基本です。とくに、貸し手が考える物権の用途、価格、広さ等が必ずしも借り手(テナント)のニーズと合致しているわけではありません。当社は周辺調査やヒヤリングによりそれらのギャップを識別し、潜在価値の高い物権を選出し仕入れます。一方、顕在化している借り手だけでなく、潜在的な借り手のニーズを把握・想定し、対象物件の潜在価値を最大限に高めることができる企画を練り上げ、借り手のニーズに合った物件を提供します。まさに、「ハンドメイド型不動産再生事業」が当社の特徴であり強さです。

★今後の業績の伸びに自信

――今期の業績と先行きの業績展望についてお願いします。

 【麻生社長】 2012年3月期から連結決算となります。去る、8月10日に公表の数字では売上13億8000万円、営業利益2億8000万円、純益2億円、1株利益1388円の見通しです。配当は未定です。賃貸管理、建物管理(プロパティマネジメント)、コンサルなどの不動産ソリューション事業にも力を入れています。当社は自己ポジションでの投資というプリンシバルインベストメント事業であることから外からの制限を受けることなく、自らの企画・立案で力を発揮することができます。このため、今後の業績は、かなりのスピードで伸ばすことができると思います。

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:39 | 社名と企業戦略
2011年01月18日

建設技術研究所:わが国初の建設コンサルタントとしてスタート

■日本最初の建設コンサルタントの設立

 建設技術研究所<9621>(東1)は、1945年(昭和20年)8月に「国家緊急建設の要請に応える」ため、人力作業の機械化などの研究を目的に「財団法人建設技術研究所」が設立されました。1950年(昭和25年)頃になると、産業の復興に合わせ水力発電所が競って建設され、当財団が調査・計画・設計に携わるようになり、日本中の仕事の半数をこなすほどになりました。

■財団法人から株式会社に

 昭和30年代の高度経済成長期に入り、東京オリンピックもあり、高速道路、新幹線の建設など、公共事業が増え設計業務も増えました。建設コンサルタントの数も増大し、当時の建設省(現国土交通省)はコンサルタントの登録制度を作ることになりました。
 これをきっかけとして当財団を発展的に分離し、昭和38年4月に株式会社を設立しました。なお財団法人は現在も存続しており、建設技術に関する研究事業を行っています。

ビル

■公共事業の投資削減時代も、
 「プロポーザル方式」で増収増益


 現在の同社の事業は「公共事業などの総合コンサルティング業務」。
 具体的には、河川、ダム、道路をはじめとしたインフラの、企画、調査、計画、設計、施工管理、運用維持管理など。加えて、それらに関連する、システム開発や事務処理受託も行なっている。
 おもな客先は国や都道府県・市町村などの官公庁。一部、鉄道・電力会社などの民間企業も客先となる。

 実際の業務は、建設・建築業界で設計事務所が行なっているような仕事を、「土木」分野で行なっている。
 たとえば、道路なら、沿線の地形に合い、かつリーズナブルなコストなどを勘案した路線の設定から、途中に建設する、橋梁、トンネル、高架などのデザインから図面引き等までを行なう。
 実際の施工は、官公庁がゼネコンや施工会社に発注する。

 現在、国や地方自治体の財政が逼迫し、公共事業投資が削られる傾向にある。が、インフラ整備は必要なものなので、需要はゼロにはならない。
 たとえば、ダムなどの河川整備。日本の河川は一見、整備が進んだように見えるが、実は、災害への対応という観点からいうと、まだまだ水準に達していないケースが多いという。

 また、同社の場合、「プロポーザル」(技術力による選定)方式による発注への対応を強化。最適なコストでより良質なプランを提案するため、高い受注高を維持している。

 業績は、2007年12月期連結で、売上高306億円(前年比5.6%増)、経常利益16億1000万円(同18.1%増)、純利益7億5000万円(同8.4%増)の増収増益を見込んでいる。

■不況期まっただなかに社長就任

建設技術研究所 大島一哉社長 大島一哉社長は、1946年生まれ。大分県出身。
 1969年に東京工業大学 理工学部 土木工学科を卒業、建設技術研究所 入社。
 技術第5部(河川)部長、取締役、常務取締役、専務取締役、取締役副社長などを歴任し、2003年3月、代表取締役社長に就任した。

 社長就任当時は不況期まっただなか。
 業界全体で売上高が下落し、人件費抑制のため、新規採用を抑えていた時期だ。同社も例外ではなかった。
 が、大島社長は、在職者の給料を抑えてでも、新規採用し、仕事量を増やすことにした。新卒者と、同業他社やゼネコンなどから優秀な人材を採用した。
 そして、客先に対し、コストだけでなく、技術面や景観まで含めた提案を行なった。これが多くの受注実績につながり、業績回復につながった。

 当時はまだ、いわゆる分配型社会・護送船団方式の時代。不景気な時には、各社の仕事が減る社会構造だった。
 しかし、価格競争だけでなく技術面も含めた提案を行なうと、発注側も前向きに考慮してくれることがわかった。
 翌年も新人を採用。社内に活気と自信が生まれ、プラス展開の好循環が生まれた。

 大島社長の持論である。
「不景気になると企業は採用を抑制しがちだが、そうすると、年齢構成が不均等となり、先々にツケが来る。採用計画は5年、10年先を考えて判断しなければならない。経営上、大事なことだ」

■当時は、借入金が……

 同社は1990年頃までは銀行からの借り入れが大きく、利益の半分は利子の支払いに消えるという状況だった。
 大島社長は、社内の企画委員会委員長の時に、借入金の返済と、運転資金の確保を目的に、株式公開を提案した。

「一生けんめい働いても、利益を銀行に持って行かれて残らない。そんな話には納得できない」
ということだ。

 1994年、日本証券業協会に株式を店頭登録。
 1996年、東証2部上場。
 1999年、東証1部に上場した。

■仕事の認知度を高め、社名浸透へ

 既述したとおり、同社の事業はおもに官公庁が相手であるため、エンドユーザーの認知度はあまり高くない。
 大島社長は言う。
「社会資本の計画・設計という、大きな仕事をしている自負がある。今後は、当社の行なっている仕事についての認知度を高め、社名を浸透させていきたい」

中長期ビジョン『PHOOS 2015』では、
1. コンサルタントとしてのシェア拡大
   河川・道路など主要分野でのシェア1位などを目標(一部分野ではすでに達成)
2.コンサルタントとして新分野へのチャレンジ
   資源、エネルギー、生活関連分野など
3.建設分野の新業態へのチャレンジ
   発注者支援ビジネス(後述)など
4.新ビジネスへのチャレンジ
   知的財産ビジネスの展開など
――を掲げている。

(PHOOS=「フォース」はギリシャ語で「光」の意)

■新事業は、海外、都市、マネージメント

 今後、重点的に開拓していく新事業は、
「海外」「都市」「マネージメント」
の3分野だ。

 「海外」は、いま勢いのある中国・韓国をはじめとして、フィリピン、タイ、インドネシア、モンゴル、ベトナムなど。分野は河川・道路・都市を中心に想定している。現地企業との合弁で子会社を設立するという形も考えている。
 とくに中国では、「環境」ニーズが出ており、将来的に大きな市場があると見ている。

 「都市」は、日本の少子高齢化と人口減に対応した都市再構築や、地方都市の空洞化への対応などだ。また、ターミナル駅などのシームレス化、つまり、各路線の乗り継ぎや乗り換えのつなぎを良くする、といったこと等が挙げられる。

 「マネージメント」は、発注者支援ビジネスや、PFIにおけるCMなどだ。

 発注者支援業務とは、たとえば公共事業の発注者(官公庁)が、提案された複数のプロジェクトのなかから、コストや安全性など最適なプロジェクトを選定する際に、発注者に比較材料を提示したり、助言を行なったりする業務だ。
 最近は技術の高度化・複雑化や、団塊世代の大量退職などにより、官公庁では技術面に不案内な者が発注責任者となってしまう場合もあり、プロジェクトの品質が懸念されている。そのため、民間からの支援が必要となっており、今後、この事業のニーズが高まることが予想される。

 PFIは「プライベート・ファイナンス・イニシアティブ」の略語で、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、技術、経営で行なうことだ。
 このPFIを実施する場合、プロジェクトの監督や調整などを、発注者である官公庁などが行なわず、専門家などに委任する場合がある。これをCM(コンストラクション・マネジメント)という。

 大島社長は言う。
「公共事業=受注産業という受け身の姿勢にとどまらず、新事業開拓、技術者の能力向上などへ積極投資を行ない、さらなる事業拡大と魅力ある会社づくりを進めていきたい」
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:27 | 社名と企業戦略
2008年04月15日

スターティアの本郷秀之社長に『社名の思いと戦略』を聞く

スターティアロゴ
社名への思いは、「輝く星(スター)と芸術性(アート)を結びつける(ティア)」会社でありたい

スターティア社長 スターティア(3393・東証マザーズ)は、中小・中堅企業のデジタルデバイト(情報格差)解消に貢献することを目的にオフィスのインフラを総合的に提案する"ワンストップソリューション"を提案している。特に、1昨年開発した「電子ブック」が出足好調だ。社名への思いと戦略を本郷秀之社長に聞いた。

オフィスインフラを綜合的に提案し中小・中堅企業の情報格差解消に貢献

――創業から同じ社名ですか。

本郷社長
 いいえ、最初、平成8年2月の創業の時は有限会社テレコムネットでした。平成8年10月に商号を株式会社エヌディーテレコムに変更し、現在の社名に変更したのは平成16年4月です。

――どのような思いが込められていますか。

本郷社長
 天空に輝く星(スター)のようにグループ企業を展開していきたいという思いと、アートという芸術面も大切にした企業でありたい、それをティア(結びつけ)するという思いで、それらの言葉を一緒にして「スターティア」という社名にしています。社内公募でつけましたが、もちろん、私の思いも込められて、気に入った社名です。

――事業についてお願いします。

本郷社長
 社名にも関連するのですが、われわれは、中小企業のデジタルデバイト(情報の格差)を解消し、それらの企業が活力に満ちた事業体となるためのお手伝いをすることを使命としています。その目標に向かって、オフイスのインフラを総合的にご提案する、"ワンストップソリューション"を展開しています。具体的には、「オフイスのファシリティ(設備)のソリューションサービス」、「通信システムの機器販売、設計、施工、保守メンテナンス」、「ネットワークの構築、セキュリティ対策、システムインテグレーション(情報システムの立案・導入・保守まで同一企業が一括して行うこと)」、「レンタルサーバ・サービス、eBook作成支援ソフト、Web制作」、「ASPサービス、ICカード勤怠管理システム」、「携帯電話販売、モバイルソリューションの企画・提供」、「オフイス用品通信販売サイト」などです。

――ワンストップシステムについて、もう少しお願いします。

本郷社長
 パソコン、サーバー、ファイアウォール、ビジネスホンなどのIT関連商材の取り扱いから、オフイス立ち上げに伴う不動産案内、ネットワーク構築、サーバー環境の整備に至るまでの当社を窓口とした一括アウトソーシング体制です。

――まさに、総合的な事業展開ですが、いくつかに括ると、どのような「事業」となりますか。

本郷社長
 「機器関連事業」、「回線受付関連事業」、「ASP(アプリケーションサービスプロバイダ=アプリケーションソストをインターネットを通じて顧客にレンタルする)関連事業」、そして子会社での「人材派遣及び紹介事業」、などです。「機器関連事業」は今、申し上げましたIP電話、コピーなどの複合機器(MFP)、ネットワーク機器などの販売を行っています。全体の売上の67%程度です。「ASP事業」はWeb制作、ホスティング(サーバーのレンタル)、電子ブックなどです。「人材派遣事業」は首都圏中心にこれから本格的に力を入れていきます。

1昨年開発の「電子ブック」が出足好調、大手出版社等の採用相次ぐ

――電子ブックということですが、最近、注目されていますね。

本郷社長
 書籍などをテキストデータ化し収録したものですが、実際の本をめくるような音も出ますし、ヤフー、グーグルとの検索にも連動するようになって、注目度が高まっています。当社は出版と印刷業界に特化した営業を展開しています。従来は1枚3000〜5000円でしたが、当社のソフトを入れるだけで枚数に関係なく各自で作ることができます。電子ブックを手がけることにより、ホームページの制作も相乗効果で増えています。

――納入実績はいかがですか。

本郷社長
 1昨年に開発して商品化したところで、まだ日は浅いのですが、たとえば小学館、角川書店、日本経済新聞社、ダイヤモンド社、アシェト婦人画報さんなどです。こうした著名な企業に導入していただいていますので手ごたえは十分にあり、今後、業界のスタンダードを取れるように頑張ります。また、大阪、福岡でも販売ルートを作って伸ばしていきます。

