
星医療酸器(7634・JQ)は、無借金経営の良好な財務体質と、堅実な事業展開と同時に、高い成長という、相反する好材料を持っている。
同社は医療用ガスの首位企業である。これを切り口に、在宅酸素事業、有料老人ホーム事業、介護福祉機器事業などを展開している。
「いろいろなチャンネルから営業の切り込みができる。これは当社の強みのひとつだ」
と星 幸男社長は説明する。
●着実な医療用ガス事業と、高成長の在宅酸素事業
医療用ガスは製販一貫体制と、関東3ヵ所の製造拠点により、災害時等にも安定供給が行なえること、配送員が全員、高圧ガスの資格者である安心感と、それでいてコスト競争力があることが特徴だ。
最近は国立病院の独立医療行政法人化や、医療ガス市場の成熟化により、事業者間の競争が激化しており、同社にとってはビジネスチャンスが広がっている。
というのは、従来は医師の事業者指名等による随意契約が多かったが、コスト管理の面から、また、政府の方針により、一般入札方式による事業者選定が増えているからだ。
今後も、着実な積み上げを図っていく。
一方、在宅酸素事業は成長分野だ。
先般発表した9月中間連結決算では、この事業だけで、売上高は前年同期比8.6%増の11億5900万円、売上総利益は同16.0%増の8億0100万円をあげた。
国の在宅医療への施策や、高齢社会の進展などで、需要が伸長している。同社もこれに対応して、ヒト、モノ、カネを重点的に投下。たとえば、営業人員の約5割がこの分野に投入されている。
この分野も、自社の担当者が直接、客先に訪問するという安心感が好評を得ている。患者から「他社ではなく、星医療酸器で」と指名を受けることもあるそうだ。
●一番の強みは「人材」
星社長は言う。
「当社は『人』が一番の強みだ。業界唯一の上場企業であり、優秀な人材が、患者の命を守る最前線で、プライドを持って働いている。企業理念が社員1人ひとりに浸透し、現場に徹底している」
そのことを誇りに思っているという。
「将来的には東証上場も視野に、社員、お客様、仕入先、株主様のために、ますます努力していく。この仕事をつうじて、地域医療と社会に貢献していきたい」