株式投資情報動画配信 日本インタビュ新聞社 - You Tube

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2017年05月24日

【インタビュー】ピクスタの古俣大介社長に聞く

ピクスタ<3416>(東マ)

好調な既存事業「PIXTA」の利益を活用し
海外・新規事業への横展開を図る


■写真・イラスト・動画素材のマーケットプレイスを運営、海外展開や新規事業への積極投資も

 ピクスタ<3416>(東マ)は、写真やイラスト・動画素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営で急成長している。プロ・アマ問わずクリエイターとして写真などのデジタル素材を投稿でき、デザイン制作会社やメディア等の企業を始めとする購入者に購入されれば、それに応じた報酬が発生。登録クリエイター数は22万人以上、販売中のコンテンツ数は3年で2倍以上の2400万点に達している。シンガポール、台湾、タイに海外拠点を置き、2017年3月には韓国企業の子会社化も実施。16年には新規事業である出張撮影マッチングサービス「fotowa(フォトワ)」を開始。17年12月期は積極的投資による減益を計画するが、同社・古俣大介社長(写真)は「順調に成長している国内既存事業の利益を海外展開・新規事業への投資に回すことで、飛躍的な成長を目指す」と話す(敬称略)。

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■「PIXTA」コンテンツは3年で2倍以上に増えダウンロード数は24倍に急増

――「PIXTA」というビジネスモデルを創案したキッカケを教えてください。

 【古俣】 「ビジネスモデルを検討していた2000年台前半当時は、デジタル一眼レフカメラが大ヒットしていた。また、インターネットがブロードバンドに切り替わった時期でもあり、クオリティの高い高画質なデジタル写真をアマチュアの方々がネット上の掲示板に投稿し始めていた。その新たな動きに気づき、数多くの埋もれている才能が世の中でもっと活用される場を作りたいと考え、2006年に「PIXTA」を始めた」

■インバウンドも追い風になり海外から「日本の風景」などへの需要が増加

――私が旅行で撮った写真なんかでもいいのですか。

 【古俣】 「PIXTAでは、一定のクオリティ、権利侵害がないこと等の条件を満たしていればどなたでも素材の投稿、販売が可能。観光地の風景等の写真や動画は、旅行会社等にニーズがあり、メディアでも取り上げられやすい。また、日本の観光地や和食、日本文化のイメージ素材が海外企業などから注目され、インバウンドの旅行案内などに使われるということも増えている」

――人気の高い写真、使われやすい写真の傾向は・・・・。

 【古俣】 「あらゆるジャンルの素材が売れているが、最もニーズが高いのは人物素材。たとえば、ビジネスマンの走っているシーンや、握手しているシーン。家族がだんらんしている光景や、子供が遊んでいるシーン等。人物が写っている写真は広告イメージ等としての訴求力が強く、また撮り下ろしのコストが高いこともありニーズが高い」

 「商品戦略としては、網羅性、つまりあらゆるジャンルのニーズに応えられるようにしていくことを重視している。品揃えの充実が競争力につながるため、投稿者をいかに増やし、活性化させていくかも重要になってくる。PIXTAでは投稿クリエイターに対し売れ筋や撮影・制作に役立つ情報の提供や撮影サポート等を継続的に行っている。こうした取り組みにより強固なクリエイター基盤を築いていることが我々の強みになっている」

 「2017年4月末現在、「PIXTA」には国内・国外のクリエイターから毎日数万点のデジタル素材が投稿されており、クリエイター数は22万人以上になった。また、コンテンツ数は年間600万点から700万点ずつ増加し、足元では2400万点を超えている。」

 「一方、素材を利用する側のニーズもここ数年で飛躍的に高まり、多様化してきている。スマホを中心とするデジタルデバイスの普及とそれに伴うデジタル広告市場の拡大により、素材を高頻度で大量に使いたいというニーズが増えてきている。また制作会社や広告代理店、企業のデザイン部門といったヘビーユーザーに加え、企業の営業、広報、SNSマーケティング担当者や個人事業主など、本来デザインを専門としないいわゆるライトユーザー層へも素材利用の裾野が広がっている。プレゼン資料のビジュアル化やオウンドメディア・SNSを活用したマーケティング手法の普及に加え、近年の著作権に対する企業のコンプライアンス意識の高まりが素材の活用を後押ししていると感じる。

