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2009年02月19日

インスパイアーの駒澤孝次社長に「再生医療分野への展開」について聞く

インスパイアーの駒澤孝次社長に聞く■筑波大学と関係の深い「つくばマネイジメント」と資本・業務提携で"再生医療"分野に進出

 セキュリティナレッジを活かしたITインフラ構築を主力事業とするインスパイアー<2724>(HC)は、再生医療における有望分野の「臍帯血」(さいたいけつ)において、筑波大学と関係の深い「つくばマネイジメント」と資本・業務提携した。臍帯血移植は既に、白血病治療においてかなりの実績を持つ。骨髄移植に比べ、採取者及び提供者への負担が軽く、有効性も高く注目されている。白血病治療のほかに、脳梗塞、心筋梗塞、悪性腫瘍、アルツハイマー、皮膚・神経・血管病などにおいて実績があり、特に、海外ではアルツハイマー病での利用が活発になっている。つくばマネイジメントの臍帯保管技術と同社のITインフラ構築技術を組み合わせることで、「臍帯血保管事業」を拡大推進していく。また、同社にとっては、これを契機に医療分野での本格的な事業拡大を図るメリットがある。同社の駒澤孝次社長に「再生医療分野への展開」について聞いた。

■同社の「ITインフラ構築技術」と、つくばマネイジメントの「臍帯血保管技術」を組み合わせ「臍帯血保管事業」を拡大推進

――去る2月9日に再生医療分野で、「つくばマネイジメント」(非上場、本社茨城県つくば市)と資本・業務提携を発表されました。まず、提携の概要をお願いします。

駒澤社長
 当社のセキュリティナレッジを活かしたITインフラ構築技術と、つくばマネイジメントの持つ、再生医療分野のひとつである「臍帯血保管」(さいたいけつほかん)技術を組み合わせることで、ITのチカラにより「臍帯血保管事業」を拡大推進して行くことで合意に達し、資本・業務提携しました。つくばマネイジメントが2月10日付けで行った第三者割当増資において100株を引受けました。これによって、当社はつくばマネイジメントの議決権の約33.3%を保有しました。つくばマネイジメントは、筑波大学・筑波リエゾン研究所・つくばブレーンズ社の産学共同事業との提携による、臍帯血・プラセンタ(胎盤)とそれに関連する技術研究成果を民間企業にライセンシングする販売窓口とTLO(技術移転機関)法人設立などを目的に設立された会社です。これまで、準備活動を中心に行っていましたが、本格的に取り組むことになりました。

――最近、再生医療が株式マーケットで、高い関心を集めています。再生医療については、どのようにご覧になっていますか。

駒澤社長
 2007年11月に京都大学の山中教授が、世界で初めてヒトの皮膚からips細胞(人工多機能性幹細胞)の作製に成功されたことで一気に世界の関心が高まりました。ips細胞はあらゆる細胞に分化が可能であるとされており、再生医療の革新技術として熱い注目を集めています。

――再生医療のマーケットはいかがでしょう。まだ、これからの分野ですから明確なデータは不足しているとは思いますが。

駒澤社長
 再生医療はまだまだ市場形成の途上にあり予想は難しい状況です。いろいろな機関が予想数字を発表はしていますが、一定の定義で時系列的に集計・予想されたデータはまだありません。断片的に取り上げて紹介しますと、特許庁の資料では国内市場は2010年で3800億円、科学技術振興事業団企業化開発本部新規事業創出室では細胞培養関連を含む再生医療の世界市場規模は2010年で1兆5000億円、民間調査会社シート・プラニングでは2010年に国内で8000億円、世界では4兆5000億円と予想されております。これから有望な市場であることは間違いないと思います。

――再生医療の中で、今度、手がけられる「臍帯血」はどのような位置づけ、役割でしょうか。臍帯血はへその緒ですね。

駒澤社長
 そうです。赤ちゃんのへその緒を流れる血液が臍帯血です。専門的になりますが、臍帯血は血液のもととなる「造血幹細胞」や様々な臓器・組織のもととなる「間葉系幹細胞」などを含む非常にミラクルな血液です。赤ちゃんの体を作り上げる血液であるため、細胞の増殖能力が非常に高く、分化していないため、他人への適合性が、比較される「骨髄」より高いとされております。白血病等血液疾患の治療に「臍帯血移植」が既に実用化され、現在では、骨髄移植と並ぶ治療法として急速に普及、定着しつつあります。臍帯血は再生医療分野において応用範囲も広く、有望な分野です。