2009年3月期は「先行投資の本格的な刈り取り」の局面

――足元の業績についてお願いします。

本郷社長
 08年3月期は売上高32.8%増の43億5200万円、営業利益32.35減の2300万円、当期純利益1200万円(07年3月期は3400万円の赤字)と発表していますが、ほぼその線になると思います。配当は年350円を予定しています。営業減益となるのは内部統制に関係した経費や地代家賃の増加、グループで43名の新卒採用による人件費の増加などによよるためです。

――「企業ステージ」のイメージについてどのようにお考えですか。

本郷社長 そうですね、決算期で申し上げますと、2006年3月期までを「ビジネスモデル確立期」、2007年3月期は「顧客・規模・商材の拡大」、2008年3月期は「大組織での管理の仕組みの確立」、2009年3月期は「先行投資の本格的な刈り取り」という流れです。中堅企業のIT関連需要の拡大により、売上は高成長を達成しています。収益性は規模拡大、大組織における管理の仕組みの確立期にあった昨年から今年にかけて低迷していますが、足元で利益が出る仕組みが着実に進展し、来期(09年3月期)以降、成長性と段階的収益性の確保という2つの課題達成を目指していきます。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:56 | 社名と企業戦略
2008年02月19日

技術全般+客先企業の信頼に応えるパートナー、技術者派遣のパイオニア企業、アルトナー

アルトナー(2163・ジャスダック)

アルトナー社長様最初左向き.gif アルトナー(2163・ジャスダック)は1962(昭和37)年、「株式会社 大阪技術センター」として設立した。
 当初は設計会社としてスタートし、技術者派遣事業を行なうようになった。技術者派遣事業のパイオニアだ。

 特定派遣(技術者派遣)のスキームをつくったのは同社である。
 たとえば、設計などの上流工程、つまり、より高度なスキルを持つ技術者に特化した派遣であること。客先企業に技術面の提案などができること。
 新卒者・一般採用ともに、自社の技術者として雇用し、研修を行なったうえで、客先企業へ派遣する。
 そのため、研修力には定評があり、企業の人材研修を請け負うことも多い。また、社内の研修担当が大学で非常勤講師を務めたり、学会で論文発表することもあるほどだ。

 1998(平成10)年、「株式会社 アルトナー」(ARTNER)に社名変更。
 「Art」(技術全般)を追求し、クライアントの信頼に応える「Pertner」(パートナー)であり続ける、というコンセプトを社名にした。

 現在、おもな客先企業としては、電気機器業界向けが前期売上高実績の約半分と最も多い。家電、電気・電子部品向けの機械・電機電子・ソフト関連の設計開発業務が大きなウェイトを占めている。

●人材確保――ボリュームだけでなく、質も追求

 最近、少子化と団塊世代の大量退職で人材確保の難しさが指摘されている。
 企業の直接採用も進んでいるため、派遣業界では人材確保が大きな課題とされている。

 それに対し、同社は業界の老舗企業として、長年にわたる採用実績や、産学提携の実績など、大学との太いパイプがあり、優秀な人材を「安定供給」できる土壌がある。
 今年度も、例年に劣らない採用数を確保。昨年度は167人が入社、今年度も同水準の人員を確保する見込みだ。

 入社直後に研修を行ない、早い人で約1ヵ月、9割の人は約3ヵ月で派遣先に出る。派遣先では、「新卒者」的な位置づけとして迎える。
 また、派遣後も、追跡研修を行なったり、いったん社内に呼び戻して研修を実施するといったフォローも行なう。

 関口相三社長は言う。
「現在の事業規模を維持し、かつ、これまでと同様のペースで(10〜20%)成長を続けるために必要な採用数は確保済み。また、今後も確保できる基盤をすでに整備した」
 現在の社員数は728人。今後は新卒・一般採用 合わせて、毎年200〜250人のペースで、コンスタントに採用していく。
 さらに事業を発展するためには、年300〜500人の採用規模を想定している。

 また、同社の場合、ボリュームだけでなく、技術力など、人材の質を問われる。軽作業や単純労働などの派遣事業と異なる点だ。

 その対応として、多くの大学と産学連携で、若手技術者の教育ノウハウについて、情報交換や交流を行なっている。同社45年の歴史で培った、短期間で基礎技術を習得するノウハウがあるためだ。ノウハウは、時代の要請に応じて、常にブラッシュアップをしている。

●会社を継ぎ、就任時から上場計画を

 関口相三社長は、1964(昭和39)年生まれ。
 1983(昭和58)年、メイテック入社。この同業他社で5年間勉強した後、1988(昭和63)年、大阪技術センター(現 アルトナー)に入社した。
 2002(平成14)年、父親である故・関口優社長(前会長)の後を襲って社長就任。

「5年間、業界リーディングカンパニーであるメイテックの企業文化にひたっていたため、相対比較して、かなり違う当社の企業文化に、入社当初はとまどった」
と関口社長は振り返る。

 当時のメイテックは、新進気鋭の会社で、名証2部に上場したころ。飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
 一方、アルトナーは事業が伸び悩んでいた時期で、企業文化は、「保守的」。
 会社を継ぐことよりも、まず、企業文化の違いに衝撃を受け、とまどいを感じた。
「同じ事業を行なっているのに、バックボーンその他で、企業文化や会社の雰囲気がこんなに違うのか」
というのが第一印象だったという。

 上場計画は、就任時からすぐに始めた。新社長として経営方針のひとつに盛り込んだ。2006年までを準備期間とし、当初計画どおり、2007年に上場した。

●業績は安定的に成長、中計発表へ

 今期2008年1月通期業績予想は、売上高50億4900万円(前年実績比18.7%増)、経常利益4億円(同38.5%増)、純利益2億1200万円(同41.2%増)の大幅な増収増益を見込んでいる。ここ数期、業績は右肩上がりで来ている。

 2008〜2012年の中期経営計画では、2012年に売上高倍増を目指す。
 また、現在上場しているのはジャスダック市場だが、次の市場にステップアップできるレベルの利益規模を目指すという。

 テーマは「ステップアップのための中期経営計画」。「業界環境の成長が鈍化しても、当社は継続的に10〜20%成長のできる体制をつくる」ことを標榜した。

 その施策の1点目は、技術力など、強いところをもっと伸ばすこと。
 2点目は、少子高齢化に対応できる、人材確保の手段を確立すること。
 現在、新卒者と中途採用の割合は9対1なのだが、今後は、第二新卒市場を重点的に狙い、一般採用枠で取り込む。現在、新卒者は売り手市場といわれるものの、離職率は高いため、狙い目だと見ている。

●経営の根源は「エンジニアの育成」

 関口社長は、
「経営理念の根源は、エンジニアの育成。当社の使命だと思っている」
と強調する。

 まずは、基礎教育。能力開発部という、教育専門の部門がある。
 さらに、派遣先のニーズに応じて最先端の実務ノウハウを積む。
 職域・階層ごとにリーダーを設定。リーダーが社内講師となり、毎週、研修を行なう。

「エンジニアが、エンジニアとして仕事していくのに必要な要件をそろえている会社にしたい。
 アルトナーで、エンジニアとしてのやりがいを見出せる要件をそろえ、かつ、事業を成立させる」

 同社に入社した場合、一生、エンジニアとして働くこともできるし、エンジニアをサポートするポジションに就くこともできる。2つの道が用意されている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:00 | 社名と企業戦略
2007年11月28日

「サラダ感覚で食べられる浅漬け」の嚆矢、コンビニ普及とともにM&Aで全国展開

ピックルスコーポレーション(2925・JQ)
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 ピックルスコーポレーション(2925・JQ)は「浅漬け」を中心とした、漬物メーカー。業界トップシェアを持つ。

 1977年に、『きゅーりのキューちゃん』などの「古漬け」トップメーカー『東海漬物』(本社・愛知県豊橋市)の子会社『東海デイリー』として設立した。

 当初、メインの客先はセブン−イレブン・ジャパンで、国内店舗数がまだ200〜300店の時代だった。
 が、セブン−イレブンの拡大にともない、同社も成長。それぞれの地元の有力企業と、合弁による工場新設などで、全国展開してきた。

●事業内容をわかりやすく社名に

 1993年、現在の『ピックルスコーポレーション』に社名変更した。

 このころ、年商が50億円を突破。人員、工場、設備、製造キャパなど、すべての面で軌道に乗った。
 今後の成長を見据え、優秀な人材確保のために、また、事業活動上、「子会社」色を薄める必要性が出てきたことなども理由だ。加えて、株式上場を意識し始めた時期でもあった。

 社名は、社内公募と専門業者への依頼で作成した。

 「漬物」を意味する英語「ピックルス」に、「会社」という意味の英語「コーポレーション」をつけ、事業内容を、国内外の誰にでもわかりやすい社名にした。

 ロゴのコンセプトは、「新鮮、清潔、外国人にも読める」こと。また、ナスとキュウリをイラスト化して、新鮮な野菜と浅漬けをイメージさせるデザインにした。

 1999年、年商150億円を突破。
 2001年、ジャスダックに上場した。

●時代の嗜好を先取り

 成長の理由は、2点ある。

 まずひとつは、普及黎明期のコンビニと組んだこと。

 そしてもう1点は、時代や流通業態に合致した商品づくりや製造・出荷体制を構築したことだ。

 コンビニの客層は10〜20代が中心だ。そのため、塩度を落として薄味にし、サラダ感覚で生野菜の味を味わえる商品とした。
 野菜は、工場近くに立地する生産地の契約農家から直で仕入れる。安全性と鮮度、おいしさにこだわるとともに、野菜の収穫日付もハッキリしているからだ。
 パッケージは従来になかった、小袋包装とした。
 製造方法や設備は、調味料から温度管理まで、従来方式とは全く異なる、新しいシステムづくりを行なった。
 また、年中無休のコンビニへ納入するために、独自の製造・物流システムを構築している。

 結果的に、同社の施策は、時代を先取りしたことになる。
 その後、消費者の嗜好が変化し、塩度が低く、野菜のおいしさを味わうタイプの浅漬けが好まれるようになった。

●全国展開、さらに市場開拓へ

 全国展開は、首都圏は自社工場、各地区はM&Aで進めてきた。

 首都圏は、千葉、神奈川、埼玉に自社工場を建設。
 各地区は、それぞれの地元で、惣菜、煮物等の有力企業と合弁などで工場を新設。
 ただし、製品製造にあたり、合弁会社の従業員に対し、同社における研修を実施して同社独自のノウハウを提供した。

 現在、全国で生産体制が整っているのは同社だけであり、その強みを活かして、新規顧客開拓を進めている。
 また、中四国、九州など、開拓の余地の大きい地区もある。
 一方で、たとえば大阪地区は売上が増えたためフル稼働しており、新工場の新設を検討している。

 現在の販売先は、セブン&アイ・ホールディングスグループのセブン−イレブン、イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどであり、今後は地域密着型のスーパーなどへも営業展開を強化していく。

 現在の商品構成は、自社製品は浅漬け、キムチ、惣菜。
 仕入商品は他メーカーが製造している梅干、沢庵などの漬物、外食産業向けの青果物などがある。
 今後は、スーパーの惣菜売り場向けの惣菜製品を強化していく。

 M&Aについての方針として、同社が重視しているのは、「どういう得意先を持っているか」。
 たとえばデパートや各地域の有力スーパーなど、自社が持っていない取引ルートを持っている企業が、おもな検討対象となる。

●「食の安全」とコンプライアンス

 最近、「食の安全」とコンプライアンスについて話題になることが多い。

 同社の場合、当初から一貫して国産野菜を使用。
 前述したとおり、契約農家で、減農薬・有機堆肥など栽培方法にこだわった野菜を使っている。
 契約農家は全国に500件以上あり、専業農家にしぼっている。定期的に現地へ行って、実施状況を確認している。これらは安全性だけでなく、おいしさなどの優位性にもつながる。

 また、ラッキョウや梅などの仕入商品についても、工場訪問などを行ない、安全性の確認を行なっている。

 品質管理については、HACCPや、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001を取得し、品質管理レベルのさらなる向上を進めている。

 環境保全活動については、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001を取得し、廃棄物の削減、省資源、省エネ活動、地域の環境保全活動などに積極的に取り組んでいる。

●キムチ、ナムルなど、新商品分野も育成

 浅漬けを主力としつつ、今後は新製品分野も育てていく。

 有名焼肉店『叙々苑』(じょじょえん)ブランドのキムチを発売しており、キムチ分野は大きな柱にしていく。
 2006年5月ごろから販売を開始しており、少しずつ売上高、販売先ともに増えてきている。発売後の反応は良く、ブランド力と美味しさが差別化につながり、安売り合戦には巻き込まれていない商品だ。
 今後は、叙々苑ブランドを使用した新商品『ミックスキムチ』の発売を予定している。

