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2017年09月06日

【インタビュー】パシフィックネットの上田満弘社長に聞く

■「フロー型」から「ストック型」へ収益構造を大きく転換

法人向けに、IT機器の調達・導入、運用・保守、引取・回収・データ消去、リユース・リサイクルをワンストップで提供する「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」を積極展開

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 パシフィックネット<3021>(東2)といえば「IT機器の引取・回収・データ消去・リユース」大手とのイメージが強いが、近年は大きく事業転換を図り、IT機器の「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」を積極的に推進している。法人のPCやタブレット、モバイル等IT機器にかかわるサービスを、調達・導入、キッティング(事前設定)、ネットワーク構築や運用・保守までを行い、入れ替え時期が来た際には使用済み機器の引取・回収・データ消去・消去証明書発行、そしてリユース・リサイクルと、その全てをワンストップ行っている。この一連の業務を一貫して提供する事業者はほとんどなく、企業・団体からの反響は予想を超え増えているという。収益的にも引取・回収・データ消去やリユース中心の「フロー型」から長期レンタル型の調達、キッティング、運用・保守を中心とした「ストック型」への大転換が進んでいる。「また、グループ企業で進めている法人向け総合通信事業も手応え十分」と語る同社・上田満弘社長(=顔写真=)に当面の展望を聞いた。

■調達・導入から回収・データ消去、リユースまでをトータルで提供できる企業は比類なく、顧客の評価も高い

【上田】 当社の現在の事業構成は、大きく分けて、いわゆる使用済みIT機器の引取・回収〜データ消去、リユース販売といったフロー収益事業と、新品IT機器のレンタルから始まる調達・導入〜運用・保守という、ストック型事業の2つのセグメントになる。これを、前期からストック収益型の事業の方に大きく比重を移していこうと取り組んでいる。

 企業のIT機器の運用管理を担当している情報システム部門、いわゆる情シスの平均的人数は全社員数の1%以下と言われており、中堅・中小企業の場合は1名〜数名で全ての関連業務にあたっている。その方たちの作業負荷をアウトソーシングで低減し、本来業務に専念していただくためのサービスこそが今、非常に望まれる時代になってきた。

 レンタル型の調達といっても、単純に機器を貸し出すだけではなく、お使いになる方のデスクにPCが設置されたら即座に使える状態にして納入している。キッティングと言いますが、個社毎に指定のOSや必要なソフトウェアをインストール、基幹システムやネットワーク環境等に合わせた個別設定などの作業も代行し、電源さえ入れれば、すぐに使える状態でお納めする。これは付加価値が高いサービスだと評価して下さるお客様が多い。さらに導入後は、故障時のセンドバック対応や、ヘルプデスク代行、セキュリティ対策などの運用・保守サービスにも対応しているので、これらも合わせてご提案している。そして、入れ替えで不要になった機器は当社で引き取り回収する。個人情報や企業機密のデータ漏洩は絶対にあってはならないので、当社で完全に消去し、最後はリユース・リサイクルまで一気通貫でお受けしている。このように、情シスの皆様の業務効率化に大きく役立っていて、その結果、企業のIT戦略推進の支援につながっていると自負している。

 これらをまるっと全てトータルで自社完結し提供できる事業者は他にはほとんどない。導入から運用・保守だけを行う会社は多いが、引取・回収・データ消去、さらにはリユース・リサイクルとなると、ほとんど見当たらない。回収だけ、リサイクルだけ、などと何段階かに分かれており、社数が多く細分化されている。このようにワンストップで提供できるのは、現段階では特に上場企業では当社だけだろう。これらの業務を一社完結で行うので、途中で別の業者に機器を移動することもないため、情報漏洩対策上も非常に安心で、かつ競合優位性も高い。

 このように当社は、できるだけお客様の立場に寄り添った形でこうしたIT機器の「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」(=図表=)を戦略的に展開していく。

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■これまでは環境変化による影響が大きく「ストック型」に戦略転換

