
■期待の製品『ゆるみ止めナット』が前期3.6倍、今期6〜7割増と絶好調
――個人投資家の皆さんに関心の強い「ゆるみ止めナット」は、どのような状況ですか。
【山本社長】 「ゆるみ止めナット事業」の売上高は2009年2月期で5億円と、08年3月期の1億3900万円に対し約3.6倍、売上構成比率で8.1%(08年3月期2.5%)です。本格化してきました。
――今期(10年2月期)はいかがでしょうか。
【山本社長】 現在、製造ラインをサイズによって3号機まで持っています。1号機、2号機がそれぞれ年産576万個、3号機は360万個です。特に、ここへ来て、想定以上に大口径に対する引き合いが増えています。このため、秋頃の稼動を目指して、現在、1億円を投じて大口径専用4号機の設備を急いでいます。10年2月期には大口径が一部寄与してくる見通しです。同事業の今期売上としては09年2月期に比べて60〜70%程度の伸びになると思います。
■電力、道路、鉄道等から『大口径』受注増加で設備増強急ぐ
――すごいですね。背景は。
【山本社長】 電力、鉄道、道路などからの受注が増えていることがあります。こうした分野は大口径が中心です。今まで、現場での悩みとなっていた、ナットの「ゆるみ」を解消する製品です。たとえば、電力会社の送電線鉄塔は、高い山の峰々を走っています。非常に風が強いため、送電線のゆるみを定期的に点検補修しなくてはいけません。この製品によって、この作業が解消、あるいは軽減されます。本四架橋のワイヤーのゆるみ防止でも高い成果をあげています。動くもの、揺れるものには必ず、「ゆるみ」が発生します。住宅分野からも商談が来ています。
――社長様は外資系金融会社から当社の社長に就任されました。2年以上になるかと思いますが。
【山本社長】 そうですね。まず、第一に取り組んだことはバランスシートの改善です。次に、主力の試験機事業において、営業体制の拡充、プロダクトの選択と集中に取り組みました。業務構造改革委員会を設置して、スタッフの意識・業務効率化にも取り組んできました。基本は人ですから、この点に、特に力を入れてきたことで、社内の意識は相当変わったと思います。財務体質改善で09年2月期末の現金預金は10億6300万円です。
■改質改善で前期は黒字転換
――09年2月期は黒字転換ですね。
【山本社長】 09年2月期の売上高は62億1500万円(08年3月期54億6800万円)、営業利益2億2400万円(同3億2000万円の赤字)、経常利益1億9200万円(同4億1300万円の赤字)、黒字転換しました。少し前の当社の第100期(06年2月期)に比べると売上はちょうど2倍です。
――足元はいかがですか。
【山本社長】 売上の約半分を占める主力の試験機事業は、さすがに100年に1度といわれる不況で受注が減少しました。この影響で、10年2月期は売上54億5000万円、営業利益2600万円を予定しています。ただ、最近は受注に回復の動きがみられます。
――ありがとうございました。