
■「不況だからこそ拡大の可能性があるビジネス」を展開
バルクホールディングス<2467>(名証セントレックス)は、日本で最初にWebマーケティング調査を手がけた実績を持つ。しかも、法律に関係した自治体の情報公開、個人情報保護、日本版SOXなどのコンサルタント事業を次々と展開してきた。現在、個人情報保護法のプライバシーマーケティング・コンサルタント事業では日本最大の実績を持つ。今後はこうしたビジネスのストック化に力を入れる。光通信と合弁でSaaS事業も展開する。さらに、プログラマー不要の開発ツールの提供や同社の得意とする統計解析を駆使して、企業の業績拡大、新規事業の立ち上げを支援するコンサルティング事業もいっそう拡大する。特に、同社のビジネスは不況になるほど引き合いが多くなる事業で、昨年秋以降、急速に繁忙となっているという。村松澄夫社長へのインタビューを交えて、事業戦略を取材した。
■個人情報保護法の「プライバシーマーク」では日本で最大の実績誇りコア事業
村松澄夫社長はリコー出身。リコー本社では商品企画、関連会社ではコンサルタントを手がけた実績を持つ。小さい頃から機械いじりが大好きで理工系。「世の中に新しいものを提案して行くことが私の生きがいです」という村松社長。1994年(平成6年)に同社を設立、日本で最初にWebマーケティング調査を手がけ、法令による地方自治体の情報公開化で自治体向けコンサルティング事業、さらに個人情報保護法施行でプライバシーマークーコンサルティング事業、日本版SOX法対応の内部統制システム構築コンサルティングを次々と手がけてきた。「常に法律の先を読んでやってきたビジネスです」(村松社長)ということだ。
特に、「個人情報保護分野へ取り組んだのが当って平成17年に株式上場を果たしました。現在もプライバシーマークは当社のコア事業です。今後は単にサービス提供だけにとどまらず、ストックビジネス化に力を入れていきます」と今後への取り組みを強調する。
プライバシーマークとは、個人情報保護(JISQ15001)に適合したマネジメントシステムを整備し、個人情報の取り扱いを適切に行っている事業者を第三者機関である財団法人日本情報処理開発協会及びその指定機関が評価・認定し、その証(あかし)としてプライバシーマークと称するロゴの使用を許諾する制度。これによって、消費者は個人情報の管理が確実に行われている企業として安心と信頼の目印となる。企業間取引においても、プライバシーマークの取得が必要条件となっており、業務委託先の企業に取得を求める企業も多く出ている。さらに、官公庁においても、プライバシーマーク取得を入札参加の必須条件とするところが増えている。同社は企業のプライバシーマーク取得の支援サービスを手がけている。この分野では日本トップクラスの実績を誇り、1000社に達している。
同社は2007年3月に持株会社へ移行。現在、グループ会社は<アトラスコンサルティング>、<バルク>、<日本データベース開発>の3社。今年4月には光通信と合弁で同社51%出資のSaaS事業の新会社設立を予定している。
村松社長に今後の事業への取り組みについて説明いただこう。「<アトラスコンサルティング>は、企業の業績拡大や新規事業の立ち上げを支援するサービスです。消費者の動向を、われわれが得意とする統計解析を駆使して、企業に対し、タイミングにマッチした"次の一手"を提供します。不況になるほど引き合いが多くなる事業で昨年11月頃から急に繁忙となっています。同社のリサーチ事業とのシナジー効果も大いに発揮されています。また、<バルク>における経営革新システム事業部は、システム開発を手がけますが、とくにプログラマーが不要と言う開発ツールを活用するというものです。費用、工期が半分という画期的なものです。マーケティングはネットを使った市場調査で日本では最初に手がけた強さで大企業中心に90%がストック型ビジネスを展開しています。プライバシーマークは従業員100名規模の企業を中心に1万社が対象で、こちらもストック化を図って行きます」。
光通信とのビジネスはいかがですか。「インターネットでのサービス提供です。これまでは、いろいろなソフトを各企業で購入することが中心でしたが、これからは、ソフトを購入するのではなくネットでの提供が中心です。当社で企画開発を行い、光通信で販売します」。
■来期から業績は急回復へ
現時点では<バルク>の主力事業であるコンサルティング事業の落ち込みで業績不振となっている。しかし、来期以降は経営革新システム事業が大きく業績に寄与することと、コンサルティング事業へのテコ入れおよび<アトラスコンサルティング>の拡大により収益は著しく改善すると予想される。特に、「不況だからこそ拡大の可能性があるビジネス」(村松社長)は楽しみである。