【上田】 これまでの事業特性はというと、環境の変化による影響が大きかった。「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」(=図表=)の流れの中でいうと、(3)の引取・回収、データ消去、(4)のリユース・リサイクルがこれまで当社のビジネスの中心となっていた。ただ、この部分はWindowsのサポート終了による入れ替えやその反動減、景気低迷による機器の購入鈍化とそれによる排出(引取・回収の対象)減など、市場環境に非常に左右されやすい面がある。

 たとえば「Windows XP」のサポート終了が2014年にあり、このとき大量にPCの入れ替えが発生し回収量も大きく増えたのだが、この反動によって翌年以降、回収量がガクッと減り、それが業績に大きく影を落とすことになった。環境の変化が大きく、それによって売り上げも大きく左右される状態だった。

 このため当社では、環境がどんなに変化しようが、安定して成長いていくためには何をすべきかということを突き詰めて考えた結果、フロー型事業に偏ることのない、この「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」、つまりIT機器の調達・導入、運用・保守から引取・回収・データ消去、そしてリユース・リサイクルまでをワンストップで提供する事業展開にシフトした。

 環境の変化という点では、今年2017年に入って新品のPCの出荷台数は増えてきており、事業環境は回復に向かう方向性は見えてきている。入れ替え台数の増加は半年ほどタイムラグがあるので、回収という形で実際に当社売り上げに寄与してくるのは今年の秋以降ではないかと見ている。

 さらに、2020年1月の「Windows7」サポート終了を控え、企業のPC入れ替えがすでに始まり、それまでに多くの企業が「Windows10」へ移行する予定だ。このため、2018年以降出荷台数はさらに伸び、当社の回収台数も増えると予測できるが、その後に再び反動減が来るのは間違いない。このため、今から「Windows10」移行後の反動減を予測しつつ、「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」のうち、(1)調達・導入、(2)運用・保守を中心としたストック型事業に大きく舵を切り、環境の変化に負けない体質作りをしなければならない。

■現在25%前後の「ストック型」を早期に50%以上に

【上田】 今後の事業戦略として大きいのは「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」の展開で、その中でもレンタル型導入を中心としたストック型事業の売り上げ構成比を現在の25%前後から早期に50%以上に持っていきたいと考えている。一方、引取・回収、データ消去、リユース・リサイクル事業はそれほど増やすつもりはない。その分のリソースをストック型事業に再配置していく。人を増やすとコスト増になりますから、人員の再配置という形でストック型事業を拡大していきたい。数年後の売り上げ構成比は大きく変わることになる。

 ただ、大型の事業転換にはやはり先行投資が必要となる。特にレンタルという業態は先行投資が大きくなりがちだ。それで、ここ2年ほどは経費先行の決算になっている。前期(2017年5月期)は、中古PCの在庫を大きく圧縮した。BS(貸借対照表)を見てもらうとわかるが、7億数千万円あった棚卸資産が4億5千万円に、つまり3億円近く落とした。これをさらに落として軽くしていきたいと思っている。

■グループ企業による法人向け総合通信事業も軌道に乗る

【上田】 環境の変化に負けない体質作りの2つ目は、当社グループ企業、株式会社2B(トゥービー)の法人向け総合通信事業の拡大だ。当社のLCMサービスとのコラボレーションにより、お客様の評価が高まっている。

 とりわけ現在、企業からの反応がすこぶる良いのは、「クラウドSIM型海外Wi−Fiルーター」レンタルだ。今まで海外出張の際には、ノートPCはもちろん、通信を行うために、海外Wi−Fiルーター(滞在国がまたがる場合、複数台のルーターを持つ場合もある)、携帯電話、モバイルバッテリーと沢山のデバイスを持ち歩かなければならなかったが、これをノートPC以外、1つで済むようにした最新のALL IN ONEタイプの「クラウドSIM型海外Wi−Fiルーター」だ。これは独自の「クラウドSIM」技術によって、これまでのようなSIMカードの抜き差しが不要で、1台でアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど、世界100ヵ国以上で使用できる。入国するとすぐに、その国の最も通信状態の良い通信キャリアを自動的に選択して接続する。国を移動しても、そのまま設定も変更なく使い続けることができる。モバイルバッテリーとしての機能もあり、さらにはIP電話機能で滞在国内でも日本への通話でも使用することができる。7月からは、海外出張前の多忙さを考えて、これを成田・羽田・関西の各空港で受け取れるサービスも開始した。

