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2017年05月11日

【インタビュー】メディカル・データ・ビジョンの岩崎博之社長に聞く

メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)

医療データの2次利用を促進する新法は大きなフォローに、「次世代医療基盤整備法案」4月28日に可決、成立

■マーケットを大きくしてもらいながら競合は現れない時期がしばらく続く可能性

 4月28日に、新薬開発や新たな治療方法の研究に役立てる目的で医療データの2次利用を促進する「次世代医療基盤整備法案」が、参院本会議で可決、成立した。公布後1年以内に施行される。メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、2003年の創業以来、患者や病院の同意を得た上で医療データベースを蓄積し、製薬企業などへ分析調査の結果を提供する事業を推進してきたパイオニア企業だ。蓄積したデータは17年4月末現在で実患者数1821万人分(注・16年4月末から405万人増加)に達し、国民7人に1人の割合だ。「新法の制定は、医療データの利活用に関して一層のフォローにつながる」と話す同社の代表取締役社長・岩崎博之氏(写真)に当面の展望などを聞いてみた(敬称略)。

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■医療ビッグデータのマーケットは2次利用の促進でさらに拡大

――医療データの2次利用を促進する新法によってビジネス環境が変わると思われます。

 【岩崎】 「われわれの事業は、医療の「質」を高めてもらう目的で、医薬品に関する分析データを製薬メーカーや研究機関等に提供する事業を展開している。これを具体的にダイナミックに進めている企業は、われわれだけだ。また、創業当初は医療情報の利活用に大きなマーケットがなかったため、僕らがデータベースを作り、新たな価値を提供する市場を自ら開拓してきた。こうしたEBM事業(注:Evidence Based Medicine:根拠に基づく医療)は、市場の拡大もあり、当社ではこのところ毎年3割増ほどのペースで拡大している」

 「そこに、今般「次世代医療基盤整備法案」で、新薬の開発推進や質の高い医療の実現を目的とした医療情報の利活用基盤を国が推進することになるのだから、おのずと医療ビッグデータのマーケットはさらに拡大していく。僕ら1社では大きなマーケットを作っていくのは難しいが、この点でビジネス環境の大きなフォローになると考えている。」

■蓄積する医療データは国民7人に1人に相当する規模の1821万人分

――新法によってライバルが現われるように思うのですが・・・。

 【岩崎】 「新法によって医療データを集めることができるのは、国が認定した事業者となる。新法では、個人情報も医療データ・診療データとして入るという。そして、個人情報はカットし、統計データとして加工して新薬開発メーカーなどに提供するという流れになる。一方、当社が蓄積しているデータは、許諾を得た病院から提供を受ける時点で個人情報はカットされており、すでに実患者数にして1821万人分、国民7人に1人の規模に達している。」

 「厳密に言うと、こうしたデータ収集については、すでに厚生労働省の事業として、2012年からPMDAという独立行政法人が始めている。この事業では、患者数にして1000万人分のデータを集める計画。この点、当社は医療機関から2次利用の許諾を受けてすでに2,000万人に近いデータを集積している。」

 「データの提供は、医療の「質」向上という大儀が前提になるが、提供する病院側に何か具体的なメリットがないと、進んで参加する事にはなりにくいのではないか。この点、僕らが蓄積するデータには、提供する側にもメリットがある。提供する病院には、当社の経営支援システムが導入されており、蓄積したビッグデータを分析できる環境を無償で提供している。また、このシステム導入の過程などを通じて、病院との信頼関係が醸成されている点も見逃せないと思う」

■医療データの利活用はデータクレンジングが重要

 「提供を受けるデータのマスターは、それぞれの病院によって異っている。各病院からデータを提供してもらえば、そのまま使えるかというとまったくダメで、そこから整理に大変な労力がかかる。僕らはデータクレンジングをイチから手がけてきた。早期事業化に向けて徹底的に頑張ったが、完成に漕ぎつけるまでには数年かかった。こうした経験を踏まえると、新法が定める認定事業者が、利活用できるデータを完成させるまでには、時間がかかる可能性がある。この点で、もし当社が経験してきたデータ整備などのノウハウを求められることがあれば、支援する準備はある。」

