主力事業の試験機の収益性を高め
新事業「ゆるみ止めナット」で成長加速へ

創業85周年に当たる今年9月に社名を変更し
更なる飛躍を目指す

社名変更に踏み切ったことについて山本社長は、「当初は衡器(はかり)もやっていて、今も試験機が主力ですが、ここ数年でその他の事業のウェイトもかなり大きくなりました。その結果、「東京衡機製造所」という名称と当社の手掛ける事業の実体にギャップが生じてきましたので、今年が創業85周年の節目に当たることもあり、社名変更を検討し、社内公募のうえ、従来の「TKS」ブランドを存続しつつ、今後の方向性を示す名称で新たなスタートを切ることを決定しました。」という。
ゆるみ止めナットの子会社も将来は株式上場も
現在の売上高(連結)は今年8月中間期で29億3200万円(前年同期比8.9%増収)。うち、試験機事業が49.7%、民生品事業が35.8%、デジタル事業6.6%、そして注目のゆるみ止めナット事業が7.9%の構成比率。山本社長に事業の概要を説明いただこう。「試験機は世の中の機械や設備、構築物に関係した分野では不可欠のものです。例えば、鉄鋼では棒鋼の強度は世界基準で決められていますので、品質や安全性の面から試験機による試験が必須となります。また、自動車のエンジン性能試験や、原子力発電施設に使われる材料の腐食・耐久性評価試験などにも試験機は使われます。従来は重工業中心でしたが、最近は、繊維、化学などの分野にも試験機の需要は拡大しています。試験機事業には、当社と子会社の東京試験機、テークス試験機サービスの3社が携わっていますが、当社は1品受注の大型・特殊試験機が多く、子会社の東京試験機は主に標準材料試験機を手がけていて堅調です。テークス試験機サービスはメンテナンスを手がけ、毎年確実な保守料収入が見込めます。」
民生品事業は、プラスチックの射出成型用金型を手がける。採算悪化で昨年特別損失を計上しリストラを断行した。デジタル事業は、企業のサーバーニーズに対応したデータセンター事業に加え、大規模データバックアップなどで大きな効果を発揮するアップローダーのレンタル事業も開始。
そして、投資家の期待と関心の高い、ゆるみ止めナット事業。山本社長は「昨年会社を買収し本格的に力を入れています。現在は買収した会社の内部体制を整えています。ゆるみ止めナットは、北九州市から環境に優しい製品「いち押しエコプレミアム」に指定されるなど注目度は高まっています。あらゆる産業分野にニーズのあるソリューション製品です。構造物、産業機械に使用でき、今まで現場での悩みの種であったナットのゆるみを解消し作業のコストパフォーマンスを向上させます。また、脱落を事前に防止するため安全の確保にも貢献します。ハイパーロードナットやハイパーロードスプリングを中心に幅広いサイズを揃えています」と強調する。電力の送電線鉄塔や、本四架橋のワイヤーのゆるみ防止などで成果を挙げている。動くもの、揺れるものには必ず、ゆるみが発生することから需要は非常に大きい。このため、目下、生産体制を強化中だ。
今期黒字に転換、早期の復配を目指す
社長に就任されて取り組んだことと、今後について教えて下さい。「まず、バランスシートをきれいにすることに努めました。現在は工場の生産体制や内部統制システムの見直しなど業務の効率化に取り組んでいます。今後は、試験機事業については収益性の向上、民生品事業については中国国内での販売強化、デジタル事業とゆるみ止めナット事業については規模の拡大を目指します。」
ゆるみ止めナット事業の先行きはいかがでしょうか。「現在マーケット規模は4000〜5000億円と推定されます。電力業界については充分な営業活動を行い成果も出ています。今後は、道路・鉄道関係をはじめ、住宅メーカーや遊園地などの施設関係にも積極的に営業展開し、サンプルの提供などを行っていきます。このため、今の工場の稼働率を高めることに全力で取り組みます。その次のステップで新しい工場を建設し、将来的には、ゆるみ止めナットの製造会社である子会社のKHIを単独で上場できるようにしたいと考えています」。
今期の見通しと今後の展望をお願いします。「今期は連結で売上58億2200万円(6.5%増収)、営業利益1億3300万円(前期は3億2000万円の赤字)の見通しです。まずは早期の復配を実施し、できるだけ早い時期に売上100億円、利益率10%を確保し、東証1部への上場も視野に入れたいと思っています。」
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