 「PIXTA」ではこのようなニーズに応えるべく、2014年から定額制販売を開始した。これは、素材を頻繁・大量に使いたい購入者向けに、定額で一定点数の素材を割安でダウンロードできるようにしたもの。定額制販売の利用は開始以来顕著に増加しており、今年は従来の単品販売から定額制販売へ重点をシフトし、プランの充実や訴求強化に注力していく。

 「PIXTA」のダウンロード数は3年で24倍に急増しており、加速度的に増えている。コンテンツ数が充実するほどに写真などの利用者・購入者が増加し、さらに投稿が活発になるという好循環が生まれており、今後もこのペースがさらに加速していくとみている」

――海外展開についての展望はいかがですか。

 【古俣】 海外展開は、アジアNo.1のクリエイティブ・プラットフォームになるという展望を掲げている。この事業は、欧米においては既に市場が成熟しており、強力なプレーヤーも存在している。一方、アジア地域は広告市場をはじめとした市場の伸びしろが大きく、目立ったローカルプレーヤーはまだあまり存在していない。特に台湾や韓国は地理的・文化的にも近く、日本の素材がそのまま受け入れられやすい土壌もある。そういった市場に速やかに参入し、アジア各地域でトップシェアを握りたいと考えている」

 「現在、シンガポールをアジア展開の統括拠点とし、台湾とタイに販売拠点を置いて営業・マーケティング活動を行っている。さらに今年3月に韓国のストックフォト会社を子会社化し、現在韓国語版PIXTAのサービス開始に向けて準備を進めている。韓国の市場は数年前の日本の状況とよく似ており、まだ、低価格で膨大なコンテンツを提供できるローカルプレーヤーがいないので、非常にチャンスな状況といえる。うまく参入できれば、日本に次いで大きな売上を生み出せる拠点になるとみている」

■PIXTAのノウハウを横展開した新規事業「fotowa(フォトワ)」

――2016年2月に出張撮影マッチングサービス「fotowa(フォトワ)」を開始したと聞きました。

 【古俣】 「「fotowa(フォトワ)」は、写真を撮ってほしい人とフォトグラファーをつなぐ出張撮影マッチングサービスで、七五三やお宮参りなどさまざまな行事の際に、好きな時間帯・好きな場所でカメラマンに撮影してもらうことができる。予約・納品はインターネット上で行われ、追加料金のない一律価格で、デジタルデータを納品してもらえることが大きなメリット」

 「近年、インスタグラム(注:写真や動画などを投稿・共有できるサービス)などSNSの普及により、いわゆる“SNS映え”する写真がトレンドとなっている。それに伴い、子供や家族の写真についても、従来の写真館でよく撮影されるようなかしこまった写真ではなく、ナチュラルで自然体な写真が好まれるようになってきた」

 「従来の写真館では、写真のテイストの選択肢に限りがあることに加え、納品される写真の形態が紙焼き等に限定され、データをもらうためには追加料金がかかるなどの「負」の側面もある。こういった「負」を解消するため、fotowaでは一律料金・完全データ納品でサービスを提供している」

 「fotowaは昨年2月に首都圏でサービスを開始し、今年から本格的に全国展開を開始した。予約、撮影件数も順調に増加している。今年はさらにプリント機能など付加機能・サービスを充実させてより多くの方に使っていただけるサービスに成長させていきたいと考えている。事業展開にあたっては、PIXTAで培ったプラットフォーム運営ノウハウやクリエイター基盤を活かしている」

■今期を「積極投資の年」と位置づけ、戦略的な減益を見込む

――業績展望などについてお伺いします。

 【古俣】 「昨年から今年始めにかけて着手した新規事業や海外展開は、いずれも市場環境の変化を逃さず、チャンスをとらえて実施できたと思っている。これらを、今後しっかりと軌道に乗せ、既存事業の成長だけでは実現できないレベルの大きな成長につなげることが当面の重点施策だ。今期(注:2017年12月期)の連結営業利益や経常利益の見通しを前期比約7割減としたのは、こうした戦略に基づくものだ。連結売上高は前期比37.3%の増加を想定している」

