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2017年02月20日

【インタビュー】JPホールディングスの代表取締役・荻田和宏氏に聞く

【保育士さん不足は続くが積極採用に努め「待機児童」解消に取り組む】

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◆事業所内保育施設の運営も資生堂を手はじめに拡大めざす

 JPホールディングス<2749>(東1)は、全国に保育園を172園運営するほか、学童クラブ、児童館など合計250施設(2016年12月末現在)を運営する子育て支援事業の最大手。「待機児童」の解消が急がれる一方で、東京都の保育士の求人倍率は6倍前後のため採用難。先生の絶対数が足りず、受け入れ児童数を増やせないジレンマを抱える中で、現状と展望を代表取締役・荻田和宏氏に聞いた。

◆東南アジアでは日本式の「しつけ」に評価が高くベトナムでの開設準備も進む

 ―――投資家目線で伺いますと、保育園の運営や幼児教育には様々な規制があって事業として息苦しい印象を受けますが。

 保育・幼児教育の事業には、国と自治体によるサポートというか色々な支援がある。ただ、ザックリ言えば、株式会社よりも社会福祉法人が有利な部分などがあり、かなり改善されてきたが、まだ格差みたいなものが存在することは確かだ。

 また、保育士の先生が圧倒的に足りない中で、お給料を上げましょうということで小池東京都知事も予算を取ってくれた。非常にありがたいことだと思う。が、国と自治体の制度全体を見ると少々使いにくい部分もある。これは、われわれ事業者と当局とのコミュニケーション不足があるのかもしれない。当社も内閣府とやり取りしているし、加藤勝信大臣(少子化対策、男女共同参画)大臣ともお会いしたことはあるが、もう少し意見交換する機会を設けていただければ、現場サイドで抱えている問題などをストレートにお伝えできるのではないかと思う。せっかく予算をつけていただくのだから、効率よく活用する意味でもコミュニケーションは重要になる。

◆保育士さんの給与水準は業界平均より年収ベースで30万円ほど高い

 ―――保育士さんの報酬、給与の引き上げがニュースになったりしています。御社の水準や来年度の見通しはいかがですか。

 当社の場合、保育士さんの給与は2015年時点において業界平均より年収ベースで30万円ほどは高い水準にある。まあ、その分、会社としての利益は下がっているんですが。そして、来年度も定期昇給を含めて、まだ固まってはいないが2%から3%のアップを考えている。そのぐらいの賃上げはやる予定だ。

 ―――そうすると、賃上げ効果で人手不足は解消できそうですか。

 保育士さんの採用困難が言われはじめてからもう5年ほどになる。求人倍率が毎年上がり、おととし(2015年)の求人倍率は東京都で6倍を超えた。去年(16年)も年間ではおそらく同程度だろう。けれども、当社の採用者数は、おととしよりも去年は15%増しだった。今年は、まだ採用を継続しているので固まっていないが、去年よりも着地で2割増しにはなるだろう。給与だけではないと思うが、給与アップの効果は出てきているとみている。来年も引き上げる。

 ただ、保育士さん不足は来年以降、少しは緩和するとみている。というのは、全国の事業者にいえることだが、業界はもう何年も保育所を作って数を増やし拡大してきた。しかし、これだけ採用が困難になってくると、もう増設はムリという事業者が出ている。当社も開園のペースを落としたほどだ。ハイピッチの増設が鈍化すれば、採用に関する需給は多少緩和に向かうとみている。

 ―――採用難の保育士さんですが、新年度はどのくらい採用をお考えですか。

 今年度の採用目標は新卒で250名を計画しており、最終的におそらく240名は採用できる見込みだ。来年度の計画は、今日も1時間ほど前まで会議にかけていたが、担当の方からは300名という数字が上がってきたばかりだ。これぐらい来てくださると、会社としての利益率は改善します。
 
 というのは、当社の保育園などの稼働率は現在、平均82%前後で推移している。待機している児童は多く、施設も部屋もあるんだが先生が足りない。入れたくてもお子さんをお預かりすることができない、という園がほとんどだ。この意味で、先生方が増えれば、会社としては増収増益に直結するんですよ。ただ、これは「たられば」の話で、採用できなかったら来年度も苦しい状態が続く。

