
京写<6837>(JQ)は、京都に本社を置く、「片面プリント基板」の世界トップメーカー。今年6月に、児嶋雄二社長が会長に、児嶋一登専務(昭和46年7月生まれ37歳)が社長に就任した。大学は理学部出身で技術を得意とし、さらに、松下電工勤務、同社の香港、中国、メキシコ勤務の経験を持ちグローバルの営業感覚も持つ。「京都に本社を置く企業として世界に誇れる内容のある企業にしたい」と語る、児嶋一登新社長に聞いた。
■『京都企業の一員として世界に誇れる企業目指す』
――去る6月25日の株主総会と総会後の取締役会で社長に就任されました。社員の皆さんに、最初にお話されたことはどのようなことですか。
【児嶋社長】 『大きさを求めるより、内容のある良い会社にするよう皆さんと一緒に努力しましょう』と、量より質に力を入れることを強調しました。
――社名の京写には、「京都」を意味する「京」の思いが込められていると思いますが。
【児嶋社長】 そうです。当社は1959年に京友禅の捺染用スクリーン型の製造・販売会社として発足しました。社名には「京都」と、スクリーン「写真」に関係した事業ということが込められています。私も、非常に気にいっている名前です。その技術を活かして1967年にプリント配線基板の製造販売を手がけ今日に至っています。京都には優秀な企業が多く、本社も地元に置かれていますし、多角化より得意分野に特化されている企業が特徴です。見習うべきところだと思っています。当社も、『片面プリント基板』に特化し、世界シェアは首位の座にありますが、今後も、全社員が京写に対し誇りを持って、『世界の京写』として、仕事に喜びを共有できる会社にしたいと思っています。
――もちろん、京都のご出身ですね。少し、ご経歴をお願いします。
【児嶋社長】 高校までは京都でした。大学は神戸の甲南大学理学部を卒業、平成6年松下電工に入社し福島工場で勤務、その後、平成8年に当社へ入社しました。また平成19年には同志社大学大学院ビジネス研究科を卒業しています。当社に入社後は、香港、中国での勤務経験のほか、とくに、メキシコで現地法人を立ち上げた経験は大変貴重な経験になりました。特に、「大きな社会の流れをみることの大切さ」を実感できたことは経営の上で大いに役立っています。
――すばらしい体格ですが、運動もお得意では。
【児嶋社長】 アメフトをやっていました。今は忙しくてできませんので、ジムには通って健康には気をつけています。
――お好きな言葉は。
【児嶋社長】 言葉というより、日頃、思っていることは『すべては心がけ次第』ということです。負けると思えば負けてしまう、絶対に勝つのだという前向きの気持ちを持つようにしています。
――ところで、業界は厳しいと伺っていますが、
■ターゲットはLED分野の放熱基板

――中期計画はいかがでしょうか。
【児嶋社長】 中期計画はしばらく凍結していましたので現在、計画を再構築中です。日系企業で「片面基板」をグローバルに手がけているところは、当社以外、皆無に近い状態で当社の強さが発揮できます。M&Aも含めてシェアを高めていきます。将来はインド、ロシア市場も視野に入れています。また、新製品開発が付加価値を高める重要なポイントです。このため、放熱基板の開発に力を入れています。この放熱基板のターゲットはLED照明の分野です。LEDは熱に弱いという欠点がありますので、現在は温度を下げるために、放熱性の高い金属等が基板に使用されています。しかし、金属を使用しているため価格が高いので、これを現在開発中の放熱性の良い片面板を使用することで価格も下がりLEDの需要拡大につながります。熱を下げるには設計による方法と、インクを変える方法と、素材を変える方法があります。設計は自社で、インクについては同志社大学、インクメーカーと共同で開発しています。素材についてはアメリカのベンチャー企業と一緒に手がけています。
――今期の売上は125億円の見通しですが、将来的にはいかがでしょうか。個人投資家の皆さんにメッセージをお願いします。
■5年後めどに経常利益率8%へ
【児嶋社長】 5年後を目処に経常利益率8%(今期1.6%)が目標です。個人投資家の皆さんには、長期で持っていただきたい。花形企業ではありませんが、京都企業の良さで着実に良い会社にして行きます。時価総額で100億円となれるよう頑張ります。1人でも多くの方がファンになっていただくことを願っています。
――ありがとうございました。
>>京写のIR企業情報