 値段も安く設定している。通信料は端末のレンタル料に含まれているので非常に便利でもある。レンタルなので、たとえば通信キャリアのように2年間解約できないといった「縛り」がなく、1年間だけとか、極端な例では短期出張用に1週間だけといった使い方も可能だ。あまり他社にはないサービスである。年度予算で動いていらっしゃるところが多いのでニーズに合致したこの「クラウドSIM型海外Wi−Fiルーター」レンタルサービスは、導入企業が増えている。

 また、同じく「2B」と当社とのコラボレーションで法人向けに展開しているのは、「テレワーク」「モバイルワーク」に最適な「SIM対応ノートPC」と「通信」のセットでのレンタルサービスだ。これから「働き方改革」に対応し「在宅勤務」や「サテライトオフィス勤務」や「モバイルワーク」を導入しようとする企業は、就業規則や評価制度、勤怠管理など導入にあたり様々なルールや決まり事の変更・調整をする必要があるが、ノートPCを購入したり、通信の契約期間に縛りがあるとスモールスタートをしながらの検証が非常にしにくい。この点、当グループの「SIM対応ノートPC」と「通信」のセットであればレンタルなので、検証期間を設定し小さくスタートすることが可能となる。

 更に本格導入のタイミングでは、より一層セキュリティを強化した通信プランなども提供している。「働き方改革」の動きが拡大するにつれて、当グループの手応えも増々強まっている。

 なお、「2B」の提供する「SIM」は17年8月末までに約2,000回線と順調に拡大している。

■成長市場への取り組みとして6月にM&Aのアドバイザリ子会社を設立

【上田】 成長市場への取り組みとして、今年の6月1日付で、M&Aのアドバイザリ子会社「株式会社エムエーピー(MAP)」を設立した。中小企業の経営者の年齢分布を見ると、年々高齢化が進み、引退年齢も同じように上がっており、また少子化もあり、事業承継の問題が社会問題となっている。当社の1万社を超えるお客様の中にも、後継者問題は予想以上に深刻な面がある。こうした中で、MAPがM&Aを含めたアドバイスをさせていただくことよって事業承継のお手伝いができるのではないか、ということだ。事業承継問題へのアプローチは国策にも沿う。

 M&A関連事業は、すでに大手企業が何社かあるにもかかわらず、まだまだ市場が拡大している。当グル―プは、異業種からの参入にはなるが、これまでの1万社を超えるお客様との実績やネットワーク、上場企業経営者などからのご相談などを総合すると、われわれが参入できる余地はいくらでもある。手応えもあり、想定以上に早い段階で軌道に乗る可能性が高い。

 実は、当社は「ラジオNIKKEI」で毎週火曜日と金曜日に「相場の福の神」という上場企業経営者をゲストに呼ぶ番組のスポンサーをしており、この番組を通じて、すでに130社近い上場企業経営者とのネットワークがある。こうした経営者に対してダイレクトに提案ができることも、話が早いというか、M&A関連事業を行う上での強みではないかと考えている。

 この事業が拡大すると、当社自身が必要とする事業を展開する企業を見つけやすくなる点でも大いに役立つ。当社の成長戦略にも寄与する。成長性の高い分野、参入障壁の高い分野で安定的に利益を出せる事業などで、当社もM&Aを戦略的に取り組んでいく方針だ。

 ───ありがとうございました。(聞き手・智田拓)