◆事業所内保育所は資生堂のほかに20社以上から問い合わせが

 ―――昨年11月、資生堂と事業所内保育事業に取り組むと発表しました。

 発表後、資生堂さん以外にも20社以上から問い合わせがきている。現在、担当のスタッフが各社さんに出向いて打ち合わせなどを行っているところだ。まだ詳しいお話はできないが、資生堂さんの掛川工場よりも先行するところが出てくる可能性があるかもしれない。

 ―――海外でも保育事業を展開と聞いています。

 現在、ベトナムでの準備が先行しているほか、シンガポール、マレーシア、インドネシアではパートナー企業が見つかり、準備を進めている。ベトナムでは、まずホーチミンとダナンで開園する計画で、今日もダナンで新会社を設立する書類にサインしたばかりだ。ホーチミンの方は合弁展開だが、ベトナムの新学期は9月なので、遅くともこの頃までには第1号を開園したい。また、シンガポールやインドネシアなどではパートナー企業が各々事業を行なっているので、準備は早く進む可能性もある。

◆ベトナムなどでは日本式の「しつけ」に対する注目度や評価が高い

 印象的なのは、ベトナムやインドネシアでは、全体に親日的というか、「読み書き」などに加えて日本式の「しつけ」に対する注目度が非常に高いことだ。たとえば、掃除ができる、片付けができる、といったことのほかに、自分の靴をそろえるとか、ゲタ箱にしまうとか、何でこんな小さな子供たちがここまでできるのかと、現地の幼稚園関係者の中には考えられないといって驚く人もいる。現地の幼稚園の中でこうした教育を取り入れた所は評判で、見学に訪れる人が多い。それぐらい、日本式の「しつけ」には注目度が高い。

 このため、当社でも、英語・音楽・体操といったカリキュラムは当然取り入れるが、さらに「しつけ」の面を厚くしたい。ぜんぜん興味がないよ、といった国なら別だが、ベトナムなどでは注目度も評価も高いので、こうした教育を重視するのも大切で有意義ではないかと考えている。

 ―――ベトナムなどで保育対象とする子供はやはり富裕層ですか。

 いや、そんなことはない。ターゲットとしては平均的なサラリーマン家庭のお子さんを考えていて、収入という意味では中所得層から高所得層といったところを計画している。アセアン諸国ではお母さんも働いている家庭が多く、共働きは当たり前。こうした点でも幅広い層にニーズがあるとみている。私がお邪魔した幼稚園では、1施設に100人ほどいる幼稚園でも、もっと入りたいという子供が多く、それこそ「待機」しているような状態のところが少なくなかった。

 ―――業界の大手として、M&Aによる展開などはお考えですか。

 先生の採用がこれだけ難かしくなってくると、異業種から参入してきたところの中には厳しい所もあると思う。キッチリ運営しないと行政からの指導、お叱りもある。大変な仕事ではある。運営が厳しくなっても、閉めることができなければ売却ということになり、こうした意味での再編の動きは割と早く出てくる可能性があるかも知れない。

 現在は潜在的な待機児童数が公表数値の十数倍とみられるなど、ニーズは非常にたくさんあるのだが、長期的にみればこのまま続くわけではない。その先を展望しておくべきだと考えている。この線上にあるものが海外展開であり、新規事業として昨年着手した民間学童クラブ「AEL」(アエル)の展開だ。

 学童クラブは、これまで当社が手がけてきた事業は公的な学童クラブの運営だったが、保育園と同様に数が全く足りない状態だ。保育園の待機児童は年間約2万4000人に達しているが、学童クラブの待機児童数も同じく1万6000人から1万7000人に達していて、施設は相当に足りない。公的な学童クラブは勉強を教えたりできないので、それならば、施設の数も足りなくてニーズもあるのであれば、認可外で独自のプラグラムを導入してお子さんをお預かりしましょうということで、「AEL」(アエル)の積極的な展開を計画している。

 ―――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:32 | IRインタビュー
2017年02月09日

【インタビュー】ファーストコーポレーションの中村利秋社長に今後の成長戦略を聞く

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■造注方式の分譲マンション建設に特化したゼネコン

 ファーストコーポレーション<1430>(東1)は分譲マンション建設に特化したゼネコンである。2011年6月会社設立から3年9ヶ月後の2015年3月東証マザーズに新規上場し、さらに2016年12月には東証マザーズ上場から1年9ヶ月で東証1部に市場変更した。17年5月期は豊富な受注残高を背景として大幅増収増益予想である。中期計画では目標数値に19年5月期売上高350億59百万円、経常利益30億89百万円を掲げている。強みを持つ造注方式を核としたアグレッシブな事業展開で中期成長期待も高まる。中村利秋社長に今後の成長戦略を聞いた。

