
仏エアバス社の新型旅客機『A380』は、現行のジャンボ機よりひとまわり大きい、世界最大の旅客機だ。初号機は来年2007年10月にシンガポール航空に引き渡しが行なわれる予定。同機は去る11月19日、成田空港に試験飛行のため飛来、着陸した。空港には大勢の航空機ファンが詰め掛けて見学した。
同機には、ジャムコ〈7498・東2〉の製品も採用されている。
ジャムコは、航空機用のギャレー(厨房設備)、ラバトリー(化粧室)の世界最大手メーカーであり、ほかにコックピットドアをはじめとした内装品や、炭素繊維構造部材などの製造事業、航空機整備事業を行なっている。
●9月中間 仏エアバス新型機の発売延期でコスト増
2007年3月通期は増収増益へ
ジャムコの9月中間決算は、売上高と経常利益は前年同期比増収増益を確保したものの、純損益は3800万円の損失となった。
11月9日にひらいた中間決算説明会の席上、寺田修社長は、
「計画比は未達。もっと上ぶれするはずだった」
と、痛恨の思いをにじませた。
損失計上の理由は、エアバス社の新型機『A380』の度重なる発売延期による、下期以降への収益のずれ込みと、その影響で他の客先向けを含めた設計・製造計画が混乱したこと、他社向け製品の納期への影響を抑えるための輸送賃等のコスト増などだ。
しかし、炭素繊維部材や整備事業の好調、子会社や米現地法人の好業績、円安効果などで収益を確保して損失を抑えた。
下期以降は混乱も収まると見ており、2007年3月通期の業績予想は前年比増収増益を見込んでいる。
また、期末(年間)配当金は8円を予定している。
●米ボーイング社の受注も好調
航空機の需要は旺盛
説明会の質疑で、
「エアバス社のA380の発売延期は今後も重なると思うか」
という質問が出た。
寺田社長は「個人的見解」と前置きしたうえで、
「(発売延期は)今回で終わるのではないかと見ている」
と答えた。
また、エアバス社の発売遅延発表に対し、航空機の発注元である航空会社等の対応もまちまちで、キャンセルする企業がある一方で、逆に発注機数を増やした企業もある。「やはりA380が必要だ」という航空会社も多い。
また、ジャムコにとっての、もう1社の主要顧客である、米ボーイング社も、『787』『777』シリーズとも好調だ。
今月中旬には、米経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』が、
「ボーイング社は、今後収集間で100億ドル相当の契約を追加獲得する見通し」
「今年の引き渡し数は395機程度と見込まれている」
と報道した。
世界的に航空機の需要は旺盛であり、ジャムコの業績も、期待される収益を上げられる見通しだ。