 このほか、おでん大根、ナムルなど惣菜商品のラインナップを拡充。この分野も販売を伸ばしており、荻野芳朗社長は「この2〜3年で大きな柱になるのではないかと見ている」と言う。

 今期2008年2月通期連結業績予想は、売上高174億8600万円(前年実績比4.2%増)、経常利益3億8800万円(同9.5%増)、純利益2億0500万円(同6.2%減)。

 業績には野菜の価格が影響する。
 使用している野菜の7割以上が契約栽培だが、市況により多少、仕入れ値が変わってくる。
 また、天候不順などにより、契約先だけで予定量を確保できない場合は、他の産地から早取りせねばならず、それにより、原材料費に影響が出る。そのため、業績見通しは慎重に見ている。
 が、アナリストからは「上方修正しても良いのではないか」と指摘されている。

 荻野社長は、資本政策として、「個人株主の増加を今後は進めていきたい」と説明する。そのため、課題である流動性への対応、株主優待の検討などを進めている。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:03 | 社名と企業戦略
2007年10月29日

コンピュータは社会インフラの時代に、「クレスコ」=ラテン語で「成長する」

kuresuko.gifクレスコ(4674)

 クレスコ(4674)はコンピュータソフトウェアの開発事業を行なっている。
 金融・流通向けのビジネス系アプリケーションソフトの開発に定評があるが、ミドルウェアソフトから、サーバやネットワークの構築、システム間の接続、データベースの構築まで、さまざまな基盤系システムの開発を得意としている。

 「ミドルウェア」とは、コンピュータの基本的な機能を提供し、システム全体を管理する「オペレーションシステム(OS)」と、ワープロ・表計算・ゲームなど、目的ごとに設計した「アプリケーションソフト」の中間的なソフトだ。

 また、情報通信端末・自動車用オーディオ・情報家電などに内蔵する組み込み型ソフトでも実績がある。

 熊澤修一社長が、
「今や、コンピュータは社会インフラのひとつとなっている」
と指摘するように、現在、コンピュータは、産業、金融、国民生活のあらゆる場面で使われている。

 そのなかで、ますます重要度を増している、同社の事業とは――。

●ミドルウェアと組込型ソフトに強み

 クレスコは1988年、前身の企業『テクトロン』と『メディアリサーチ』が合併し、ソフト開発会社として創立した。

 社名は、ラテン語で「成長する」という意味。「着実に進歩し続ける」「会社を大きくしていこう」という意気を込めた。

 また、「cresc」と「o」の間に「end」を挟むと、音楽用語の「crescendo」(クレッシェンド=音をだんだん大きく)、つまり、「成長し続ける」「成長を終わらせない」という語呂合わせにもなる。

 2000年9月、東証2部に上場。2001年9月には早くも1部へ指定替えとなった。

 先般発表した修正後業績予想は、2008年3月通期連結で、売上高139億円(前年実績比10.0%増)、営業利益6億6000万円(同13.6%増)、経常利益9億1000万円(同9.8%減)、純利益4億円(同601.8%増)。

 経常利益の減益は、出資先企業の配当金が無配になったことなどが理由だが、事業は堅調に成長路線を歩んでいる。

 とはいえ、ここまで順風満帆だけで来たわけではなかった。

●ITバブル後、徹底的に組織改革

 2000〜2001年のITバブルの時期には、需要を反映して、さまざまなプロジェクトを立ち上げたが、2001年には大きな不採算プロジェクトが発生し、2002年3月期は損失計上となった。
 創業以来、初の赤字である。

 が、同社の対応は速かった。

 コンサルティング会社から専門家を招き、組織・マネジメント面から、現状を検証し、課題を徹底的に分析したうえで、案件の精査、新たな品質管理基準の策定、役割・権限の明確化など、社内改革を行なった。
 プロジェクトのリスクについても社内基準を作成し、リスク管理を強化した。

 また、ITバブル後は、業界全体の受注単価が下落した時期だ。
 単価が下落しても利益が出るよう、体質改善を行なった。
 それまで属人的だった技術・知識をデータベース化し、共有した。研修体制も拡充し、生産性のさらなる向上を図った。

 熊澤社長は、
「人間、困った時にこそ知恵が出るものだ」
と実感したそうだ。

 改革を推進しやすい、自由闊達な社風も奏功の理由だった。

●新事業としてソリューション事業を育成

 現在の事業は、「ビジネス系ソフトウェア開発」と「組み込み型ソフトウェア開発」の2セグメント。
 前期実績の売上高で見ると、前者が77.2%、後者が22.8%の構成比となっている。

 ビジネス系ソフトウェア開発事業は、市場自体が大きく、需要も多い金融関連、公共サービス、通流など向けのアプリケーションソフト開発が中心だが、冒頭触れた、同社の強みであるミドルウェアソフトの開発技術はここでも重要な役割を果たしている。

 組み込み型ソフトウェア開発事業は、情報端末、自動車用オーディオ、情報家電などに向けた開発を主としている。
 たとえば、カーラジオに組み込むソフトには、高速で移動しながらでも確実に電波をキャッチし、同期(連関)させる高度な技術が求められる。
 また、同事業では、パソコン用の通信カードなども手がけている。

 身近な生活用品に、同社の技術は使われているのだ。

 さらに、新事業として育成しているのが、「ソリューションビジネス」だ。
 客先企業の「困っている」課題や、「こうしたい」というニーズに対応して、さまざまなシステムソリューションを提供する。

 現在、着手しているのが、セキュリティ分野だ。
 具体的には、ネットワークからコンピュータに接続する際の個人認証や、情報漏洩対策である。
 同社オリジナル製品『セキュアダイブ』を核に、事業を軌道に乗せていく構えだ。

 熊澤社長は言う。
「ソリューションの技術力・提案力があれば、オフショア(新興国などへのシステム開発委託)時代にも、アドバンテージを持って仕事ができる。同業他社との差別化にもつながる」

 顧客にとっての安心感、経営効率化、ビジネスチャンス拡大、情報資源活用を提供する。結果、顧客との信頼関係が結ばれ、さらに顧客の立場でよりよいソリューション提案ができる…という好循環を図る。

 これが同社の目指す「メインITパートナー」である。

 背景には、繰越利益やキャッシュフローなど財務が良好なため、必要な時には思い切った開発投資ができるという強みもある。

●コンピュータは社会インフラに

 熊澤社長は1956年生まれ、神奈川県出身。
 1979年に東海大学工学部を卒業。朝日ビジネスコンサルタントに入社した。

 国内大手メーカーへ出向し、おもに大型汎用機のOSと通信管理システムの開発に携わった。
 当時はメーカーごとにコンピュータの仕様や設計が異なった時代。相互接続のために互換性を持たせたり、異機種間結合を行なう通信規約にしたがってネットワークを構築するために、各メーカーやシステム事業者と折衝する経験も積んだ。

 その後、「自分の技術が外の世界で通用するか、試したかった」(熊澤社長)ため、1990年、クレスコに入社した。
 2004年、取締役ソリューション本部長、05年常務などを歴任。06年、社長に就任した。

 日本のコンピュータ普及の黎明期から業界を見てきた目には、現在のコンピュータは、道路や電話などと同じ、社会インフラになったと映る。
 企業におけるコンピュータの位置づけも、当初は計算機の延長線上にあり、業務効率化のツールにすぎなかったものが、現在は、経営戦略に直結している。
 コンピュータがストップするということは、社会インフラがストップすることと同義になっている。

 この業界は、「人」が財産であり、資産だ。一般的には、3年で一人前、7〜10年でプロジェクトリーダーになるという。
 技術だけでなく、顧客のニーズを汲み取り、システムについて説明できるコミュニケーションスキルが求められる。知識と経験、ノウハウの蓄積とともに、日進月歩の新しい技術を吸収する柔軟性も必要だ。

 コンピュータの重要性増大、多様なニーズに合致したソフト開発、ソリューションの提供、人の育成。そして、経営判断のカジ取り。

 かなり難しい仕事ばかりだが、熊澤社長は、
「責任が重いほうが、仕事はおもしろい」
と、技術者として鍛えられてきた経営者の自信をのぞかせる。

 加えて、社会への貢献、株主への貢献など、やるべきことは多い。
 日本のインフラをテクノロジーで支えているという自負が、熊澤社長の仕事のやりがい、原動力になっているという。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:53 | 社名と企業戦略
2007年09月25日

「国際・金融・情報・サービス」の頭文字「IFIS」(アイフィス)

アイフィスジャパン(7833・東マ)
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 アイフィスジャパン(7833・東マ)は、1995年、証券会社が出す調査レポートの、印刷・製本・配送をトータルで受託する、アウトソーシング事業者として設立した。

 大沢和春社長は初め、コピー機メーカー、フジゼロックスの営業部門に在籍していた。その当時、アメリカへの赴任経験から、「起業したい」という思いが生じた。
 その後、KDD、セガ、金融情報サービス世界大手のトムソンコーポレーションで経験を積んだうえで、アイフィスジャパンを設立した。

●国際金融情報サービスの頭文字「IFIS」

 アイフィス(IFIS)の社名は、業務内容である、インターナショナル(国際)、フィナンシャル(金融)、インフォメーション(情報)、サービスの頭文字を取った。
 また、会社の基本理念である、イノベーション(革新)、フェア(公正)、イニシアティブ(先取)、サティスファクション(満足)の頭文字でもある。
 大沢社長の「日本市場の発展に寄与したい」という、創業の動機を表している。

「創業からこの十数年は、日本の金融業界の再編、国内企業の再編、外資系金融機関の日本市場への参入・撤退など、激動の時代だった。そのなかで、当社はおかげさまで売上高を右肩上がりに伸ばしてきた」
と大沢社長は振り返る。
「株式市場全体が不振の時代だったが、金融機関のアウトソーシング需要が伸びるなど、マイナスインパクトが、却ってビジネスチャンスになった面もある」

●投資情報とドキュメント、
 両事業を展開するユニークなビジネスモデル


 証券市場の需要の変化にともない、同社の事業内容も変化してきた。

 現在は、株式投資をはじめとした「投資情報事業」と、上場企業の開示情報や、証券会社のレポートなどの、紙媒体印刷・配送業務、ファックスや電子メールによる配信等の「ドキュメント事業」を行なっている。
 どちらかの事業のみを行なっている同業他社は複数存在するが、両方を行なっているのはほぼ同社のみで、業界ではユニークなポジショニングにある。

 現在の事業をセグメント別に見ると、
 ▽投資情報(今6月中間期の売上高に占める構成比10.5%)
 ▽IR(同7.3%)
 ▽証券ドキュメント(同43.7%)
 ▽投信ドキュメント(同38.5%)
――の4事業としている。

 投資情報事業は、ネット上の『IFISリサーチ・マネージャー』などの自社サイトに、証券会社の調査レポート、上場企業の開示情報などを集約して掲載。
 投資家は各社のサイトをいちいち見なくても、このサイトで情報を一元的に見ることができる。検索機能などの利便性も高い。
 月額使用料が同社の収入となる。

 おもな客先は、信託、銀行、証券会社、生損保などの機関投資家と、上場企業だ。
 現在、機関投資家約170社、証券会社約30社と取引しており、業界上位企業をほぼ網羅している。
 同社のサービスを利用する上場企業は約260社。今後はこの分野をさらに伸ばしていく。

 また、『IFISコンセンサス』サイトでは、各証券会社アナリストの予想値などのコンセンサス(平均値)を算出し、同社独自の情報として提供している。機関投資家のなかでは、事実上の業界標準となっている。

 IR事業は、上場企業のアニュアルレポートや決算短信などの配信受託などを行なっている。
 この分野も伸びしろが大きく、今後さらに伸ばしていく分野だ。

 証券ドキュメント事業は、上記の情報について、紙媒体の印刷から配送まで、また、ファックスや電子メールによる配信などを受託して行なっている。創業時からの事業であり、全社売上高に占める構成比が最も大きいセグメントでもある。

 投信ドキュメント事業は、投資信託についての目論見書や販売用資料の制作などだ。

●2010年には売上高100億円、さらに次のステージへ

 今期2007年12月通期連結業績予想は、売上高36億5000万円(前年実績比30.3%増)、経常利益4億5000万円(同3.9%増)、純利益2億円(同14.0%減)。
 純利益の減益は、子会社の買収、つまり先行投資によるものだ。

 2005年9月に上場した際、「2010年に売上高50億円」を目標とした。
 が、この目標は、2008年にも達成する見込みとなった。
 次の目標として、2010年には売上高100億円、経常利益20億円が視野に入ってきた。