提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:07 | IRインタビュー
2017年06月24日

【インタビュー】協立情報通信の5月に就任した長谷川浩新社長に聞く

■「法人」と「コンシューマー」のバランスも重視し高収益体質の構築をめざす

 協立情報通信<3670>(JQS)は、企業経営に必要なICTソリューションをワンストップで提供する「ソリューション事業」と、ドコモショップの運営などからなる「モバイル事業」を事業の柱としている。東京都・中央区に設置する「情報創造コミュニティー」を営業活動の中核として、業務改善や情報活用のための各種セミナー・フェアを開催するほか、顧客やパートナー企業との新たなソリューションの共創の場、様々なソリューションを体験できる場として展開している。

 長谷川浩社長は今年5月に就任。2020年に予定されている「5G(第5世代移動通信システム)」が実用化すれば、企業の情報化や価値の向上に貢献できるICTソリューションの可能性がますます広がる」と豊富や意気込みを語った(敬称略)。

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――5月にご就任ということで、最初に「座右の銘」とか、駆け出しの頃の失敗談とか、おありでしたらお聞かせ下さい。

 【長谷川】 「座右の銘」かどうかはさて置き、「赤誠(せきせい)」という言葉をいつも念頭に置いている。「うそ偽りのない心で、真心をもって接する」という意味で、物事を判断するときの基準とか、様々な局面における決断の場面では、この精神を念頭に置いて対応している。

 前職は金融機関だった。当社に入ってからは8年目になる。全く違う業界に来たことになり、文化が違うなと感じたのが数字の単位だった。あるとき、社内資料に「500M」と書いてあり、一般に金融機関では「500ミリオン」と読むため5億・・・5億円。ひとつの案件でこの金額とは、これはものすごいと思ったのだが、実際には500「万円」のMだった。もちろん、数値化やデータ管理の方法は企業によって異なって然るべきだと思うが、固定観念で数字・データを読むと間違えてしまうと痛感した。

■「働き方改革」による「モバイルワーク」に注目

――4ヵ年の新・中期経営計画を推進中ですね。

 【長谷川】 当社のビジネスは「ソリューション事業」と「モバイル事業」に分けられる。もともとは電話交換機の販売・施工から始まったので、情報インフラには強い。やがてNECの特約店となり、昭和60年の通信自由化により情報通信サービスに参入。事業拡大を図る過程で、OBCの基幹業務ソフトなどの「コンテンツ」を取り扱うようになり、次にその「活用」という部分でマイクロソフトとの関係を作るというように戦略的な変遷を遂げてきた。こうした中で、「モバイル」というものに将来性を感じ、ポケベルの時代から進出を図り、以降、NTTドコモとの関係も築いてきた。

 現在、モバイル事業は全体の連結売上高の68%を占めるが、ソリューション事業と比べて利益率が低く、なかなか利益面に貢献しない。この点を中期的に変えて行かなければならないと考えている。

 まず、全体の連結売上高における法人向けとコンシューマー向けの構成比を、現在の「4:6」から「5:5」にもって行きたい。ドコモショップでの店頭販売と法人営業は戦略や営業活動、収益構造が異なるため、単に事業セグメントで考えるのではなく、「法人」と「コンシューマー」に分けた。当然ながら、法人向けの方が利益率は高く、その割合が増えれば利益率はおのずと上がるし、しかもソリューション事業とのシナジーによりいろんな可能性が生まれる。

 その法人向け事業としては、「働き方改革」が進められるなか、移動中に携帯電話やメールを使って商談を進めたり、取引先から社内のデータにアクセスしたり、テレビ電話で会議に参加したりするなど、いつでもどこでも仕事ができる「モバイルワークソリューション」が、ますます注目されていくと見ている。モバイル事業の法人部門の成長が「新・中期経営計画」達成の鍵であり、そことの連携によりソリューション事業の案件創造に繋げたい。ソリューション事業の売上構成比を4割以上・・・本当は5割と言いたいのだが、とりあえずソリューション事業は4割以上、そしてモバイル事業は6割以下という構成比にしたい。営業利益率も、ソリューション事業は15%以上、モバイル事業は6%以上を中期目標に掲げている。このような構成になれば、当社グループとして高収益体質を構築することができるはずだ。