■品質を重視、3項目で第三者機関の検査

――2011年6月の会社設立から、東証マザーズを経て僅か5年6ヶ月で東証1部上場を果たしました。伝統のある会社が多いゼネコン業界においては異例のスピード成長ですが、会社設立の思い、そしてスピード成長で東証1部上場を果たした感想をお聞かせください。

 【中村社長】 当社は、飯田ホールディングスグループの創業者で前会長の飯田一男氏の出資及び支援によりスタートした会社である。東証マザーズにスピード上場して、さらに今回東証1部に市場変更できたことは、偏に、社員の頑張りによるものと感謝している。

 当社が東証1部に上場できた理由は、当社が分譲マンションに特化し、さらに造注という方式だったからだと思っている。造注方式以外、すなわち競争入札方式の受注が主力の普通のゼネコンでは、たぶん上場できないだろうと思っている。なぜかというと競争入札方式では利益が出難いからだ。特殊な特許を持っていれば普通のゼネコンでも上場できないことはないと思うが、ここまで成熟した社会で普通のゼネコンが上場するのは難しいだろうと思う。

――造注方式というのは、1980年代の平成バブルの時期にゼネコンがこぞって参入した方式ですが、その後1990年代にバブルが崩壊して多くのゼネコンが造注方式に消極的になりました。今では造注方式という言葉を聞くこともなくなりましたが、そういった状況で御社が造注方式に取り組んだ理由を聞かせてください。

 【中村社長】 基本的には利益率の高さだ。造注方式というのは、当社がマンション用地を手当てして複数のマンション・デベロッパーに企画提案する。そして最も条件の良いデベロッパーを選んで特命受注する方式だ。工事採算や回収条件が競争入札方式による受注に比べて、圧倒的に高いことが最大の特徴だ。

――他のゼネコンも今この造注方式に取り組んでいるのでしょうか?

 【中村社長】 聞いたことがない。当社のように特化してやっているのは、他では長谷工コーポレーション<1808>ぐらいだろう。土地を手当てして、企画から設計、施工まで手掛けるというのは一朝一夕ではできない。我々も1980年代〜1990年代に造注で各社が失敗した例をたくさん見てきた。それが肥やしになっている。だから今できるのだ。その点では、今は相当慎重にやっている。

――最近は投資用マンションの需要が高水準のようですが、投資用マンションを手掛けるデベロッパーと土地の確保でバッティングするようなことはありませんか?

 【中村社長】 ない。分譲用マンションと投資用マンションでは条件が異なる。

――造注方式で長谷工コーポレーションと競合しますか?

 【中村社長】 直接の競合はほとんどない。長谷工コーポレーションは開発規模が大きいが、当社は30〜300戸クラスが中心だ。

――造注方式以外で御社の特徴を教えてください。

 【中村社長】 当社は品質を重視している。工事については第三者機関による検査を、杭工事、配筋工事、レディーミクスコンクリートの3項目で行っている。この3項目で第三者機関の検査を行っているのは恐らく当社だけではないかと。

――第三者機関の検査を入れてコストアップ要因にならないでしょうか?

 【中村社長】 コストアップ要因になるが、信用には代えられない。現場の数にかかわらず、全ての現場で行う。これはゼネコンとしての宿命だと思っている。また当社は造注方式で利益率が高いからこそ、検査によるコストアップにも対応できる強みがある。

――上場したことで信用力とか、デベロッパーとの取引の関係とかで、目に見えるようなメリットは出ていますか?

 【中村社長】 土地についての情報量や銀行の支援という点はかなり変わってきた。これから変わるのは人材の獲得だろう。当社の本社も4月に移転する予定で、人材獲得に繋がると期待している。

――銀行との関係ではコミットメントラインなどは契約されていますか?

 【中村社長】 特にコミットメントラインは設定していないが、必要に応じて調達が可能になっている。

■M&Aを活用して事業を拡大

――資金面は問題がないし、今後の課題は人材や施工能力ですね。

 【中村社長】 今後の成長に向けてはM&Aも活用する。エリア的には首都圏1都3県、関西、九州などで、ゼネコンや不動産に対するM&Aが出来ればと考えている。

――具体的には、中小のゼネコンが対象となるのでしょうか?