 「新規事業を一切やらないということであれば、収益面では年間、数億円ずつ積み上げていくことができる。だが、それだと伸びとしては想定できるものになってしまう。また、既存事業を粛々とやっているだけでは、かつてプロ中心の写真素材の世界にPIXTAが登場したときのような、大きな時代の変化や、新しい潮流に対応できない可能性がある。自分たちで市場を作っていく、市場に変化を起こす、というつもりで、積極的に新規の分野に取り組む方針で戦略を組み立てている」

 「新分野への取り組みは、市場の変化にともない新たなニーズが顕在化しているところをとらえて行っているので、成功への自信を持っている。既存事業のトップラインは順調に伸びているので、その成長を加速させながら、数年後にさらなる増益体制の確立を目指している」

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:10 | IRインタビュー
2017年05月11日

【インタビュー】メディカル・データ・ビジョンの岩崎博之社長に聞く

メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)

医療データの2次利用を促進する新法は大きなフォローに、「次世代医療基盤整備法案」4月28日に可決、成立

■マーケットを大きくしてもらいながら競合は現れない時期がしばらく続く可能性

 4月28日に、新薬開発や新たな治療方法の研究に役立てる目的で医療データの2次利用を促進する「次世代医療基盤整備法案」が、参院本会議で可決、成立した。公布後1年以内に施行される。メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、2003年の創業以来、患者や病院の同意を得た上で医療データベースを蓄積し、製薬企業などへ分析調査の結果を提供する事業を推進してきたパイオニア企業だ。蓄積したデータは17年4月末現在で実患者数1821万人分(注・16年4月末から405万人増加)に達し、国民7人に1人の割合だ。「新法の制定は、医療データの利活用に関して一層のフォローにつながる」と話す同社の代表取締役社長・岩崎博之氏(写真)に当面の展望などを聞いてみた(敬称略)。

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■医療ビッグデータのマーケットは2次利用の促進でさらに拡大

――医療データの2次利用を促進する新法によってビジネス環境が変わると思われます。

 【岩崎】 「われわれの事業は、医療の「質」を高めてもらう目的で、医薬品に関する分析データを製薬メーカーや研究機関等に提供する事業を展開している。これを具体的にダイナミックに進めている企業は、われわれだけだ。また、創業当初は医療情報の利活用に大きなマーケットがなかったため、僕らがデータベースを作り、新たな価値を提供する市場を自ら開拓してきた。こうしたEBM事業(注:Evidence Based Medicine:根拠に基づく医療)は、市場の拡大もあり、当社ではこのところ毎年3割増ほどのペースで拡大している」

 「そこに、今般「次世代医療基盤整備法案」で、新薬の開発推進や質の高い医療の実現を目的とした医療情報の利活用基盤を国が推進することになるのだから、おのずと医療ビッグデータのマーケットはさらに拡大していく。僕ら1社では大きなマーケットを作っていくのは難しいが、この点でビジネス環境の大きなフォローになると考えている。」

■蓄積する医療データは国民7人に1人に相当する規模の1821万人分

――新法によってライバルが現われるように思うのですが・・・。

 【岩崎】 「新法によって医療データを集めることができるのは、国が認定した事業者となる。新法では、個人情報も医療データ・診療データとして入るという。そして、個人情報はカットし、統計データとして加工して新薬開発メーカーなどに提供するという流れになる。一方、当社が蓄積しているデータは、許諾を得た病院から提供を受ける時点で個人情報はカットされており、すでに実患者数にして1821万人分、国民7人に1人の規模に達している。」

 「厳密に言うと、こうしたデータ収集については、すでに厚生労働省の事業として、2012年からPMDAという独立行政法人が始めている。この事業では、患者数にして1000万人分のデータを集める計画。この点、当社は医療機関から2次利用の許諾を受けてすでに2,000万人に近いデータを集積している。」

 「データの提供は、医療の「質」向上という大儀が前提になるが、提供する病院側に何か具体的なメリットがないと、進んで参加する事にはなりにくいのではないか。この点、僕らが蓄積するデータには、提供する側にもメリットがある。提供する病院には、当社の経営支援システムが導入されており、蓄積したビッグデータを分析できる環境を無償で提供している。また、このシステム導入の過程などを通じて、病院との信頼関係が醸成されている点も見逃せないと思う」