 しかし大沢社長は言う。
「100億円達成は、次のステージへの通過点だ」

 現在の事業の延長線上で、100億円は達成できると見る。
 さらに次のステージへ上がるために、新事業として、個人投資家向けマーケットと、海外展開を進めていく。

 足元では、今期から100%子会社となったキャピタルアイ(本社・東京)で、株式・債券の発行市場についての情報配信などをスタートした。
 昨年設立したアイフィス・インベストメント・マネジメント(本社・東京)では、投資顧問業務を開始した。
 さらに、金融機関向けのASPサービスを開始する。財務データや自社レポート作成に使用できるシステムやソフトを、インターネット経由でレンタルする事業だ。

「今後、個人投資家へ向けて、ダイレクトに情報発信を行なうようになれば、知名度もいっそう上がるだろう。
 将来は、個人投資家と機関投資家の情報格差をなくしていきたい。それが、市場活性化につながると思われる。
 情報が適正に流れれば、金融市場も適正な流れに乗っていく」
と大沢社長は指摘する。

 機関投資家や上場企業に対しては、情報ベンダーとして、グローバルな競争力を維持拡大するためのサポートを続けていく。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:10 | 社名と企業戦略
2007年09月21日

「データベースの銀行」、「100年に一度のタイミング」に起業

パイプドビッツ(3831・東マ)
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 パイプドビッツ(3831・東マ)は、客先企業から顧客情報を預かり、自社開発ソフト『スパイラル・メッセージングプレース』を使い、独自のノウハウで客先企業のビジネス運用をサポートしている。
 同社が標榜する、「データベースの銀行」とは――。





●顧客情報管理とマーケティング活用の、
 両方のメリットを提供


 佐谷宣昭(さたに・のぶあき)社長は、事業内容を、次のように説明する。

「銀行というお金のプロが、顧客からお金を預かって運用するように、当社は客先企業様から顧客情報をお預かりし、客先企業様の事業に活用する。
 今や、企業にとって、情報資産は金融資産と同じくらい重要な時代。銀行に金融資産を預けるように、当社に情報資産を安心して預け、運用していただいている」

 具体的には、電子メールなどを活用したマーケティング業務だ。

 ここでいうマーケティングとは、たとえば膨大な顧客情報から、顧客の属性や購買傾向をデータベース化し、それぞれの顧客の嗜好に合うようなメールマガジンを配信したり、ネット上でアンケートを行ない、その結果から、顧客のニーズに合わせた提案を行なう、データベースマーケティング、あるいはeメールマーケティングと呼ばれるものだ。

 客先企業の社内には、サーバもソフトも専門家も置く必要がない。
 それでいて、顧客情報の安心・安全な管理と、そのデータを活用した収益拡大の、両方の利便性を享受できる。

 同社は個人情報保護法に則り、セキュリティにも万全の体制を布いている。ファイアウォール(侵入防止システム)もシッカリしているので、客先企業同士の情報が混入する心配もない。

 加えて、銀行の窓口で資産運用の相談ができるのと同様に、担当者に相談して、アドバイスや提案を得られる。
 たとえば、「毎日、決まった時間に、こんなメールマガジンを配信したい」とか、「データベースを活用して、こういうことがしたい」など、相談すれば、それに対応したシステム構成やサービスを提供される。
 配信代行サービスなどのメニューもある。

 同社の収益の柱は、これらの月次利用料となる。

 また、ソフトの開発・運用、客先企業への提案営業など、すべて自社で行なっているのが特徴だ。

 事業のベースとなるのは、自社開発ソフト『スパイラル・メッセージングプレース』。
 メールマガジン、アンケート、資料請求や問い合わせ受付、会員管理などの基本機能があり、さらに、客先企業の要望に応じてカスタマイズも行なう。

 同社は2000年4月、メールマーティング支援事業を行なうコンサルティング会社のシステム子会社サハラとして設立した。
 同年12月、MBOにより独立。

 翌2001年1月、社名を現在の『パイプドビッツ』とした。
 「つなぐ」という意味の動詞「パイプ」の過去分詞形と、情報単位「ビット」の複数形から成る。
 同社の、「情報の集まりを扱う」という役割と、独立時の「一致団結してやっていこう」という決意を表している。
 2006年12月、東証マザーズに上場した。

●100年に一度のタイミング

 佐谷社長は1972年、愛媛県生まれ。
 1995年、九州大学工学部建築学科卒業。
 2000年、同大学院人間環境学研究科博士課程修了、博士号取得。同年、サハラ(現パイプドビッツ)を設立、社長に就任した。

 専攻は都市計画だったが、なぜインターネットとマーケティングの会社を起業したのか?

 佐谷社長は答えた。
「100年に一度のタイミングに遭ったからだ」

 佐谷社長が大学・大学院に在籍した1990年代半ばは、インターネットの普及が拡大した時期と重なる。
 情報化は、文化や社会を大きく変革する、100年に一度の機会だといわれていた。

 佐谷社長が在籍した大学は、インターネット環境が充実していた。しかし一般的な大学や企業では、まだまだ普及・活用されていないころだ。

 社会を見渡すと、上の世代にはもちろん、同世代にも競争相手はほとんどいなかった。

「われわれ(若手起業家)に勝機がある、数少ない分野のひとつだった。
 仕事を選ぶ時に、学生時代に学んだことを活かすという考え方もあるが、その時に遭遇したチャンスを活かすという考え方もある。
 私はチャンスを選んだ」

●「情報化で社会に貢献」、3つの成長戦略

 現代は、ネットなどを通じて、顧客データをはじめとした情報が、膨大に企業へ集まってくる時代だ。

 企業はネット経由で、顧客と直にコミュニケーションができるようになった。
 強みにはなるが、一方では、個人情報を安全に保管し、有効かつリアルタイムに活用するには、ノウハウや資金がないと、なかなか難しい時代でもある。
 せっかくインターネットの普及により、中堅・中小規模の企業や、地方の企業にもビジネスチャンスが生じているのに、相変わらず、企業の大小や資金力などで情報格差が発生している。

「品質の良いソフトの提供、シッカリした情報管理、誰にでも使いやすいシステム。本当の情報化で、社会の豊かさに貢献したい」
と考えたのも、同社を設立した動機のひとつだった。

 今後も、「データベースの銀行」というコンセプトをベースにしつつ、次の3点を軸に、成長戦略を進めていく。

 1点目は、有効アカウント数を増やすこと。
 つまり、新規客先企業の獲得である。同社の収益モデルは、大別して、「初期」「継続」「スポット」に分かれる。
 「初期」は、新規顧客の開設時の手数料、「スポット」は、追加設定や配信代行の課金だが、いずれも営業費用と原価がかかるため、利幅は薄めだ。
 最も利幅が厚いのが、「継続」、つまり月次利用料だ。収益の8割が、この部分である。
 2007年5月現在の客先企業は、951事業所、2000万件。しかしターゲットと想定される企業数は多く、伸びしろは大きい。今後も新規客獲得の手はゆるめない。

 2点目は、客先企業から預かる情報資産を増やすこと。
 提案により、既存客の使用メニューを増やし、客先企業あたりの収益を上げていく。

 3点目は、研究開発により、情報資産の種類を増やすことだ。

 創立以来、売上高、経常・純利益とも、右肩上がりで来ている。2008年2月通期業績予想は、売上高9億円(前年実績比28.2%増)、経常利益2億5000万円(同20.2%増)、純利益1億4800万円(同19.4%増)としている。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:52 | 社名と企業戦略
2007年09月19日

設立当初から、投資家をパートナーに「インフォメーションのカフェテリア」

インフォテリア(3853・東マ)

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 インフォテリア(3853・東マ)
1998年に、日本初の『XML』専業ソフト開発会社として創立した。
 平野洋一郎社長は、
「私はソフト開発を生業にして25年になる。日本のソフトを世界へ発信したいという思いが強い」
と語る。
 しかし、現実は、海外製ソフトの日本仕様品ばかりが流通している。
「自分たちがつくったものを、世界の人に使ってほしい」
との思いを実現するために、起業したという。

 ただ、ユニークなのは、
「設立当初から、融資を受けることは考えていなかった。最初から、投資家さんと組んでやろうと思っていた」
という点だ。
 その理由とは――。

●「投資家はパートナー」という考え方

 平野社長は、1963年、熊本県生まれ。

 熊本大学時代、マイコンクラブに所属し、日本語ワープロソフトを自分で作ったりしていた。そこからの流れでソフト開発を事業化し、仲間と会社を興した。

 が、その後、社内で、営業系と開発系のメンバーの考え方の違いが、浮き彫りになってきた。

 平野社長ら開発系メンバーの考え方は、「開発した技術を応用した製品づくりだけでは、先細りだ。将来へ向けて、次々と新しいモノづくりをしていかなければ」というもの。
 一方、営業系メンバーは、「明日のメシのタネも大事だが、きょうのカネがなければ、会社はつぶれる」という考えだった。

 結局、考え方の違いから、開発系のほぼ全員が、その会社を辞めることになった。開発技術と資金調達の、両立の難しさを実感したそうだ。

 その後、IBM系のソフト会社ロータスに入社し、10年半ほど在籍した。

 ロータス在籍中に、アメリカ本社との行き来のなかで、シリコンバレー式の起業のやり方を、間近でつぶさに見ることができた。

 アメリカのソフト開発・販売会社は、起業や製品開発開始にあたり、投資家と組むのがふつうだ。目先の運転資金を心配することなく、開発に集中するため、VCやエンジェルから、日本円にして、数千万円〜数億円規模の資金調達を行なったうえで開業する。

 VCはベンチャーキャピタル、つまり、ベンチャー企業への投資会社・投資資金のこと。また、ここでいうエンジェルは、ベンチャー企業への資金提供や事業支援を行なう、投資家や投資グループを指す。
 融資に比べ、資金調達のスピードと規模が大きく、同時に、失敗の場合のリスクが少ないなど、メリットが多いと実感した。
 また、アメリカでは、こうした投資の層の厚さと活気で、トライ&エラーを経て、良いソフトが開発されるということも知った。

 平野社長はその後、ロータスを退社し、インフォテリアを設立。翌日からVCとエンジェルまわりを始めた。これまでに、約27億円の資金調達を行なった。

 今年6月、東証マザーズに上場。IPOにより、ほとんどのVCは抜けることとなった。

●インフォメーション×カフェテリア
 =「必要な情報を、手軽にピックアップ」


 社名の『インフォテリア』は、インフォメーション(情報)と、カフェテリアを掛け合わせた造語だ。
 インターネットの膨大な情報のなかから、カフェテリアの料理のように、「必要な時に、必要なメニュー(情報)を、手軽にピックアップする」という、カジュアルさと自由さを表した。

 ミッションは、「ソフトウェアで世界をつなぐ」。これを実現するための手段が『XML』だ。『XML』とは、コンピュータに使用するデータ形式の仕様のひとつだ。

 1990年代半ばまでのパソコンは、メーカーや、システム、ソフトによって、すべて仕様が異なっていた。つまり、ネットで情報をやり取りしようにも、互換性がなく、つながらない。
 が、『XML』の場合、どのメーカーのパソコンでも、どのシステムでも使用できる。平野社長が起業にあたり、『XML』専業で行こうと決めた理由はそこにある。当時はニッチな技術(仕様)だったが、現在は、事実上の世界標準となっている。

 この『XML』を採用した同社の主力ソフトが『ASTERIA』(アステリア)である。
 最大の特徴は、従来のプログラミング言語と異なり、変更が簡易で、互換性が得られやすいため、異なる企業どうしでのデータ共有などがしやすい点だ。
 そのため、情報・通信、電気・電子、報道・メディア、製造、サービスなど、多くの業種で、合計360社以上が導入。とくに、ジャパンネット銀行をはじめとした金融関連でのリアルタイム決済、共同通信社をはじめとした報道ネットワークなどに強みがある。

 現在の事業は、『アステリア』のライセンス、技術サポートといった関連事業が、売上高の約9割を占める。
 ほか、『XML』の教育事業、技術者育成・認定事業を行なっている。
 2007年3月期実績の連結売上高は10億0900万円(前年比14.0%増)。2008年3月期の連結売上高は12億8200万円(前年実績比27.1%増)を見込んでいる。

●4つの成長戦略で、世界へ向けたソフトづくり

 今後の成長戦略として、次の4点を掲げている。

 1点目は、『アステリア』を軸とした、客先企業の開拓。
 ターゲットは、金融庁のEDINETや東証などで採用が進んでいる財務情報(XBRL)分野、電子カルテの標準化・共通化などの医療情報分野だ。

 2点目は、『アステリア』の製品力強化だ。
 コスト・機能ごとに3つの製品ラインを設けている。
 また、現在のCD−ROMでの出荷から、今後は、『SaaS』方式の導入を検討している。ネット経由で、ユーザーが必要な機能だけを使用し、使用分だけの代金を支払ったり、オンライン利用により課金する方式だ。

 3点目は、アステリア以外の第2、第3の柱づくり。
 すでに、『c2talk』(シー・ツー・トーク)、『Topika』(トピカ)、『OnSheet』(オンシート)など、新製品を投入している。