 【中村社長】 そうだ。いずれも中小のゼネコン、不動産、デベロッパー、そして賃貸も含めて幅広く考えている。

――不動産セクターのM&Aも考えているということは、今は分譲マンションを特化していますが、将来的には対象は広がっていくのでしょうか?

 【中村社長】 分譲マンションに近いものはやっていくつもりだ。シニアマンションとか老人ホームをやっていこうと考えている。既に老人ホームを2ヶ所手掛けている。これからはシニアマンション分譲事業にも参画するつもりだ。

――大型M&Aの可能性はありますか?

 【中村社長】 ないとは言えない。候補次第だ。

――成長に向けての施工能力が課題になると思いますが?

 【中村社長】 採用による生産能力の拡大を目指しているが、M&Aは、それを補完する役割である。

――中期計画(19年5月期売上高350億円)や長期ビジョン(売上高500億円)を見ると、今期(17年5月期)の予想売上高218億円に比べて、かなり高い伸び率が必要になります。投資家から「本当に大丈夫?」という印象を持たれる可能性があると思いますが?

 【中村社長】 今期(17年5月期)の業績については売上高・利益ともほぼ計画どおりで固まっている。さらに来期(18年5月期)計画の売上高276億円についても8割がた目途がついている。現在やっているのは19年5月期計画の売上高350億円に向けて、土地の手当て、企画、デベロッパーとの交渉だ。まず今期の数字がきちっと出れば、約束を守る会社と思ってもらえる。前期(16年5月期)も言ったとおりの数字を出した。

 中期計画や長期ビジョンの達成に向けて、M&Aも活用して施工能力を拡大する。それによって事業の裾野も広がる。例えばAという会社を買って、半分は現業を行い、後の半分は造注をやる。当社にはノウハウがあるから難しくない。

■長期ビジョンで売上高500億円目指す

――長期的なビジョンとして、どのような会社を目指すのでしょうか?

 【中村社長】 当初この会社を設立した時から売上高500億円の会社にしようと思った。そのためにM&Aという手段も考える。19年5月期計画の売上高350億円にM&Aは入っていないが、長期ビジョンの売上高500億円にはM&Aの想定もある。また、国内マーケットは縮小しているので、将来的には海外のマーケットに出たいと考えている。そこまでの道筋を私はつけるつもりだ。

――海外は具体的には、どの地域を考えていますか?

 【中村社長】 海外はベトナム及びインドネシアを考えている。既にインドネシアの分譲の状況と、ゼネコンの状況のリサーチを検討している。ベトナムはインフラの整備が進んでいるため有力で、すでにデベロッパーが進出している。

――最後に投資家に対するメッセージをお願いします。

 【中村社長】 株主還元は配当を基本としていたが、株主優待制度も導入した。配当性向は30%を維持する方針で、内部留保の状況なども考慮しながら、可能な範囲で配当性向を引き上げていきたいと考えている。

――貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:57 | IRインタビュー
2016年12月14日

【インタビュー】アイビーシーの加藤裕之社長に強みや今後の成長戦略を聞く

■ネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニー

 アイビーシー<3920>(東1部)は、ネットワーク機器・システムの稼働状況や障害発生の予兆などを監視して、情報通信ネットワークシステム全体の性能状態を容易に可視化できるネットワークシステム性能監視ツール(ソフトウェア)のリーディングカンパニーである。2016年10月16日に、創立15周年を迎え、11月28日には東証マザーズ上場から1年2ヶ月の速さで東証1部に市場変更した。同社の強みや今後の成長戦略を加藤裕之社長に聞いた。

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――先ず、会社を設立された時の思いをお聞かせください

 【加藤社長】 私が当社を設立した2002年頃はソフトバンクがブロードバンドルーターを無料で配っていました。ちょうどブロードバンドという言葉が出てきたタイミングでした。私はLAN機器メーカーに8年7ヶ月おりましたので、そこでLAN機器の変遷を見てきました。その頃はメインフレームのダウンサイジングというのが大前提にあり、パソコンとメインフレームをつなぐとか、UNIXとパソコンを繋ぐみたいな世界です。ウインドウズ95が出て以来、インターネットプロトコルがバンドルされて、バンドルされたものがパソコンの価格の下落とともに、インターネットのブラウザーの普及に伴ってどんどん普及してくる。そのようなLAN機器の普及を長年見てきました。