――白血病の治療法としての骨髄移植と臍帯血移植にはどのような違いがありますか。すみませんが、専門的でなく、分かりやすくお願いします。

駒澤社長
 そうですね、分かりやすく言いますと、提供者への負担では骨髄移植の場合は全身麻酔で採取する手術で平均的には半年の時間を要し肉体的にも時間的にも負担が大きいですね。臍帯血では新生児のへその緒・胎盤から採取しますので患者への負担は全くありません。移植方法でも大きい違いがあります。骨髄移植では抗がん剤などの投与が必要となりますが、臍帯血では静脈を使っての輸血が可能で安全で容易ですし、生命倫理の問題もありません。ご承知のように日本ではへその緒はほとんど廃棄されていましたが、最近、有効性が見直されています。

――桐の箱に入れて記念に取っておくものという認識でした。

駒澤社長
 日本ではそうですね。私も出生の記念品程度の認識でした。現在、日本国内でも臍帯血の有効性が見直され、日本赤十字社によるテレビコマーシャルなども展開され、その保管の意識を高めているようですが、アメリカでは臍帯血の採取比率は7%程度、韓国では11%程度と言われている中、日本では0.4%程度とまだまだ低い状況ですね。

■臍帯血は「白血病治療に有効」から急速に見直される、海外ではアルツハイマー治療でも実績

――白血病以外での臍帯血の用途はいかがでしょうか。

駒澤社長
 臍帯血幹細胞は白血病治療だけでなく、2006年に国が定めたガイドラインに基づき、様々な難病治療における人間への治験・臨床が進み始めており、注目を浴びています。治験・臨床例として脳梗塞、心筋梗塞、悪性腫瘍、アルツハイマー、皮膚・神経・血管病などにおいて実績があります。特に、海外ではアルツハイマー病での利用が活発になっています。

――そのように有効なものが、なぜ一気に普及しないのでしょうか。

駒澤社長
 倫理的対応の整備の問題、認識の低さから保管実数が少ないことなど、臍帯血を医療の現場で扱える体制が確立していないためです。このため当社では、つくばマネイジメントの「臍帯血保管事業」の展開をより強力に推し進めるために、IT技術を利用した臍帯血のデータ管理・利用インフラを早急に構築し、医療・研究の現場で扱える体制を作り上げたいと考えております。

――さきほど、プラセンタの話がありましたが、この点も少しお願いします。

駒澤社長
 プラセンタは胎盤のことです。別名「万能の臓器」とも言われます。母親のお腹の中でわずか10ヶ月の間に1個の受精卵を一人の人間にまで育て上げる驚異的な働きを持った組織です。古来より中国では漢方薬として使われたり、日本では加賀の特効薬といわれた「混元丹(こんげんたん)」に配合されていました。また、クレオパトラやマリ・アントワネットは美容のために利用したとも言われています。つくばマネイジメントは、今後この分野も手がけていく方針であり、当社は臍帯血事業でのナレッジを活用して、同様にIT化を支援して行く予定です。

■システム構築売上の拡大に期待、医療分野の拡大にもつながる

――こうした再生医療の将来性と、特に有望視される臍帯血分野において、インスパイアーと、つくばマネイジメントが資本・業務提携さたわけですが、締めくくりに今後の取り組みをお願いします。

駒澤社長
 つくばマネイジメントの持つ「臍帯血低温保管事業」を基盤として、当社の「ITセキュリティインフラの構築」技術によって、次のことに取り組みます。(1)初めての試みとなる「ヒト幹細胞」の適合検査の迅速化のためのシステム開発。現在は適合検査に10日程度要していますが、これを1〜2日に短縮します、(2)臍帯血による再生医療分野の研究・医療データの機密性の高いデータベース化、(3)それらの情報を各医療現場・研究機関で広く活用するための非常にセキュアなITインフラの構築、などを目指しています。

――すぐに業績へ寄与ということではないと思いますが、業績への寄与はいかがでしょうか。

駒澤社長
 提携したばかりですから、明日からすぐということではありませんが、ご説明してきましたように、有望な分野ですから期待してください。
 特に、当社においては、繰り返しになりますが、再生医療分野における「情報処理の迅速化」、「データベース化」、個人情報とも関係する「セキュアな情報管理」ニーズに対し、当社の持つ豊富なノウハウと最先端IT技術を融合した当社独自のプラットホーム構想に基づくソリューションを提供することで、ITインフラ構築事業、ソリューションサービス事業、マネジメント事業の拡大と強化を図ってまいります。特に、医療分野への事業展開が図れることは非常に大きい意味があると思っています。

――ありがとうございました。




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