 4点目は、海外市場の開拓。
 まず、アメリカ市場では、シリコンバレーに子会社を設立。3人が常駐している。アジアでは、まずは中国を取りかかりに、市場を開拓していく。

●投資家と、タッグを組んで

「最後に、とくにお伝えしたいのは、当社の収益モデルは、一般的な受託ソフト開発事業者とは異なる点だ」と平野社長は強調する。

 たとえば収益率。同社の2007年3月期連結実績では、売上総利益率は73.8%、経常利益率は20.6%。
 これが、特定の客先企業から受託して、特定の目的のためだけにソフトを開発する受託事業者の場合、業界大手でも、売上高総利益率は平均10%程度、高くても20%程度の企業がほとんどだ。

 また、売上研究開発投資率は、情報サービス産業の平均1.0%に対し、同社は同実績で7.2%。

 つまり、同社は能動的に、まったく新しいモノ、あるいは基幹となるソフトを開発するため、先行投資はかかるが、いったん開発・発売すれば、一定数の販売以降は、売上の大半が利益となる。
 また、案件数や規模に関係なく、一定数の技術者で取りかかれるため、受託開発事業者のように、案件や受注状況に応じて技術者数等を調整する必要がない。

 投資家へ向けたメッセージとして、平野社長は次のように語る。
「中長期の視野で、4つの戦略を実行し、世界に通用するソフトを開発し、販売していく。中長期の視点で見ていただきたい」
 投資家と、「組んでやっていく」(パートナーシップ)という意識でいる。一時期、「モノ言う株主」という言葉が流行ったが、投資家の皆様には、どんどん「モノを言って」いたたき、タッグを組んで、一緒に仕事をしていきたい、という。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:48 | 社名と企業戦略
2007年02月05日

社員に「参加者=メンバー」たれ、企業文化と生業を表す社名「メンバーズ」

メンバーズ(2130・名セ)
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 メンバーズ(2130・名セ)は、剣持忠社長が1995年に設立した。
 上場は昨年11月。ITを活用した広告や販促活動などにより、顧客企業の収益拡大をサポートしている。

 剣持社長は1965年生まれ。1990年、早稲田大学教育学部卒業後、ベンチャーキャピタル最大手の日本合同ファイナンス(現 ジャフコ)に入社。コンサルティング業務に従事した。
 当初から、5年勤めたら会社を設立しようと決めていたそうだ。
 1994年12月に退職し、いったん光通信に入社して、営業現場を経験した。

●「儲かるサイト、つくります」

 1995年6月26日、メンバーズを設立した。
 コンセプトは、「ダイレクト・マーケティング支援」。当時は、テレビショッピングや、カタログによる通信販売が流行っていた。また、インターネット、ケーブルテレビ、衛星テレビが普及の途についたころだった。

 それまで、企業の販売は、小売か営業マンの対面売買しかなかった。剣持社長は言う。
「非対面のダイレクト・マーケティングのノウハウが企業に必要な時代になったと思った。その支援を行なう事業に、ビジネスチャンスがあると判断した」

 通販カタログ制作事業を経て、ウェブサイト(ホームページ)の制作事業を開始した。
 制作会社は先行企業を含めて、数多くある。システムに強い企業、デザイン力の優れた企業…。そのなかで同社が強調したのは、「儲かるウェブサイトをつくる」という点だった。
「ベンチャーキャピタル出身の私にできるのは、収益を上げるためのコンサルティング。そこに軸足を置き、特徴出しをした」

 すでに、「サイトをつくる」だけでは不足で、「サイトに人を呼ぶ」ことが重要だとわかっていた。
 当時はヤフー・ジャパンができる前で、「ネット広告」という概念さえ、なかった。そこで、現在のネット広告代理店が行なっているような業務を一から構築し、同時に、コンサルティングを行ない、客先企業の収益を上げる手段として、ネットを活用する提案を行なった。

 「メンバーズ」という社名は、会社の文化となりわい、ふたつの要素を表している。
 ひとつは、社員に「参加者(メンバー)たれ」と呼びかけるメッセージだ。
「社員一人ひとりが指示待ちではなく、経営者感覚を持って、仕事をしてほしい。自分の成長と会社の成長をリンクさせてほしい。社長と社員が、対等に意見を言える、という社風にしたかった」。
 もうひとつは、「データベース」「会員」「メンバー」というニュアンスだ。ダイレクトマーケティングのキモは、データベースや利用者を分析することだ。それを表現した。

●ワンストップ受注が強みの、デジタルマーケティング事業

 現在の事業セグメントは、「デジタルマーケティング事業」と「メディア&ツール事業」に分かれている。

 デジタルマーケティング事業は、ネット広告の代理店業務や、ウェブサイトの制作などにより、顧客の販促・マーケティングを、デジタルの側面からサポートする事業だ。

 同社のユニークな点は、ワンストップで行なう点にある。
 同業他社は、広告代理店ならネット広告の取り扱いだけ、SEM(検索エンジン最適化)事業者ならSEMの技術を提供するだけ、制作会社ならサイト制作のみを請け負う、といった具合に、特化型の企業がほとんどだ。

 しかし、この分野における顧客企業のニーズは多様で、「サイトへの集客のためにホームページをつくりなおしたい」といった依頼から、「ネット経由の売上を現在の○○倍にしたい。手法・手段は問わないので、最適なプランを提示・実行してほしい」といったニーズまで、幅広い。同社は、そのどれにも対応できる体制だ。

 今後のニーズとしては、単発での発注ではなく、ワンストップでの依頼が増えると見られている。同社の業績の伸び率が高く、今後も高い伸び率が見込まれているのは、そのためだ。

●『M−LINK』が主力商品の、メディア&ツール事業

 メディア&ツール事業は、自社開発商品の販売事業だ。客先企業へ直接販売・提供するほか、同業他社にも卸している。

 このうち、「メディア」部門は、たとえば、「携帯電話メール広告で、ユーザーが広告を見るごとにポイントを付与し、ポイントがたまったら着メロを1曲プレゼント」などの、モバイルサイトの運営を行なっている。

 一方、「ツール」部門は、同社では、おもにASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業を指す。
 予算や要望に応じて、メール配信の高機能ツールなどを提供する。

 このメディア&ツール事業で現在、最も力を入れている重点商品は『M−LINK』だ。
 簡単にいうと、アフィリエイト(成功報酬型)広告を、客先企業ごとにカスタマイズし、その運用サービスを提供するものだ。

 アフィリエイト広告は、広告主にとっては、どれだけ収益につながるかわかりづらい従来型の広告に比べ、より低リスクで広告を出せる。
 そのため、最近はアフィリエイト広告の市場が急速に拡大しており、2006年度は510億円規模、2008年度には1064億円市場になると見られている。

 この成長市場のなかで、大口広告主にターゲットをしぼったのが『M−LINK』だ。各広告主専用のアフィリエイトサイト網を構築し、広告配信、成果カウント、支払代行などを行なう。
 すでに36社で受注、うち10社でサービスを開始しており、2007年5月期末で100社の受注を予定している。
 アフィリエイト広告の大口広告主に特化しているため、1社あたりの平均売上高が大きく、導入1年目で1400万円を見込んでいる。

●2つの事業で、規模と収益性、両方の拡大を目指す

 業績を見ると、2006年5月期の実績は、売上高53億1000万円、経常利益2億2000万円、純利益2億2400万円。中期経営戦略では、2009年5月期で、売上高112億円、営業利益8億5000万円、営業利益率7・6%を目指している。

 事業別では、デジタルマーケティング事業は、顧客数を、2006年5月期比で2倍超の500社に拡大することを目指す。
 メディア&ツール事業では、利益率の高い自社商品を強化し、全社売上に占める当事業の売上構成比を、現在(2006年11月中間期実績)の約15%から、25%へと拡大する。
 つまり、規模と収益性、両方の拡大を目指す。

 剣持社長は今後の展望についてこう語る。

「今後はテレビとネットの融合がよりいっそう進むとともに、ネットを企業の収益に直結させることのできる企業へのニーズが拡大するだろう。当社にとってはビジネスチャンス拡大の好機となる」

「株式公開をテコに、さらに成長していきたい。ここまで述べてきたように、戦略を立て、実行しているので、今後の展開を見ていただければと思う」

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:44 | 社名と企業戦略
2006年11月27日

「ホスティング」=サーバのレンタル事業とネットの「セキュリティ」事業を行なう
GMOホスティング&セキュリティ

GMOホスティング&セキュリティ(3788・東マ)

gmoaoyama.gif GMOホスティング&セキュリティ(3788・東マ)の社名は長く、一見、難解に見えるが、実は明快だ。
 親会社のGMOインターネット(9449)の「GMO」と、主要事業である「ホスティング」、「セキュリティ」を組み合わせた社名である。
 ホスティングとは、サーバー(コンピュータ)の機能のレンタルのことだ。対象となる客先は、インターネット上にホームページ開設等を行ないたい企業や団体など。
 ホスティング事業者は、サーバーを分割して貸したり、またはサーバーを1台単位で貸したりする。不動産に例えると、前者はマンションを部屋単位で賃貸するイメージ、後者は戸建住宅を1軒貸すイメージだ。
 ホスティング事業者は賃貸物件の建築や、メンテナンス、管理業務を行なっている。

 セキュリティは、同社の場合、ネット上のセキュリティ対策業務を指す。具体的には電子署名・認証サービスを提供している。

 両事業とも、月額利用料金を複数月または複数年契約により前払いしてもらうシステムのため、常時安定的に売上が計上されるストック型ビジネスモデルとなっている。

●ネットビジネスの普及に不可欠

 同社は1993年にテレコミュニケーションのシステム設計や関連コンサルティングを行なう「有限会社アイル」として設立された。

 現在の青山満社長は1995年に入社し、ホスティング事業を立ち上げた。1997年、株式会社化し、社長に就任した。

 青山社長は1967年生まれの39歳。
 東海大学工学部卒業後、東京航空計器に入社し、フライトビデオレコーダーの開発に携わった。
 その後、スノーボードのメーカー・販社をアメリカで立ち上げ、日本でも商品をインターネットで販売しようと考えた。
 が、当時の日本では、ホスティング事業者がまだ少なく、品質・価格ともにアメリカと比べて数倍の格差があったという。
 そこで、
「日本でインターネットビジネスが普及するには、手ごろで品質の良いホスティングサービスが不可欠だ」
と考え、自らホスティング事業を始めた。

 2001年にグローバルメディアオンライン(現GMOインターネット)と資本提携した。2003年にセキュリティ事業へ参入。
 同事業が順調に事業の柱として成長したこともあり、2005年に現在の社名とした。
 同年12月、東証マザーズに上場。

 現在の年商は55億円(2006年12月通期予想)。
 売上高構成比は、ホスティング事業が約9割、セキュリティ事業が約1割となっている。
 ホスティング事業は安定的な収益を上げており、さらなる拡大を目指している。
 セキュリティ事業はまだ構成比は小さいものの、高い成長が見込める分野だ。2006年上期(1〜6月)売上高は2億1200万円(前年同期比約1・7倍)と、大きく伸長している。

 それぞれのセグメントの現況と展望をもう少し詳しく見てみよう。

●ホスティング事業の優位性は
 品質、サービスの幅、集客力


 ホスティング事業についての同社の優位性は、品質、サービスの幅、集客力の3点だ。

 品質とは、たとえば、複数のサーバーによる負荷分散により、万一、特定のサイトにアクセスが集中したり、サーバーのうち1台に不具合が起きた時でも、すぐに他のサーバーへ振り替えることができ、常に安定的な稼動と高速処理が可能、などの点である。
 こうした品質の優位性は、数多くの事業者が犇くなかでも過当な価格競争に巻き込まれる心配がなく、適正な価格水準と収益性を維持できる。

 サービスの幅とは、客先によって、ほとんど初心者が使用する場合から、かなり専門的に使用する場合まで、また、価格重視か、処理能力重視か、小規模で効率的に運用したいのか、大規模な設備投資を行なうのか、といった、さまざまなニーズに対応できるということだ。
 同社では『アイル』や『ラピッドサイト』など、いくつものブランドやサービスメニューを扱っている。

 集客力のベースは、全国約5000社のパートナー企業との「パートナー戦略」だ。全国の中小ホスティング事業者、ホームページ制作会社、ネット広告代理店、ソフトベンダー等のパートナー企業が窓口となっている。

 ホスティングは需要が急増しており、今後も大きな伸長が見込まれている分野だ。
 日本の市場規模は400億円。市場全体の契約件数は、2003年が約50万件、2006年が約80万件、2007年は約90万件規模と見られている。
 さらに、最近の傾向として、大企業が客先に加わることで、市場のパイが大きくなっている。とくに同社は株式上場で企業としての信用度や知名度が上がったため、大手企業からの依頼も増えているという。