 「いずれにせよ、この新法によって、医療ビッグデータの利活用マーケットは確実に耕されていく。そして、当社はすでに国民7人に1人に相当する実患者数のデータを保有しているので、マーケットを大きくしてもらいながら、競合は現れてこない環境がしばらく続くとみている。」

■リアルタイムデータの集積で「治験ビジネス」へ進出

――新法によってマーケットが拡大すると、新たなビジネスの好機も発生しますね。

 【岩崎】 「近々、市場規模が2400億円ともいわれる「治験ビジネス」に進出する計画だ。当社には、データをリアルタイムで蓄積できるとともに、患者や病院の悩みを解消することを目的に開発したITシステム「CADA−BOX(カーダボックス)」があり、進出する道具建てはそろっている。CADA−BOXは、今年2017年2月、医療機関に初導入され、4月から本格的に稼動を開始した」

 「CADA−BOXは、(1)診療情報の一部(カルテ情報)が見られるインターネットサイト、(2)クレジットカード機能、の2つをひとつにした患者向けの仕組みだ。電子カルテシステムから収集・蓄積されるデータは、個人が利用を同意したもので、ほぼリアルタイムのデータになっている点が特色だ」

 「さきほど、データ収集には何か提供側のメリットが必要と話したが、たとえば患者が抱える悩みを挙げると、まず病院での待ち時間が長いという不満、続いてドクターの説明や言われたことがよくわからないという不満、そして、費用がいくらかかるのかという不安があるという3点だ。」

 「この点で、まず診療情報の提供を許諾した患者は、「カルテコ」というCADA−BOXのインターネットサイトを開けば、パソコンやスマートフォンで自身の診療情報が閲覧でき、診療明細などの印刷もできる。自身のカルテの内容が見られるので、病気のことや医師の説明もより理解できるようになる。また、CADA−BOXのクレジット機能で医療費の支払いができるので、会計窓口の前で待つ必要がない。一般のクレジットカードでは、ご高齢になると与信が厳しくなるが、病院というのは高齢者が多い。そこで100%子会社がクレジットカードのライセンスを取得し、与信などを柔軟に行っている。」

 「一方、病院にとっては、会計窓口などの業務効率化が図れ、コスト低減に役立つ。また病院としては、医療費の未収金はなかなか回収しにくいものだが、CADA−BOXのカード払いによってゼロに近づけることが可能になる。診療情報を患者と共有することによって病院と患者の信頼関係が深まり、患者や地域から選ばれる病院になる。CADA−BOXでは、患者が自身のカルテなどを閲覧できるので、家族、ご近所、知人・友人にその病院を紹介するといったことが現実に起きている。集積された医療情報は医療の「質」向上につながっていく。やはり、幅広いデータ収集にはこうした背景が必要だ。」

「こうした医療データを集積している我々は、治験分野でリアルタイムデータの利活用を考えている。治験は、まず被験者として適合する人をスクリーニングし、ドクターに頼んで被験者になるのを口説いてもらうことから始まる。たとえばある治験の項目に30人必要なら、30人集まるまで口説いてもらう。被験者が決まると投薬が始まり、一定期間後に検査し、ドクターの所見が入り、これを定期的に繰り返していく。そして治験のレポートができ上がっていく。」

 「このうち、被験者のスクリーニングは、CADA−BOXのリアルタイムデータを活用できるようになるため、被験者の決定がスピーディになるだろう。治験には、大きくみて創薬に関する治験と、市販後の調査の2つがある。小規模なデータでも実施できる部分はあり、最初はごく小規模な部分からスタートさせようと考えている。年内に参入を目指して準備を進めているところだ。」

 「こうした動きが広がるとともにデータの蓄積も進んでいる。全国344の2次医療圏の医療機関(注・都道府県が病床の整備を図るにあたって設定する地域的単位の医療機関)に広がれば、データはかなりリッチになり、あらゆる治験に対応できるようになる。」

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:09 | IRインタビュー