翻訳センター<2483>(JQS)14年3月期中間実績は、ISSグループ子会社化(12年9月)で38.2%増の大幅増収、また、利益もM&A、事業譲受に伴う人員増などを吸収し、4.3%の営業増益となった。
共通する「言語」を媒介に、独自な2つの領域(翻訳・通訳)を統合した決断は、事業拡大、専門性強化など戦力増強へ乗算効果を呼び成長パワーとなっている。売上高、利益ともに過去最高更新の通期業績見込みは据え置いたが、進行中の第二次中計(終年は15年3月期)売上高100億円、営業利益7億円の達成で『産業翻訳のNo1』実現する大きなエネルギーを得た。
東郁男社長には同社グループの新しい姿や取り組みを聞いた。
■翻訳の新分野:事業譲受で制作体制強化〜営業の横展開が可能に
―――新年あけましておめでとうございます。今期業績は好調で株価にも活気が見えます。最終クオーターに入った足元の状況は如何ですか。
【東社長】 アベノミクスの効果といいましょうか、お客様の動きも積極的な姿勢が増えてきており、受注は堅調に推移しています。
■ISS子会社化〜全社に「刺激」と「変化」などもたらす
―――ISSグループの子会社化は、貴社の戦力を増強し成長力が加速したと注目しています。その辺りからお聞かせ下さい。
【東社長】 直接のお答えではありませんが、象徴的な変化が見られた事例を二つ紹介します。
その一つ目は、子会社化から8月で1年が経ち、直接の増収効果は一巡しましたが、子会社化したことによって全社的に「刺激」と「変化」をもたらしたことが挙げられます。
二つ目は、翻訳事業の新分野「ローカライゼーション/マニュアル翻訳」事業で、(株)アイタスから事業の一部を譲受した際、当該業務の担当者も社員として受け入れたことにより、営業の横展開が可能なまでに制作体制が強化できました。特に、専門性をより深く広くする方向で強化できましたので、事業推進体制の確立に一歩前進しました。見込み通りの収益力アップに繋がる成果だと認識しています。また、直近のトピックスとして、メディカルライティング業務の体制強化が挙げられます。製薬会社での新薬開発の経験豊富なメディカルライターが技術顧問として当社事業に参画することが決まっています。
―――貴社グループの成長性を示す明るい話ですね。現在進行中の第二次中期経営計画(終年15/3月期)への取り組み、進む方向について・・・
【東社長】 経営ビジョンとして掲げている「すべての企業を世界につなぐ言葉のコンシェルジュ」を志向し、言葉に課題を抱えるすべてのお客様にご満足いただけるようサービスを拡充し続けることです。
■「収益機会の拡大」へ基盤となる『専門性の強化』など4テーマに挑戦
―――具体的な施策についてお聞かせ下さい。
【東社長】 そのための施策として「収益機会の拡大」「収益力向上」という2大施策推進に取組んでいます。
「収益機会の拡大」については、(1)ローカライゼーションなど「新たな翻訳分野の拡大」、(2)既存分野での「専門性の強化」、(3)プリファードベンダー契約を推進し「受注の大型化」、(4)ISSグループとの「営業シナジー発揮」がテーマであり、「収益力の向上」については、(1)翻訳支援ツールの利用促進、(2)業務の効率化の2点がテーマです。
「収益機会の拡大」での4つのテーマは相互に関連しています。例えば、セキュリティや処理能力が評価されるビジネスでは、「専門性を強化」することで、高度で多様な顧客ニーズを満すことができ、信頼を得る対応だと考えます。この積み重ねが受注機会の増加・大型化につながり、当社の強みとして「新たな翻訳分野の拡大」を実現するのではないでしょうか。
■『ツール利用促進』『効率化』重点テーマに「収益力の向上」目指す
【東社長】 「収益力の向上」では、(1)翻訳支援ツールの利用促進、(2)業務の効率化の2点が重点テーマです。翻訳の品質を維持することが効率化への正道、決め手だと確信しています。そのためには、HC TraToolを含む翻訳支援ツールの活用が重要課題です。
―――上期のISSグループの育成は
【東社長】 ISSグループは、強固な財務基盤を背景に、長期成長を視野に、翻訳センターとのクロスセールスを行い、「翻訳」、「通訳・派遣・国際会議運営」という強みと専門性を活かす営業で顧客企業内の部署拡販、売上拡大に営業シナジーを発揮し、成果の最大化を図ります。
また、ISSグループは国内開催で過去最大級の首脳会合「第5回アフリカ開発会議」(6月・横浜)の全体運営を担当しました。7月には東京に次いで2番目に国際会議開催回数の多い福岡に支店を開設し、営業基盤の拡大も図っています。今後は国際会議の国内開催が増えると予想されるので、実績とノウハウを積み、さらなる大型会議の受注を目指したいと思っています。
―――前期の大阪本社移転に続き、2月には東京本部を移転されます。その狙いは・・・
【東社長】 現在の東京本部は、人員増もあり狭隘化してきました。さらに、ISSグループとのシナジー最大化を実現するためには、社内に生まれた「刺激」と「変化」の効果をさらに伸ばすべきだと考えました。同じ場所にオフィスを構えることで物理的なデメリットを排し、情報の共有化、意思決定・執行のスピード化によってグループの一体化の実現を図っていきたいと考えています。
―――ありがとうございました。
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