●高成長分野のセキュリティ事業はシェアナンバーワンへ

 一方のセキュリティ事業はどうか。

 まず、業界環境を見ると、ネットセキュリティ市場は2004〜2010年の年成長率は21%と見られている高成長分野だ。

 そのなかで同社が行なっているのは、電子認証サービス、電子署名サービスである。
 現在、国内シェア2位で、8月末現在で25%を占有している。参入して3年で2位まで追い上げてきたので、「あと3年で追い越す」と青山社長は自信をのぞかせる。

 サービスメニューは3つある。
 ひとつは、ウェブサイトが本物であるという証明。
 もうひとつは、サーバーとクライアント間のデータを暗号化するSSLサーバ証明書。たとえば、個人情報の暗号化などだ。現在の主力はこのサービスで、来年2月に予定されているウインドウズ・ビスタの発売により、需要・普及が加速すると見られている。
 3つめは、クライアント側の個人証明だ。たとえばメールに添付する電子署名などがこれに当たる。

 子会社の日本ジオトラストが、米国ジオトラスト社の電子認証サービスについて、日本を初めとしたアジアでの総販売代理店としてサービス提供を行なっている。
 日本ジ社は今年8月に英国CSL社の株式を取得し、完全子会社化した。CSL社はヨーロッパにおける米ジ社の主要販売代理店だ。 今後はシステムの統一化、開発の合理化により、コストダウンと、スピーディな事業展開を行なっていく。

 今後の全社の中長期展開としては、ホスティング、セキュリティともに、基本は客先・案件の数を増やしていくことだ。
 スケールメリットにより効率化、高収益化を図り、市場のニーズに対応してワンストップサービスを提供する、総合サーバー事業者を目指す。

 2006年12月通期連結業績予想は、売上高55億円(前年比20.7%増)、経常利益13億円(同27.8%増)、純利益7億6000万円(同28.4%増)、1株利益6565円。
 期末(年間)配当は2150円と、株式分割を勘案すると前年比実質増配を予定している。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:15 | 社名と企業戦略
2006年10月30日

「SMO」=医薬品開発の臨床試験をサポートするサイトサポート・インスティテュート

smoyasudap.gifサイトサポート・
インスティテュート
(2386・東マ)


 サイトサポート・インスティテュート(2386・東マ)はSMO事業を行なっている。
 SMOとは何か?「サイト・マネジメント・オーガニゼーション」の略で、医薬品の「治験施設支援機関」のことだ。
 治験とは、製薬会社が新しい医薬品を開発・商品化する際に、病院等に依頼してその有効性や安全性の試験を行なうこと。
 同意を得た患者へ投薬を行ない、その経過などを記録していくわけだが、被験者の募集から、インフォームドコンセント(説明と同意)、投薬の内容やその経過・結果の記録など、多岐にわたる業務が必要になる。
 たとえば記録ひとつ取っても、規定の症例報告書への記入はかなり繁多な作業で、忙しい医師や看護師ではなかなか時間が取りにくい。そこをSMOが支援する。

■日本の医療に貢献

 SMOのサポートで臨床試験はスムーズ化され、より早く、より良い新薬開発が促される。ひいては、日本人の生活・医療の質の向上に貢献しているわけだ。
「新薬開発の促進により、患者さんがより良い、新しい治療を受けられるようになる。当社の行なっている事業は社会的意義が大きい」
と安田利正社長は説明する。

 日本の医薬品市場は6兆円規模であり、SMOの市場規模は400億円規模。SMOのニーズは高まる一方で、当面の成長率は年率10%以上といわれる。

 もちろん、社会的貢献と同時に、企業としての収益も重視している。
 同社は1999年に医療事務のコンピュータシステムの販売を行なう「メディケア・システム」として設立した。
 2000年にSMO事業へ参入。2001年に本格化、専業化するとともに、現在の社名に変更した。
 社名の「サイト」は医療機関(病院・診療所)を指し、同社の事業である「医療機関の臨床試験をサポートする」というところから来ている。

 最大の特徴は、CRC(治験コーディネーター)とSMA(治験事務局担当者)の両方の業務をトータルで受託できることだ。
 加えて、同社のCRCは医療の有資格者で、クオリティの高いサービスを提供できる。
 また、この業界ではローカルな小規模事業者がほとんどだが、同社は全国展開の強みがある。
 一方で、各地域の中核病院を中心とした治験ネットワークに参画しているため、効率的な治験ができる。
 SMOとしては後発であったが、規模と質の両方で、一挙にトップとの差を詰めたという。

■業績は今年度V字回復、黒転

 しかし、その急激な拡大路線の反動もあって、昨年度は、前年比増収を確保したが、経常・純損益は損失となった。

 そこで今年の初めから、安田社長が中心となってテコ入れを図った。

 安田社長は1948年生まれの58歳。京都大学法学部を卒業後、伊藤忠商事(8001)に入社し、法務や建設畑を歩いてきた。1998年に医薬品開発業務受託機関のシミック(2309)に入社し、この業界に入った。

 今年1月、サイトサポート・インスティテュートに顧問として入社し、業務や経費の内容を分析し、施策を打ち出した。
 営業推進部で受注を活発化するとともに、症例の獲得率を高めて売上増に結びつける。
 同時に、間接販売費の圧縮、管理部門の縮小を行ない、コスト削減に努めた。
 そのため、6月に社長就任した時にはすでにその成果が表れ始めていた。第1四半期(4〜6月)の業績は、売上高は前年同期比3割以上の増収、経常・純利益はともに黒字転換となった。
 2007年3月期は黒字回復が見込まれている。

「早期に業績回復の見通しが立った」と安田社長。
「受注とのバランスを欠いた社員の採用や、新規事業の拡大などで、コストが膨らんでしまっていた。原因はハッキリしていたので、それに対応したコスト適正化の手を打ってきた。その施策が効いてきている」

 9月中間業績予想は上方修正した。通期予想は売上高26億円、経常利益1億0500万円、純利益5500万円としているが、これも上方修正する可能性が高いと思われる。

 では、その先の目標は?
「製薬メーカーと医療機関の両方から、パートナーとして選ばれる企業になること。製薬企業、医療機関、SMOの三者がウィン・ウィンの関係になることだ」
と安田社長は言う。

 業界の拡大に伴い、SMO業者が増加して、過当競争になりがちだ。過度の競争は、自らの地位を貶めることになるのではないかと憂慮する。
 究極のミッションは、「日本人にとって、より良い治療、薬、医療機器ができるようサポートすること」。
 そして「日本のライフサイエンスの発展に貢献すること」だ。
 SMOの社会的な地位を高めたい。そのためにも、シェアを拡大してリーディングカンパニーの地位を目指す。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:20 | 社名と企業戦略
2006年10月25日

3つの非鉄金属と「新分野への挑戦」を社名にした非鉄金属商社のアルコニックス

アルコニックス(3036・JQ)alx_ceo.gif
 アルミと銅を軸に、チタンなど広範囲の非鉄金属を総合的に扱う専門商社「アルコニックス」(3036・JQ)の社名は、社内公募で社員が作った。
 「AL」はアルミニウム、「CO」は銅、「NI」はニッケルを表しており、「X」は「未知への飛躍」を意味する。同社が扱っている、主要な3つの非鉄金属の名前に加え、常に新しい分野へ挑戦する意志と、成長への願いを込めている。
 同社は事業を次の4セグメントに分けている。
 「軽金属・銅製品事業」はアルミニウム製品、伸銅品などで、構成比は33%。
 「電子・機能材事業」はチタン製品、化合物半導体、磁性材、二次電池材料、レアメタル(希少金属)などで、同37%。
 「非鉄原料事業」は自動車・家電向けアルミ二次合金、スクラップ等のリサイクルなどで、同24%。
 「建設・産業資材事業」はバルブ・継手・ダイカスト等の各種工業・産業用製品や、ビル・マンションの金属製金具工事、リニューアル、リフォームなどで、同9%となっている。

■日商岩井の販社として設立

 同社は1981年に「日商岩井非鉄金属販売」として設立し、アルミニウム、銅製品を主体にした非鉄金属の販売事業を行なっていた。
 その後、合併や商権移管、社名変更を経て、2001年に富士キャピタルマネジメント(現 みずほキャピタルパートナーズ)の支援でMBO(経営陣による企業買収)を実施。
 今年4月、ジャスダックに株式上場した。

 MBOファンドの最終目的は、IPO(株式公開)によるキャピタルゲインである。そのため、
「われわれとしても、当初から上場の準備を進めてきた」
と正木英逸社長は言う。
 事業規模を拡大し、収益を上げて企業価値を上げる。同時に社内ではコーポレートガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)を徹底し、態勢を整えてきた。

 現在の社名となったのは2005年のことだ。上場に向け、日商岩井(現 双日)の冠を外し、独立性を強調するためもあった。とはいえ、現在、安定株主として双日が同社株式の15.78%を保有している。

■レアメタルは需要伸長、収益力高く

 同社は非鉄金属の各分野で、業界トップクラスのシェアを持つ。
 売上高は2006年3月期実績で1276億円。非鉄金属の需要が自動車、ITを中心に好調であることに加え、商品相場が高騰していることも追い風となり、業績は今期も大幅に伸長中だ。
 先般、9月中間業績予想を大幅に上方修正した。

 セグメント別に現況と今後をもう少し詳しく見ると、軽金属・銅製品事業は旧日商岩井より引き継いだ神戸製鋼所関連の優良な商権が基盤となっており、今後もこれを維持拡大していく。

 電子・機能材事業は、チタンを含むレアメタル製品の扱いが多く、とくにこの分野は業界優位の位置にある。
 レアメタルは「産業界のビタミン剤」と言われる。少量だが絶対に必要なもので、とくにIT分野でニーズが爆発的に拡大している成長性の高い分野だ。独立企業としてIT産業向けレアメタルを大量に扱う会社はあまりないので、同社グループのシェアは大きく、比較優位の立場と相俟って、収益を上げやすい環境にある。

 非鉄原料事業も業界トップクラスの位置にあり、昨年度売上高は280億円。
 アルミ再生塊の需要は、自動車分野をはじめとして、増加の一途を辿っている。今後は各種リサイクル法の施行などで処理基準が厳しくなることを受け、貿易も含めた商社機能が発揮できる環境が整いつつあると思われる。

■M&Aで事業拡大、将来性も豊か

 正木社長は言う。
「今後は、M&Aと海外ネットワークの拡充により、さらに事業を拡大していきたい」

 同社はこれまで、3件のM&Aを成功させた。
 2004年に蝶理(8014)系のアドバンスト マテリアル ジャパンに資本参加し、ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウムなどのレアメタル事業に本格参入した。
 2件目は神戸製鋼所(5406)系の問屋である三伸林慶からアルミ・銅製品の営業権を取得した。同社は小売に近い二次問屋で、利益率が高い。
 また3件目は双日金属販売の営業権を取得、再生原料分野の強化を図ったもの。いずれの案件も同社の収益増に大きく貢献している。

 これらのM&Aにより、新分野の展開と強化を行なったが、今後も同様に、同業他社とのM&Aといったヨコ展開と、川上・川下事業者への投融資を実施していく。
 たとえば、製造業の経営、レアメタルリサイクル、燃料電池の合弁企業設立、家電・自動車リサイクル事業の海外での展開、川下の流通への参入など、さまざまなことを検討している。

 同社の海外拠点はこれまで6法人、7拠点を設置した。さらに増やしていき、海外の地場取引や三国間取引にも取り組み、収益の向上を図っていく。

 正木社長は、
「提案型ビジネスで業界をリードし、オルガナイザー的な機能を持ちたい」
と展望を語る。ただ品物を右から左へ動かすような、株式投資にたとえると、ブローカーではなく、インベスター(投資家)でありたい。ビジネスをクリエイトする組織でありたいという。

 正木社長自身は日商岩井の鉄鋼部門出身だ。2000年4月から現職。
 鉄鋼業界と比べると、非鉄金属業界は、流通を含めて、支配的なメジャーメーカーも顧客もない。自由度が高く、営業活動が活発な点が魅力だという。
 「毎日、よくこんなに案件があるものだと思う」と笑うが、企業としての挑戦目標はハッキリしている。事業規模を大きくし、企業価値を上げ、時価総額を上げること。
 現在は需要増と好市況というフォローの風が吹いており、そのなかで一生懸命努力すれば、必ず良い結果になる。社員にも「がんばれば自分自身にもリターンがある」といつも言う。「将来は明るい。成長する会社だと思っている」。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:25 | 社名と企業戦略
2006年10月20日