■「5G」により企業の価値向上に貢献できるソリューションの可能性が拡大

――クラウドソリューションをはじめ多彩な提案を行っていますね。

 【長谷川】 「ソリューション」と「モバイル」にはっきり分けて展開するのではなく、現在は両事業を融合したもの、一体となったものが求められている。先に挙げたモバイルワークソリューションもその通りで、当社が得意とするインフラやコンテンツにクラウドサービスを融合し、その活用ツールとしてスマートフォン、タブレットの導入を提案している。

 このようなイメージで将来を展望すると、超高速・大容量の通信を可能とする「5G(第5世代移動通信システム)」が2020年の商用化に向け準備が進められているが、これとともにクラウドやIoTの技術がさらに進化し、それに関連したサービスも多様化していく。当社は、パートナー企業の商材や技術、サービスを融合させて、特に法人のお客様の情報化や企業価値の向上に貢献するソリューションを提供することをミッションとしているので、新たなソリューション創造の可能性が開けてくるとみている。「5G」には大変期待している。

■スマートフォン、タブレットなどの購入者に教育サービスを提供

 【長谷川】 また、個人向けのモバイル事業では、「実質0円販売の禁止」をはじめとする総務省の一連の施策により、販売戦略の見直しが迫られている。キャリア側も、従来の携帯電話の販売からお客様の「スマートライフ」にビジネス領域を広げているが、当社としても、法人向け事業で培ったものを個人のお客様にも展開していくなど、差別化により競争力を強化しようとしている。

 いま進めている施策の例を挙げると、今まで法人のお客様向けに提供していたeラーニングコンテンツや「情報創造コミュニティー」で開催するマイクロソフトのOffice講座などの教育サービスを、当社が運営するドコモショップでスマートフォンやタブレットをご購入いただいたお客様に無償で提供を始めた。法人向けと同様に、コンシューマー向けにもソリューションとしてハード、コンテンツ、そして利活用をワンストップで提供できる体制を構築し、幅を広げて行く計画だ。

■クラウド化に伴い多様化する顧客ニーズにワンストップで対応できる力が求められる時代

 【長谷川】 法人向けビジネスで言うと、いま「FinTech」(ICTの活用により既存の金融サービスに新たなイノベーションをもたらすもの)が話題になっている。銀行や証券会社が活用している技術というイメージが強いが、様々なシーンで新たなビジネスモデルや付加価値が生まれている。銀行や証券、カード会社などの情報を一括管理できる個人向けの資産管理サービスが普及しつつあるが、企業の会計処理も大きく変わってくるだろう。たとえば、銀行口座間で資金が移動する際、勘定の処理・・・入金だとか支払い記録などが自動的に会計処理に連動することになる。「FinTech」が発展することによって、企業の業務も効率化され、こうした変化に対応する基幹システムというものが重要になってくるだろう。

 すでに「FinTech」に対応するソフトも開発されているが、こうした最新のシステムが導入される局面では、まず大企業で普及し、次に中堅・中小企業という順になる。当社は、人材不足やコスト増などの理由で自社では対応が難しい中堅・中小企業こそ企業価値を向上させるための情報化が急務であるという信念から、中堅・中小企業を支援する姿勢を創業時より貫いている。

 また、社内サーバー上で構築していたシステムを、専門事業者が提供するクラウド上に移行させる「クラウド化」に関する引合いが非常に増えてきている。以前ならパソコンやサーバーにインストールしたアプリケーションを使っていたものが、いまはクラウド上にデータを保存し、クラウド版のアプリケーションを使用する企業も増えてきた。設備の運用・管理などの負担もなく、導入時のまとまった設備投資も不要で、マイクロソフトの「Office365」のようなグループウェアサービスの利用により、業務に必要なメール、ファイル共有、業務管理、ワークフローなどの機能も使える。

