■人に付いた技術で物づくりを支援する製造請負の優良企業、株式上場で成長に拍車
平山<7781>(JQ・売買単位100株)は製造業の請負、技術者派遣などアウトソーシングの大手。とくに、人材育成に特徴と強みを持ち、日本の物づくりを支え、製造請負優良適正事業社認定制度を第1号で受けている。今年7月の株式上場から半年が経過したところで平山善一社長に近況と展望を聞いた。
■今期の売上100億円は通過地点、売上500億円は早そうだ
――製造コンサルティング事業、ファクトリーアウトソーシング事業、人材派遣事業、有料職業紹介事業などを手掛けていらっしゃいます。創業は1967年、会社設立は1992年で今年7月に上場されました。上場で変化はございますか。
【平山社長】 上場からまもなく半年となりますが、社内及び対外的な両面で変わりつつあります。上場の目的は、資金は持っていましたから資金調達ということでの上場ではなく、重要視したのは上場することによりステークホルダーから刺激を与えられることで成長に結びつけたいということが最大の目的でした。これまで薄かった社員の業務などに対する緊張感が上場後は明らかに高まっています。対外的には製造コンサルティングを手がけている上場企業が少ないこともあって、上場したことによる認知度の向上でコンサルティングの引き合いが活発化しています。コンサルティングは、当社事業全体の入り口の存在ですからコンサルが増えることにより主力の製造請負(ファクトリーアウトソーシング事業)が増えるという効果に結びついています。成長を加速するという目的のためには上場してよかったと思っています。
――資料を拝見しますと2012年6月期に売上が50億円台に乗せ、今期(2016年6月期)は100億円台目標と4年で2倍の伸びです。かなり、高成長と思いますが、この間、何が要因でしょうか。
【平山社長】 やはり、安倍政権の誕生で日本経済再生というアベノミクスにおいて日本の物づくりが復活したことが一番大きいと思います。とくに、この間、当社は製造請負比率を大きく高めたことが売上だけでなく利益を飛躍させていることに繋がっていると思います。
――現在の製造請負比率はどのていどですか。また、以前はどれくらいでしたか。製造請負比率アップの背景についてもお願いします。
【平山社長】 2008年6月期での製造請負比率はアウトソーシング事業全体の売上の約36%でしたが、現在(2015年6月期)は約81%です。わが社は『設備と敷地を持たない製造業』を標榜し、『人に付いた技術で日本のもの造りを支援する』ことをコンセプトとしています。この点が当社の一番の強みであり特徴です。『ものづくり力』の高度化のために中核になる生産管理者の育成、さらに、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制構築に取り組んできたことが評価されてきたと思っています。現在、豊田研修センターと富士宮研修センターがあります。入社から3年かけて物づくりの基本、ビジネスの基本などを研修、さらに、実際に製造過程の物に触れて品質についての感覚を学び管理者としての総合的な能力を身につけることで製造現場での「改善能力」と、「リーダー能力」を発揮する研修システムです。こうしたことが評価を受け2011年に当社は製造請負優良適正事業社認定制度を第1号で取得しています。今後、東北地域に新しく研修センターの建設を計画しています。
――おもな取引先業種と企業名を教えてください。
【平山社長】 自動車、住宅、医療、OA機器などの比率が高く、企業先では、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、テルモグループ、トヨタグループ、リコーグループなどですが、上位企業で売上全体の約70%です。とくに、これからは航空機関係が有望で実際に商談が来ています。
――今期(2016年6月期)の業績と今後の展望、特に、今期売上が100億円台乗せですが、100億円台に乗せることで加速することを楽しみにしてよいでしょうか。
【平山社長】 2016年6月期は売上11.4%増の100億1700万円、営業利益13.6%増の4億3000万円、純益30.9%増の2億5300万円、1株利益149.9円、配当は期末一括の37.34円(前期も期末一括で35.22円)の見通しです。売上100億円及び200億円は通過点です。現在、関東地域の売上構成が約70%、関西以西が約30%ですが、東北、九州地域、さらに、タイなど東南アジアでの拡大を図って行きます。特に、これからはM&Aを積極的に活用することで売上の500億円は遠くない時期に達成できるだろうとみています。現在、営業利益率は5%ていどですが、先ず8%を目指し先行き10%を目標としています。配当性向は25%を目標として株主還元に努めてまいります。
――ありがとうございました。
■利回り2.5%、PER10倍に割安感、中期で仕込み場
【編集後記】 1994年に宇都宮支店の開設を皮切りに関東進出を果たし、次々と大手優良企業との取引を拡大させている。人に付いた技術で日本のものづくりりを支援する、ことをコンセプトに掲げ人材育成にもっとも力を注いででいることが取材で伝わってくる。昨今、日本の物づくり衰退の心配が言われるだけに頼もしい存在という印象を受けた。株価は7月10日に初値2758円に対し同日2783円と買われたあとは調整の展開。新規上場銘柄にはつきものの需給関係による調整といえる。その調整は8月の1388円を一番底に、11月の1498円で二番底を形成し下値はほぼ確認といえる。利回りは2.5%、PERは10.0倍と中期投資には絶好の狙い場といえるだろう。