競争力ある介護施設づくりで高入居率、高収益

メディカル・ケア・サービス(2494・名セ)
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 メディカル・ケア・サービス(2494・名セ)は介護施設事業を行なっている。現在、全国に76ヵ所ある『グループホーム』事業を柱に、最近、『介護付き有料老人ホーム』事業にも参入した。
 グループホームとは、認知症(痴呆症)高齢者を対象とした、少人数の共同生活型の介護・リハビリホームのことだ。
 山中一範社長は
「介護保険制度のなかで、認知症介護はとくに専門性と奥行きの深い分野であり、常に重視される分野だ」
と指摘する。今年4月に実施された介護保険制度改正でも影響を受けず、今後も需要は伸長すると見込まれている。
 一方、介護付き有料老人ホーム事業は、第1号物件『アンサンブル大宮』を今春、さいたま市でオープンした。

●「土地活用」の観点から「介護施設」

 同社のホームは、地主に建物を建ててもらい、同社が借り上げ、運営を請け負うという形を取る。
 同社にとっては資産を保有しないため、リスクマネジメントを図れるとともに、利用料金等を比較的抑えられて、利用者のメリットにつながる。地主は土地を手ばなすことなく、介護施設という形で社会貢献ができる。
 親会社が不動産・建設業の三光ソフラン(1729・HC)であるため、最適な土地活用という観点から介護事業を行なうからだ。

 同社施設の特徴は、他社にない入居率の高さ。グループホームでいうと、新設から3ヵ月以内に満室となり、4ヵ月目から単月黒字、入居率は常時95%以上。業界1高い数字である。

●高い入居率の理由は

 グループホーム、老人ホームとも、入居率が高い理由はいくつかある。

 ハード面では、扱いやすい特注の椅子をはじめとした、充実した設備。

 ソフト面では、食事の質の重視。
 外注せず、自前で、できるだけつくりたてのものを提供する。塩分や糖分を控え、栄養バランスの取れた献立はもちろん、良い素材を仕入れ、全メニュー、美味しいものを出す。山中社長自ら、試食してチェックする。「食事は高齢者にとって楽しみであり、栄養、健康、元気の源になる」との考えからだ。

 ソフト面のもう1点は、人材だ。社内研修に力を入れており、全国の自社介護施設をつないだテレビ会議で朝礼や情報交換を行なっている。

 コストコントロールを行ないながらの、これらの施策により、「美味しい食事と人材という差別化により、逆に収益を生み出している」と山中社長は説明する。「競争力のある施設ができたと思う。今後展開するM&Aでも、こうしたノウハウを活用していく。収益をあげる、本格的な成長の時期に入ってきた」

●総合的な介護事業展開へ

 今後は総合的な介護事業を展開する。
 参入当初から全国展開を想定し、地域子会社を全国主要都市に設立済みのため、人口10万人規模の都市なら北海道から九州まで、全国どこでも対応できる。M&Aを含め、グループホームは年20棟、老人ホームは大都市圏で5ヵ所というペースを目指している。

 同社は1999年に三光ソフランの子会社として設立した。
 それまで山中社長は大手生保会社で代理店管理の北関東統括や保険新商品企画を行なっていた。三光ソフランの高橋誠一社長と介護事業の情報交換を定期的に行なっているうちに同社に興味を持ち、2002年2月に専務として入社し、同年6月、社長に就いた。

 全く異なる業種からの転身となったが、山中社長は「どんな業種でも、事業の基本は変わらない。お客様のニーズを把握し、業種ごとの法律・規制等に合致する、より良いサービスを提供して、お客様が増える仕組みをつくることだ」と言う。

 まずは早期にグループホーム100棟、老人ホーム来期5ヵ所を達成し、さらに全国のネットワークを広げ、ショートステイ(短期預かり)やデイサービス(日帰り介護)、訪問介護といった新事業も展開していきたいと意欲を見せている。
「将来的には、高齢者と介護者を対象に、さまざまなサービスを提供できる会社にしていく。介護事業にとどまらない成長性にご期待いただき、長く応援していただきたい」

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:04 | 社名と企業戦略
2006年09月15日

「スタッフ、ストラテジー、ソリューションをプール」
するエスプール

spoolurakami.gifエスプール(2471・HC)

 S−POOL(エスプール、2471・HC)の社名には、ふたつの意味がある。
 ひとつは、スタッフ、ストラテジー、ソリューションなどの「S」をプールして(蓄えて)、客先企業に活用してもらうという、事業内容を表している。
 もうひとつは、英単語の「spool」、つまり、糸巻き、中心という意味で、人材のチカラを引き出す、客先企業の仕事の中心になる、という願いを込めている。
 浦上壮平・代表取締役会長兼社長が起業したのは、「若い人に働く場とチャンスを与えたい」という動機と、「従来にない人材派遣・アウトソーシング企業を立ち上げよう」という発想からだった。
 創立は1999年12月。人材派遣・アウトソーシング事業者としては後発である。そのため、先行の同業他社との差別化を図る必要もあった。

●成果や効率を追求する独自のシステム

 最大の特徴は、作業系と営業系に特化しており、かつ成果や効率を追求する独自のシステムだ。

 作業系は物流センターやコールセンター、事務センターの伝票処理などだ。複数の派遣登録者に自社の社員をつけてグループで派遣する。社員がOJTしながら仕事を行なえるうえ、派遣社員の孤独感をなくせる。
 当初は時給制とし、作業に慣れて仕事が捗るようになってきたところで客先企業にピースレートを提案する。たとえば伝票なら1枚いくら、といったレートである。これにより、客先企業にとっても派遣登録者にとっても仕事の効率化につながり、同社にとっては粗利が上がる。3者にメリットが出るシステムだ。

 営業系は、クレジットカードの販促、ヤフーBBをはじめとしたインターネット会員の勧誘、携帯電話の販売支援など。時給制と、出来高に応じた歩合制を取り入れている。内容はアウトソーシングに近いが、労働者保護の観点から派遣契約としている。

●若い人が働く場をつくる

 もうひとつの特徴は、派遣登録者のほとんどを20歳代の若年層が占める点だ。
 募集対象として想定しているのはフリーターや学生で、実際、現在の登録者の約8割を占める。
 浦上社長が以前在籍した家庭教師派遣会社の知人から、いったんフリーターになると、やる気や能力があっても、責任ある仕事をまかされるチャンスは来ないと聞いた。「彼らが働く場をつくりたい。若い人にモチベーションを与える仕事をさせたいと思った」と浦上社長は言う。

 気楽に応募できるように、「1日でもOK」「簡単な仕事」と情報誌やインターネット上で募集する。全国24支店合わせて毎月2000〜3000人の新規登録がある。
 ただ、応募者の中には「仕事感」が弱く、服装や身だしなみなど、社会人としての基本から教えなければならない人も多いそうだ。そこで、「たとえアルバイトでも、仕事をしてお金をもらう以上はプロだ」とまずは意識づけをする。

 現在の累計登録者は10万人以上、月間4000人が継続的に仕事をしている。社員は180人で、うち82人はたたき上げだ。管理能力や営業力を買われて派遣登録者から正社員に抜てきされた人も多い。

●「トリプル・ワン・ビジョン」で売上高100億円超目指す

 最近は景気回復で正社員が増えており、派遣各社は人材の確保が困難になっていると伝えられる。が、同社の登録単価(登録者1人あたりの募集等にかかるコスト)は上がっていない。対象が短期雇用・単純作業市場のためだ。
 まずは1カ月働いてみてくださいと募集をかけ、良かったらもう1カ月続けてもらい、また良ければもう1カ月…、という方式を取っている。
 長期雇用の前提で募集をかけるとどうしても時給が高騰しがちだが、それを防ぐとともに、登録者にとっても応募しやすく働きやすいというメリットがある。
「派遣にしろアウトソーシングにしろニーズはいろいろあるので、市場も人材の確保も、ウイングを広げていく」と浦上社長。新しい業種にも参入したいと意欲的だ。

 同社では中期計画『トリプル・ワン・ビジョン』として「業界bPの給与水準を獲得し、生き生きと誇りをもって働く社員」、「日本bPのビジネスパートナー」、「5年以内にグループ売上高100億円超」を目指している。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:14 | 社名と企業戦略
2006年08月18日

イメージ情報開発(3803・HC)

ITの「老舗」、積極路線へ
『ネット・ビジネス・インテグレーター』標榜

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 イメージ情報開発(3803・HC)は創業者の代永衛社長が1975年に設立した。昨年創立30周年を迎えた、ITの「老舗」企業だ。
 これまで利益重視の方針で来た。が、ここへ来て、代永拓史副社長の事業継承路線への進行とともに、規模の拡大も重視する路線へカジを切った。
 設立当初はメディアとコンピュータを連動させて、企業の業務支援事業を行なっていた。
 当時はまだ大型コンピュータが企業内の業務に使用されていた時代。同社は印影の画像データ処理や、データの日本語化と印字といった事業を行なっており、その事業内容から『イメージ情報開発』という社名にした。

 現在の事業は、SIサービス事業、セキュリティ事業、ビジネスサービス事業の3本柱だ。
 SIサービス事業では『ネット・ビジネス・インテグレーター』を標榜している。
 一般的なシステム・インテグレーターのように、客先企業の既存の業務に合わせてシステムを構築するのではなく、客先企業の事業や業務のあり方自体から見直してIT導入や業務改革を促す。また、必要ならば同社のデータセンターで業務処理を請け負うため、システム構築の最上流から最下流までを押さえているのが強みだ。
 同社が最も重視しているのは、客先企業がIT化により利益を生み、かつ運用経費はできる限り抑えること。
 ハードやソフトは特定のメーカーに依存していないため、客先の需要ごとに最適なシステムを組み合わせて提供できる。システムを導入するよりも、同社の業務代行のほうがコストを抑えられるなら、それを提案する。
 客先企業のコストと業務の最適化を重視しているのだ。

 一方、セキュリティ事業は情報漏えい対策を中心に、さまざまな機器やシステムを組み合わせて提案している。ただ導入するだけでなく、導入後は使用状況を見ながら見直しを重ねて、ニーズに応じた、最適なシステムと運用方法を提案していく。
 ビジネスサービス事業は、同社のデータセンターでの業務処理代行だ。この事業はフィー(手数料収入)ビジネスなので、安定的な売上となる。

 現在、力を入れている事業のひとつが、このビジネスサービス事業のなかの『商店街サポートシステム』だ。商店街ごとに一括したクレジット導入を提案し、コンサルティングから立ち上げまで行なうもの。
 さらに、代永副社長は「ネットとリアルショップの融合や、決済、ポイント制など、新しい事業の構築へ向けて、シェアとサービスを厚くしていきたい。地域活性化のお手伝いをさせていただきたい」と意欲を見せる。

 同社の業績を見ると、この数年は売上高は横ばい、利益は拡大基調で来た。今後は売上高は20〜30%増の伸びを、利益率は現在の経常利益率15%を維持し、中期経営計画で3年後に年商30億円規模を目指している。
 SI事業とセキュリティ事業では、既存客の案件規模や案件数の拡大と同時に、新規顧客開拓も進めていく。ビジネスサービス事業は、安定的な継続とともに、新規顧客の獲得を図る。両者半々くらいの事業規模に育てていく。

 変わらないのは、客先企業のメリットを追求する姿勢だ。
 代永副社長は言う。
「まだ小さい会社だが、30年の歴史はある。これから積極的に成長路線へ進み、既存事業の拡充に加えて新規事業を立ち上げていく。ぜひともご期待いただきたい」

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:47 | 社名と企業戦略
2006年08月09日

スターティア(3393・東マ)

ミッションは「日本の中小企業を元気にする」
IT支援3事業展開 人材派遣子会社も立ち上げ
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 スターティア(3393・東マ)は、1996年に本郷秀之社長が起業した会社だ。起業の理由はふたつあった。
 学校卒業後、最初に就いた仕事は寝具の訪問販売だった。いわゆる飛び込み営業で、何年勤めても、新規顧客開拓を繰り返すだけ。営業成績はいつもトップだったが、継続的なビジネスをしたいと思った。
 そこで次に就いたのは、通信事業会社。ここでも頭角を現し、異例のスピードで管理職に就いた。が、経営者の放漫経営で会社が黒字倒産した。

 この時、本郷社長は「経営者が、経営のビジョンや公共性を持つことはとても大事だ」と身にしみて感じた。また、会社というのは、長く続かなければ、瞬間的にどんなに好業績で高収入でもダメだ、とも思った。痛感したのはふたつのことだった。「会社はつぶしてはいけない」。「正しい経営をすべきだ」。
 そんな経営者のもとで働きたいね、と当時の部下たちと話していたところ、自分たちで会社をつくったほうが早いのでは、という話になった。本郷社長とともに、当時の部下や前の会社の上司ら、数人でスタートした。