 こうした時代になると、ソリューションベンダーにはクラウドの構築の技術やノウハウが求められるとともに、活用提案や運用管理、教育サービスといったことまでワンストップで対応できる力が求められる時代になっている。

■株主還元は配当性向30〜40%を目途に、優待品の拡充も検討

――株主還元についてのご方針などをお聞かせ下さい。

 【長谷川】 株主還元については、従来のスタンスを踏襲し、業績によって大きく振れることなく、安定した金額水準を維持しながらも、配当性向30〜40%を目安に配当を継続する方針だ。また、創業者の出身地の銘柄米を株主優待品としているが、コスト面も考えながら株主様の声を反映し、充実を図る方針だ。

 自社株買いについては、流通株式が少ないのでなかなかできないなど課題はあるが、可能な限り株主還元を視野に置きながら経営の舵を取って行きたい。

■10月には「情報創造コミュニティー」などが移転し、一段と戦略的に展開

――この秋には、「情報創造コミュニティー」や「ドコモショップ茅場町店」の移転が予定されていますね。

 【長谷川】 入居先ビル建て替えのため、2014年から「情報創造コミュニティー」やドコモショップのほか、モバイル事業の法人営業部門が日本橋茅場町に移転していたが、まもなく工事が完了し、この10月には元々あった中央区八丁堀に戻って営業を再開する。

 「情報創造コミュニティー」は、お客様とパートナー企業との共創の場と位置付けている。フロア面積は現在の約2倍に拡大し、従来のソリューションスクールやデモルーム、ミーティングスペースに加えて、これらとほぼ同じ広さの多目的スペースも確保し、お客様やパートナー企業とともにそれぞれの創造性を発揮するスペースとして活用する予定。

 また、仕入パートナーだけでなく、今後は販売面でのパートナーをもっと開拓する必要があると考えている。販売パートナーとの共催イベントなども積極的に行っていきたい。

 当社は「情報インフラ」「情報コンテンツ」「情報活用」という3つの分野の課題をワンストップで解決する「経営情報ソリューションサービス」を展開しているが、新施設の完成によって、情報活用ソリューションや情報活用教育サービスを今まで以上により積極的に展開することが可能になり、「情報創造コミュニティー」をいかに活用していくかが課題になる。

――ありがとうございました。(HC)

 ◆長谷川新社長の略歴◆
 ・昭和54年4月:商工組合中央金庫に入庫
 ・平成16年7月:八戸支店長
 ・平成19年7月:審査第2部上席審査役
 ・平成19年9月:新木場支店長
 ・平成22年4月:協立情報通信入社、関連業務部長
 ・平成24年4月:取締役 関連業務部長
 ・平成25年5月:常務取締役 管理部長
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:57 | IRインタビュー
2017年05月24日

【インタビュー】ピクスタの古俣大介社長に聞く

ピクスタ<3416>(東マ)

好調な既存事業「PIXTA」の利益を活用し
海外・新規事業への横展開を図る


■写真・イラスト・動画素材のマーケットプレイスを運営、海外展開や新規事業への積極投資も

 ピクスタ<3416>(東マ)は、写真やイラスト・動画素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営で急成長している。プロ・アマ問わずクリエイターとして写真などのデジタル素材を投稿でき、デザイン制作会社やメディア等の企業を始めとする購入者に購入されれば、それに応じた報酬が発生。登録クリエイター数は22万人以上、販売中のコンテンツ数は3年で2倍以上の2400万点に達している。シンガポール、台湾、タイに海外拠点を置き、2017年3月には韓国企業の子会社化も実施。16年には新規事業である出張撮影マッチングサービス「fotowa(フォトワ)」を開始。17年12月期は積極的投資による減益を計画するが、同社・古俣大介社長(写真)は「順調に成長している国内既存事業の利益を海外展開・新規事業への投資に回すことで、飛躍的な成長を目指す」と話す(敬称略)。

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■「PIXTA」コンテンツは3年で2倍以上に増えダウンロード数は24倍に急増