■医療データの利活用はデータクレンジングが重要

 「提供を受けるデータのマスターは、それぞれの病院によって異っている。各病院からデータを提供してもらえば、そのまま使えるかというとまったくダメで、そこから整理に大変な労力がかかる。僕らはデータクレンジングをイチから手がけてきた。早期事業化に向けて徹底的に頑張ったが、完成に漕ぎつけるまでには数年かかった。こうした経験を踏まえると、新法が定める認定事業者が、利活用できるデータを完成させるまでには、時間がかかる可能性がある。この点で、もし当社が経験してきたデータ整備などのノウハウを求められることがあれば、支援する準備はある。」

 「いずれにせよ、この新法によって、医療ビッグデータの利活用マーケットは確実に耕されていく。そして、当社はすでに国民7人に1人に相当する実患者数のデータを保有しているので、マーケットを大きくしてもらいながら、競合は現れてこない環境がしばらく続くとみている。」

■リアルタイムデータの集積で「治験ビジネス」へ進出

――新法によってマーケットが拡大すると、新たなビジネスの好機も発生しますね。

 【岩崎】 「近々、市場規模が2400億円ともいわれる「治験ビジネス」に進出する計画だ。当社には、データをリアルタイムで蓄積できるとともに、患者や病院の悩みを解消することを目的に開発したITシステム「CADA−BOX(カーダボックス)」があり、進出する道具建てはそろっている。CADA−BOXは、今年2017年2月、医療機関に初導入され、4月から本格的に稼動を開始した」

 「CADA−BOXは、(1)診療情報の一部(カルテ情報)が見られるインターネットサイト、(2)クレジットカード機能、の2つをひとつにした患者向けの仕組みだ。電子カルテシステムから収集・蓄積されるデータは、個人が利用を同意したもので、ほぼリアルタイムのデータになっている点が特色だ」

 「さきほど、データ収集には何か提供側のメリットが必要と話したが、たとえば患者が抱える悩みを挙げると、まず病院での待ち時間が長いという不満、続いてドクターの説明や言われたことがよくわからないという不満、そして、費用がいくらかかるのかという不安があるという3点だ。」

 「この点で、まず診療情報の提供を許諾した患者は、「カルテコ」というCADA−BOXのインターネットサイトを開けば、パソコンやスマートフォンで自身の診療情報が閲覧でき、診療明細などの印刷もできる。自身のカルテの内容が見られるので、病気のことや医師の説明もより理解できるようになる。また、CADA−BOXのクレジット機能で医療費の支払いができるので、会計窓口の前で待つ必要がない。一般のクレジットカードでは、ご高齢になると与信が厳しくなるが、病院というのは高齢者が多い。そこで100%子会社がクレジットカードのライセンスを取得し、与信などを柔軟に行っている。」

 「一方、病院にとっては、会計窓口などの業務効率化が図れ、コスト低減に役立つ。また病院としては、医療費の未収金はなかなか回収しにくいものだが、CADA−BOXのカード払いによってゼロに近づけることが可能になる。診療情報を患者と共有することによって病院と患者の信頼関係が深まり、患者や地域から選ばれる病院になる。CADA−BOXでは、患者が自身のカルテなどを閲覧できるので、家族、ご近所、知人・友人にその病院を紹介するといったことが現実に起きている。集積された医療情報は医療の「質」向上につながっていく。やはり、幅広いデータ収集にはこうした背景が必要だ。」

「こうした医療データを集積している我々は、治験分野でリアルタイムデータの利活用を考えている。治験は、まず被験者として適合する人をスクリーニングし、ドクターに頼んで被験者になるのを口説いてもらうことから始まる。たとえばある治験の項目に30人必要なら、30人集まるまで口説いてもらう。被験者が決まると投薬が始まり、一定期間後に検査し、ドクターの所見が入り、これを定期的に繰り返していく。そして治験のレポートができ上がっていく。」

 「このうち、被験者のスクリーニングは、CADA−BOXのリアルタイムデータを活用できるようになるため、被験者の決定がスピーディになるだろう。治験には、大きくみて創薬に関する治験と、市販後の調査の2つがある。小規模なデータでも実施できる部分はあり、最初はごく小規模な部分からスタートさせようと考えている。年内に参入を目指して準備を進めているところだ。」

 「こうした動きが広がるとともにデータの蓄積も進んでいる。全国344の2次医療圏の医療機関(注・都道府県が病床の整備を図るにあたって設定する地域的単位の医療機関)に広がれば、データはかなりリッチになり、あらゆる治験に対応できるようになる。」

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:09 | IRインタビュー