 当初は「有限会社テレコムネット」として設立した。が、業容が拡大し、社名と事業内容が乖離してしまい、また、将来的にホールディングカンパニーとしたい、そのコアになる社名にしたいと考えて社名変更した。新社名は社内公募を行ない、社員みんなで決めた。
 コアになる社名として惑星に対する恒星という意味から「スター」、また、「スタート」という意味も含まれ、「芸術のように人を感動させる仕事をしたい」という意味で「アート」、「結びつける」という意味の「ティア」などを複合した社名だ。

 事業コンセプトとして「オフィスのトータルソリューション」を標榜している。ミッションは「日本の中小企業を元気にする」と「大手と中小企業のデジタルデバイト(IT格差)をなくす」。儲かるかどうか、ではなく、顧客からの相談を受け、そのニーズに対応してきたら、事業が拡大して、現在の業容となった。

 現在の事業は3分野だ。
 ひとつは電話やインターネット関連機器の販売・メンテナンス。客先の需要に応じて、最適な組み合わせのシステムを構築し、機器販売、通信事業者との契約手配までを行なう。
 もうひとつはASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)サービス。この事業も、客先ごとに最適なシステム提案を行ない、インターネットを活用して売上増と経費削減につなげる提案をしていく。
 もうひとつはオフィスファシリティ事業だ。事務所などを移転する際に、面倒な各種手配、手続きを包括的に代行するとともに、移転先の最適なレイアウト設定から、オフィス家具や内装の手配まで行なう。

 今年4月には、子会社「スターティアレナジー」を設立した。ITに特化した派遣会社で、主としてニートやフリーターを対象にITの専門知識や技術を教育し、人材を求めている中小企業へ派遣する。
 また、東京と大阪の拠点に続き、今月には福岡支店を開設した。

 本郷社長は言う。「派手さは狙わず、着実な伸長を目指している。社員もみな優秀で、堅実に伸びる良い会社だと自負している。株式を長く持っていただける会社だし、長く持っていただきたいと思う。3年後、5年後をぜひ見ていただきたい」。

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:46 | 社名と企業戦略
2006年08月08日

エムケーキャピタルマネージメント(2478・東マ)

不動産の価値を高めて売却
最高の戦略で投資と資産管理


Mr.kato.JPG 加藤一郎太社長は大学卒業後、総合金融会社や不動産会社、不動産投資会社に勤めて経験を積み、エムケーキャピタルマネージメント(2478・東マ)を設立した。J−REIT(日本での不動産投資信託)が誕生した2001年9月、46歳の時だった。
 起業したのは、「日本市場になじみやすいアセットマネジメントをやりたい」と思ったからだ。アセットマネジメントは、直訳すれば「投資などを含めた資産管理」という意味だが、一般的には「投資や上手な運用により不動産の価値を高め、収益を高めること」という意味に使われる。が、当時は、輸入元であるアメリカ的な手法で、アグレッシブな不動産売買により収益を上げる企業も多かった。

 社名のエムケーは「maximize knowledge」、つまり「知識を最大化する」から来ている。「最高の戦略で業務を行ない、最高の知識を使ってキャピタルマネジメントを行なうという意味でもある」と加藤社長は説明する。他社にはない最高の知恵や戦略で事業を行なうと同時に、社員一人ひとりの最大知識もバージョンアップしていき、結果、全社の知識の融合により、優位性の高い独自のビジネスモデルを展開していくという考え方も込められている。

 事業を行なっていくなかで最も重視しているのは、同社の事業コンセプトである「アセット・デザイン・プロデュース」だ。対象物件の価値を創出する、または高めることをそう呼んでいる。受託資産や購入不動産について、必要に応じて建物の用途転換や設備の更新を行ない、価値を高めてから売却して差益を上げる。
 不動産価値の向上により手数料収入も上がり、利益率が高くなる。また、最近は都心のオフィスなど、賃料が上昇傾向に入った地域・分野が一部に出ており、こうした手間をかけている間に賃料相場が上がれば、収益によりいっそう反映できる。

 利益率の高さは、たとえば今期の第3四半期(2005年9月〜2006年5月)決算で経常利益率60数%と驚異的な数字になったことからもわかる。「今後も利益と収益性を重視する。経常利益率40%水準の維持を目標としている」と加藤社長。

 さらに、同業他社との違いは2点ある。
 1点目は、ファンドの資金を利用していないこと。1物件につき1社の、プロの投資家から出資を受ける。多数の出資者からの資金によるファンドビジネスではない。
 2点目は、短期でバリューアップして売却すること。原則1年、長くても2年しか物件を持たない。回転を速くすることにより、同社には手数料収入が、投資家には利益が早期に確保される。

 今後の新事業として、オフィス・商業ビルの開発事業や、不動産事業者向けのビジネスサポートローンなどのファイナンス事業を検討。すでに一部スタートしている。
「他社さんがやらないような事業モデルをつくっていきたい」と加藤社長は言う。「事業の性質上、売上高の急激な成長を目指すのではなく、堅実成長の路線で行く。着実に業績を上げ、株価も堅実に上がっていくような経営をしたい」

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:37 | 社名と企業戦略
2006年07月19日

プライム・リンク(2720・HC)

p.yamaguchi..gif新社長就任
業績V字回復へ 投資家の熱い期待


 プライム・リンク(2720・HC)は1995年、ベンチャー・リンク(9609)の子会社として設立した。当時は『ベーカリーレストラン サンマルク』のフランチャイズ事業を行なっており、サンマルクの理念が「プライムタイム=最高のひと時を提供する」だったので、そこから「プライム」を、ベンチャー・リンクから「リンク」を取って『プライム・リンク』とした。いまは資本関係はなくなり、グループ企業ではなくなっている。
 現在のおもな事業は、『炭火焼肉酒家 牛角』(250店)と『釜飯と串焼 とりでん』(100店)のエリアフランチャイズ事業、『居酒屋ダイニング おだいどこ』(8店)の直営・フランチャイズ事業である。

 山口伸昭社長は今年6月に就任した。
 その直前の5月に発表した2006年3月期業績は売上高が前年比減収、経常・純損益は赤字転落。米国産牛肉の輸入停止や鳥インフルエンザによる消費・出店意欲減退といった逆風に加え、減損損失や貸倒引当といった特別損失を一挙に計上したゆえの減収減益とはいえ、厳しい業績環境での社長就任となった。
 V字回復に向けて打ち出した施策の柱は5本。『おだいどこ』を中心とした新規出店、牛角など既存店へのテコ入れ、新業態の開発、M&Aなどの戦略的事業展開、調達の全面見直しをはじめとするコスト削減である。
 これにより、2007年3月期は売上高43億0800万円と経常・純利益の黒字転換、2009九年3月期に売上高54億1500万円、経常利益4億7400万円、純利益4億5400万円を目指す。

 現在、力を入れているのは自社ブランドの新業態『おだいどこ』だ。
 特徴は、半個室で落ち着いて飲めるが、客単価は3000円程度と抑えた点。また、お酒中心の都心繁華街と、料理中心の郊外ロードサイト店と、両方に出店できるのも特徴だ。3年間で150店規模を目指している。
 一方、既存業態の牛角、とりでんは一時期の消費不振や収益悪化から回復してきている。
 今後の新業態としては、今年9月に東京・高田馬場にオープン予定の『ぱすたんぱすた』と『韓式辛鍋酒家』(仮称)。
 前者は焼きたてパン食べ放題と生パスタ料理の店で、後者は肉や野菜、魚介類を韓国風スープで煮込む鍋料理店。前者はカフェ人気、後者は韓流ブームに対応し、女性客を狙っている。

 現在、同社傘下の店舗は350店あり、全国売上ランキングは65位となっている。これを3年後に500店、45位へ、さらに10年後には1200店、ベストテン入りを目指す。
 将来的には「海外へのグローバル展開をしていきたい」と山口社長。海外展開が対消費者、対投資家のネームバリューや社内のモチベーションに好影響を与えることは、フォルクスの社長時代に経験済みだ。

 対投資家といえば配当。現在は無配だが、その分株主優待を厚くしている。店舗での優待(食事券贈呈)なのだが、最近の株価で配当利回りに換算すると7%近い高水準になる。優待配当は山口社長の発案で今年度から中間と期末に分けて出すことになった。
 最近は個人株主が増えており、この1年間でほぼ倍増し7000人を超えた。山口社長は言う。
「6月に開いた株主総会後の説明会で、投資家の皆様から積極的な質疑をいただき、業績回復への期待をいただいていると感じた」
 ある個人投資家から「前期は業績がかなり悪化したので株を手放そうと思っていたが、説明会を聞いて、会社が大きく変わろうとしているのを感じ、投資を続けることにした」と言われたそうだ。
 神戸らんぷ亭社長、フォルクス社長を歴任してきた手腕に期待がかかる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:30 | 社名と企業戦略
2006年06月02日

メディビック(2369・東マ)

hashimoto.gif『テーラーメイド創薬』を標榜

 2000年2月、株式会社メディバンクとして設立した。が、同じ社名の企業が存在したため、同年11月に現在の『株式会社メディビック』に商号変更した。「メディカル・バイオインフォマティクス(生物情報科学)・コーポレーション」からの造語だ。

 同社グループが行っている事業は、バイオマーカー創薬支援、投資・投資育成、創薬の3つである。
 バイオマーカー創薬支援事業は、遺伝子情報を始めとした生体反応の解析技術から得られた情報、すなわち生体内のあらゆる変化の指標(バイオマーカー)を利用して新薬の研究開発を支援する事業のことで、製薬企業や研究機関が主な顧客となる。
 創薬事業はすい臓がんを対象とした抗がん剤の臨床開発を行っている。投資・投資育成事業はライフサイエンス企業を中心とした投資銀行サービスを行なっている。
 これら3つの事業が複雑かつ巧妙に重なりあって、他社にはないユニークなビジネスモデルとなっている。

 バイオベンチャーは、医薬品開発が主力で製薬企業を主要顧客とする「創薬型」、研究機関を主要顧客とする「研究支援型」、創薬型と研究支援型の特性を併せ持つ「創薬基盤技術型」の3つのタイプに分けることができるが、メディビックはその中で、一番将来が有望といわれる創薬に直結する技術を持つ「創薬基盤技術型」に属す。

 現在の収益を牽引しているのは、バイオマーカー創薬支援事業と投資育成事業だ。国内外のライフサイエンス業界において、専門性の高い企業やベンチャーへ投資や提携を行なうことにより、バイオマーカー創薬支援のビジネスを加速している。すでに投資先の2社がJASDAQやKOSDAQに株式公開を行ない、キャピタルゲインを上げた。
 橋本康弘社長は「優れた技術を持つ企業は、提携先としても投資先としても魅力がある」と指摘する。とくに中国や韓国など経済成長率の高い国の企業は、大きな収益性が期待される。

 一方で、高い将来性が期待できるのは、創薬事業だ。同社では『テーラーメイド創薬』(登録商標)を標榜している。
 これは、遺伝子型によって、薬の有効な人、副作用の出る人を判別(層別)し、薬を開発することをいう。同じ薬でも、効く人と効かない人、副作用の出る日と出ない人に分かれる。人の体質、つまり遺伝子の個人差によるものだ。
 テーラーメイド創薬が実現すれば、薬の種類を決めて個人に適した診断や薬の投与ができ、診断・治療の場において、個人に適した診断や治療を行う「個の医療」に役立つ。
 また、医薬品(新薬開発)の場においても、開発コストや費用を低減させることができる。少しでも多くの医薬品が誕生し、科学的根拠に基づいた診断・治療がされ、個の医療や予防医療が進めば、医療費の削減にも繋がる。国策とも合致しており、世界的に追い風が吹いている事業領域である。

 同社が行っているすい臓がんを対象とした抗がん剤の開発だが、すい臓がんは、患者数が少ない割に死亡例が多く、現在も患者が増加傾向にある。その一方で、有効な薬剤が乏しい。医療上のニーズが極めて高く、社会的貢献も果たせる分野なのだ。
 アメリカですでに、同剤の共同開発を行っているスレッシュホールド社が実験の最終段階に入っており、同国政府の食品医薬品局から、社会的ニーズが高い新薬の審査を迅速化する『ファストトラック 』(優先審査)の指定を受けている。
 メディビックでは、2011年ごろから売上計上できると見ている。

 とはいえ、会社全体の業績では、バイオマーカー創薬支援事業と投資・投資育成事業の伸びが大きいため、3ヵ年の中期経営計画では2008年度に売上高28億円、経常利益5億円と、黒字転換する予定だ。
 橋本社長は言う。
「日本ではバイオベンチャー投資の歴史が浅く、投資家の方々には、バイオはわかりにくいといわれる。企業としては、収益をあげるのは必須の使命であり、投資家への還元に努めていく。が、同時に、人の健康や医療に貢献するミッションを持って事業を進めている。創薬が具現化すれば、大きな革命的な企業になり得るので、ぜひご支援を賜りたい」
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:41 | 社名と企業戦略