――「PIXTA」というビジネスモデルを創案したキッカケを教えてください。

 【古俣】 「ビジネスモデルを検討していた2000年台前半当時は、デジタル一眼レフカメラが大ヒットしていた。また、インターネットがブロードバンドに切り替わった時期でもあり、クオリティの高い高画質なデジタル写真をアマチュアの方々がネット上の掲示板に投稿し始めていた。その新たな動きに気づき、数多くの埋もれている才能が世の中でもっと活用される場を作りたいと考え、2006年に「PIXTA」を始めた」

■インバウンドも追い風になり海外から「日本の風景」などへの需要が増加

――私が旅行で撮った写真なんかでもいいのですか。

 【古俣】 「PIXTAでは、一定のクオリティ、権利侵害がないこと等の条件を満たしていればどなたでも素材の投稿、販売が可能。観光地の風景等の写真や動画は、旅行会社等にニーズがあり、メディアでも取り上げられやすい。また、日本の観光地や和食、日本文化のイメージ素材が海外企業などから注目され、インバウンドの旅行案内などに使われるということも増えている」

――人気の高い写真、使われやすい写真の傾向は・・・・。

 【古俣】 「あらゆるジャンルの素材が売れているが、最もニーズが高いのは人物素材。たとえば、ビジネスマンの走っているシーンや、握手しているシーン。家族がだんらんしている光景や、子供が遊んでいるシーン等。人物が写っている写真は広告イメージ等としての訴求力が強く、また撮り下ろしのコストが高いこともありニーズが高い」

 「商品戦略としては、網羅性、つまりあらゆるジャンルのニーズに応えられるようにしていくことを重視している。品揃えの充実が競争力につながるため、投稿者をいかに増やし、活性化させていくかも重要になってくる。PIXTAでは投稿クリエイターに対し売れ筋や撮影・制作に役立つ情報の提供や撮影サポート等を継続的に行っている。こうした取り組みにより強固なクリエイター基盤を築いていることが我々の強みになっている」

 「2017年4月末現在、「PIXTA」には国内・国外のクリエイターから毎日数万点のデジタル素材が投稿されており、クリエイター数は22万人以上になった。また、コンテンツ数は年間600万点から700万点ずつ増加し、足元では2400万点を超えている。」

 「一方、素材を利用する側のニーズもここ数年で飛躍的に高まり、多様化してきている。スマホを中心とするデジタルデバイスの普及とそれに伴うデジタル広告市場の拡大により、素材を高頻度で大量に使いたいというニーズが増えてきている。また制作会社や広告代理店、企業のデザイン部門といったヘビーユーザーに加え、企業の営業、広報、SNSマーケティング担当者や個人事業主など、本来デザインを専門としないいわゆるライトユーザー層へも素材利用の裾野が広がっている。プレゼン資料のビジュアル化やオウンドメディア・SNSを活用したマーケティング手法の普及に加え、近年の著作権に対する企業のコンプライアンス意識の高まりが素材の活用を後押ししていると感じる。

 「PIXTA」ではこのようなニーズに応えるべく、2014年から定額制販売を開始した。これは、素材を頻繁・大量に使いたい購入者向けに、定額で一定点数の素材を割安でダウンロードできるようにしたもの。定額制販売の利用は開始以来顕著に増加しており、今年は従来の単品販売から定額制販売へ重点をシフトし、プランの充実や訴求強化に注力していく。

 「PIXTA」のダウンロード数は3年で24倍に急増しており、加速度的に増えている。コンテンツ数が充実するほどに写真などの利用者・購入者が増加し、さらに投稿が活発になるという好循環が生まれており、今後もこのペースがさらに加速していくとみている」