 そのような中で、じゃあ何をやろうかと言ったときに、マルチベンダー構成の機器を可視化するというか、性能情報とか、ルーターの入口や出口はどうなっているのかとか、ちゃんと帯域が確保されているのかどうか。それが早い遅いとかという話もあるので、ブロードバンドみたいなものが出てくると、インフラ基盤が変わるだろう、性能状態を可視化できないとサイジングもできないし、構築・設計・運用もできないのではないかと感じました。

 そのような時代背景があったので、ネットワークインフラ全体を俯瞰できる仕組を持ち、情報を把握することができる会社が生き残れるのではないかと感じていた。そこで最初はマルチベンダーの分析・解析・コンサルティングのサービスから始めました。アイビーシーという社名はインターネットワーキング・アンド・ブロードバンド・コンサルティングの頭文字をとって「IBC」としています。インターネット周りの仕事とブロードバンドのコンサルティングができると面白いねという感じです。そこのデータを把握するのが当社の最初の動きでした。

――そういう所からスタートして今年で15年目。その間に会社は大きく変化したと思いますが、そのあたりはどう見ていますか?

 【加藤社長】 最初は商売がうまくいきませんでしたが、ネットワークインフラのメジャーな製品を誰でも簡単に可視化できる仕組みにするためにテンプレート化していきました。自社開発でツールを作り現在では108メーカーに対応しています。サーバーやネットワークセキュリティー、配電盤など、さまざまなIP化されたものを可視化する。そういった機器だとか、ソフトウェアなどを私たちは徹底的に検証して、ネットワーク系を全部押さえる、マルチベンダー対応で機種特性がわかるという点で、当初の目的通りの会社になりました。最初と異なる所はプロダクトメーカーの顔が大きくなったという点です。

 それで良かったと思います。顧客に当社のツールを置いてきて、その中で蓄積したデータを分析・解析していくと、マルチベンダーの性能情報が把握できて、実際の機器で検証させてもらったものを製品に反映していくことができます。そして顧客データや業種別データというのを、インフラの視点で見る仕組みが出来上がりました。

 考えていたネットワークインフラ系の情報を全部把握するという意味で言うと、それなりのノウハウは蓄積できています。自社開発の製品に現在108メーカーのものは全て踏襲されていて、当社にはマルチベンダー環境をいじり倒したエンジニアがいます。そのようなノウハウを持っている会社は多分当社以外に世界中探しても見つからないかも知れません。

 そうしたデータを可視化するツールをリリースして足掛け15年になります。そうすると次は情報コンテンツをどう使うかによって、パートナーやエンドユーザーとの付き合い方も変わってくる。それで変えたいと思って昨年東証マザーズに上場しました。

――そうすると株式公開されて、ここまでは会社としての創業からようやく形になったという思いでしょうか、あるいはもうそこそこできあがったという思いでしょうか?


 【加藤社長】 15年経過して株式公開してもまだまだ創業と変わりません。これからだと思っています。今後SaaSやクラウドみたいな世界になると、オンプレミスの世界とクラウドの世界を両方で見て行かなければなりません。併せて俯瞰できる仕組みが必要になると思います。そういう世界で私たちの活躍の場はもっと広がると思います。

 第4期目から新卒採用を行っていますが、その人達も育ってきて亀の歩みでやってきました。これからは大手メーカーがやらない領域とか、まだまだこれからいける領域もあると思います。製品のブラッシュアップをもっとしていければ、次の領域が見えてくる可能性はあると思います。

――将来の成長に向けてまだまだ初期の段階だということですね。

 【加藤社長】 IoTという言葉が流行っていますが、実際インターネットに繋がるものって当たり前に全てがIPなんですね。そういう意味で言うとIP化されたもので何か見る仕組みがあれば当社は可視化できます。最近だと2016年4月、アットマークテクノ社とIoTを活用した製造ラインの統合管理ソリューションで協業しました。アットマークテクノ社のIoTゲートウェイと連携し、より統合的な状態・性能監視を提供します。インターネットに繋がるプロトコルを持っているもので、可視化可能な仕組みがあれば当社は何でもできてしまいます。ツールにも反映できます。あとは統計分析とか自動分析みたいな話になると、AIと協業し、そういうファンクションを入れてしまえば当社が蓄積したデータの分析も可能になります。マルチベンダーを可視化してネットにつながるものを全て俯瞰できるようになると広がる領域はたくさんあります。

 広げ方はエンドユーザーの母数が増えたり、見る仕組みの精度が上がったり、分析・解析能力が上がったり、さまざまな業種に特化して可視化したりとか。そういうチャンスがあると、そこに性能情報なりデータ活用なり、データ分析ノウハウだったりの使い道はあります。今は漠然とネットワークインフラとかサーバーのことを話していますが、いろいろと組み合わせがあると思います。

――そうすると貴社にはまだまだビジネス拡大余地があるということですね。それなりの先行投資も必要になりますね。

 【加藤社長】 当社は「マルチベンダー」がキーワードです。社員に求めるのもマルチベンダー対応です。サーバーだけでも、ネットワークだけでも、シスコだけ知っている人でもだめです。エンジニアも営業も顧客の全体セキュリティを含めた課題を抽出しなければなりません。領域を広く・深く知らなければなりません。ツールを有効活用するための情報を、顧客からどの様に収集して、どう顧客のために提供できるかという視点で語らなければなりません。プロダクトがいいから購入してくださいでは当社の営業はできません。そのための人材教育には時間を要します。

 またステージが変わると、インフラが変わり、サービス基盤が変わってきます。営業の課題も変わってきます。そういう領域で人の採用を強化しなければなりません。新しい領域へのチャレンジに向けた人材の採用も必要です。派生ビジネスやパートナー戦略でも、ソリューションを展開できなくては自社の強みを活かす仕組みもぼやけてしまいます。そういうものを行う体制だったり、サービス機能だったり、サポート体制だったり、既存顧客のアップセルも含めて体制を築かないと、顧客企業との長いお付合いができません。そして後は、付加価値ですね。そういう意味で今年は人材採用・教育の面で積極的に先行投資したいと思っています。

――それで今期(2017年9月期)の業績見通しは先行投資負担で減益予想となったのですね。

 【加藤社長】 そうです。ただし増収基調に変化はありません。トップライン(売上高)の成長を維持しつつ、中期成長に向けて人材採用、本社オフィス増床、新製品開発に係る動作検証環境整備のためのシステム導入など、積極的な先行投資を実施するため、今期は一時的な減益を見込んでいます。また売上、利益ともコンサバに見た数字を公表しています。現状のソリューション、当社の持っている実物のプロダクトとサービスの基盤だけで今期業績予想を出していますが、何かストレッチできる面白いネタが出た瞬間に変わる可能性もあります。

――中期的な成長戦略としてサービス領域拡大を掲げていらっしゃいますが、今後のビジネス展開の中で、監視ツールのライセンス販売からシステム全体の構築・運用まで広がっていくのかどうか、その戦略をお聞きかせください。

 【加藤社長】 当社はシステム全体の構築・運用を丸受けする形になるとは思っていません。ただしマルチベンダーを可視化し、そのような基盤を情報化して握っているならば、いろんな可能性があります。したがってサービス領域を広げていきたいと考えています。

 最近ではハイブリッド型クラウド系の案件が大手企業で増えています。自治体もハイブリッドクラウドみたいな感じでサービス機能を立ち上げたりしています。そういう所にツールのチャンスや、ノウハウのチャンスがあります。データセンターとかサービスプロバイダー系でも、当社がやっている領域の付加価値をつけなければならない時代になってきています。当社のツールを活用して月額課金サービスを増やしていくようなことも考えられます。

 また新領域としてクラウド系インテグレーションを立ち上げます。11月に特化型クラウドインテグレーションサービス「SCI」の提供開始を発表しました。ハイブリッド型クラウド全体を可視化したり、仮想系の所を可視化したりするノウハウがあるので、エビデンスを持って提案できる状況になります。そうするとクラウドインテグレーションのニーズも当然増えてくると思います。さらに将来的にはAI領域でもビジネスチャンスがあるのではと思っています。

――最後に、株主還元を含めて投資家に一言お願いいたします。

 【加藤社長】 当社の事業ドメインであるIP全体を可視化できる会社は他に例がなく、簡単に他社には真似ができません。参入障壁は高いと思います。大企業相手のBtoBビジネスで地味な会社ですが、長い目で見て堅実に成長する会社として評価いただければと思っています。また東証1部に市場変更したこともあり、株主還元策を考えていかなければならないと思っておりますが、今期は始まったばかりなので、半期の状況を見たうえで考えたいと思っています。

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:00 | IRインタビュー