――海外展開についての展望はいかがですか。

 【古俣】 海外展開は、アジアNo.1のクリエイティブ・プラットフォームになるという展望を掲げている。この事業は、欧米においては既に市場が成熟しており、強力なプレーヤーも存在している。一方、アジア地域は広告市場をはじめとした市場の伸びしろが大きく、目立ったローカルプレーヤーはまだあまり存在していない。特に台湾や韓国は地理的・文化的にも近く、日本の素材がそのまま受け入れられやすい土壌もある。そういった市場に速やかに参入し、アジア各地域でトップシェアを握りたいと考えている」

 「現在、シンガポールをアジア展開の統括拠点とし、台湾とタイに販売拠点を置いて営業・マーケティング活動を行っている。さらに今年3月に韓国のストックフォト会社を子会社化し、現在韓国語版PIXTAのサービス開始に向けて準備を進めている。韓国の市場は数年前の日本の状況とよく似ており、まだ、低価格で膨大なコンテンツを提供できるローカルプレーヤーがいないので、非常にチャンスな状況といえる。うまく参入できれば、日本に次いで大きな売上を生み出せる拠点になるとみている」

■PIXTAのノウハウを横展開した新規事業「fotowa(フォトワ)」

――2016年2月に出張撮影マッチングサービス「fotowa(フォトワ)」を開始したと聞きました。

 【古俣】 「「fotowa(フォトワ)」は、写真を撮ってほしい人とフォトグラファーをつなぐ出張撮影マッチングサービスで、七五三やお宮参りなどさまざまな行事の際に、好きな時間帯・好きな場所でカメラマンに撮影してもらうことができる。予約・納品はインターネット上で行われ、追加料金のない一律価格で、デジタルデータを納品してもらえることが大きなメリット」

 「近年、インスタグラム(注:写真や動画などを投稿・共有できるサービス)などSNSの普及により、いわゆる“SNS映え”する写真がトレンドとなっている。それに伴い、子供や家族の写真についても、従来の写真館でよく撮影されるようなかしこまった写真ではなく、ナチュラルで自然体な写真が好まれるようになってきた」

 「従来の写真館では、写真のテイストの選択肢に限りがあることに加え、納品される写真の形態が紙焼き等に限定され、データをもらうためには追加料金がかかるなどの「負」の側面もある。こういった「負」を解消するため、fotowaでは一律料金・完全データ納品でサービスを提供している」

 「fotowaは昨年2月に首都圏でサービスを開始し、今年から本格的に全国展開を開始した。予約、撮影件数も順調に増加している。今年はさらにプリント機能など付加機能・サービスを充実させてより多くの方に使っていただけるサービスに成長させていきたいと考えている。事業展開にあたっては、PIXTAで培ったプラットフォーム運営ノウハウやクリエイター基盤を活かしている」

■今期を「積極投資の年」と位置づけ、戦略的な減益を見込む

――業績展望などについてお伺いします。

 【古俣】 「昨年から今年始めにかけて着手した新規事業や海外展開は、いずれも市場環境の変化を逃さず、チャンスをとらえて実施できたと思っている。これらを、今後しっかりと軌道に乗せ、既存事業の成長だけでは実現できないレベルの大きな成長につなげることが当面の重点施策だ。今期(注:2017年12月期)の連結営業利益や経常利益の見通しを前期比約7割減としたのは、こうした戦略に基づくものだ。連結売上高は前期比37.3%の増加を想定している」

 「新規事業を一切やらないということであれば、収益面では年間、数億円ずつ積み上げていくことができる。だが、それだと伸びとしては想定できるものになってしまう。また、既存事業を粛々とやっているだけでは、かつてプロ中心の写真素材の世界にPIXTAが登場したときのような、大きな時代の変化や、新しい潮流に対応できない可能性がある。自分たちで市場を作っていく、市場に変化を起こす、というつもりで、積極的に新規の分野に取り組む方針で戦略を組み立てている」

 「新分野への取り組みは、市場の変化にともない新たなニーズが顕在化しているところをとらえて行っているので、成功への自信を持っている。既存事業のトップラインは順調に伸びているので、その成長を加速させながら、数年後にさらなる増益体制の確立を目指している」

――ありがとうございました。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:10 | IRインタビュー